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魔導書(電子書籍版)と契約し旅にでる  作者: 弓納持水面
11章 聖女の足跡

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世界を廻す計算

[人間世界の風習]より抜粋

メデューサ遊び。

人間世界での子供の遊びの1つ。

まず1人がメデューサ役になり、他のメンバーは冒険者役になる。

ある程度の距離からスタートして冒険者はメデューサに近づく。

(この時走ってはいけない)

掛け声が終わり、メデューサが振り向くと冒険者は片足立ちで石化した(フリを)しないといけない。

(転ぶか、両足を付いたら、その場で、しゃがむ。死者を意味するらしい)

冒険者がメデューサの肩に触れたら、触れた冒険者の勝ち。

(冒険者は石化中なら前の冒険者を押す権利がある)

冒険者が全滅したらメデューサの勝ち。

勝った者は尊敬を集める。


領都に付いた所で商隊との契約が終了した。

商隊は、ここで数日補給や商売をして、その後王都に向かうと言う。

朝夕簡単な食事がつき、街に入る税は商隊が払ってくれる、そして少ないが報酬も貰える。

急ぎでなければ商隊護衛は良い仕事だ。

前の様にマンティコア退治などに駆り出されなければだが……。


[聖女様が転んだ]

[トロールが屁をこいた]

メデューサ遊びという子供達の遊びに見られる掛け声だが、途中街道の横で岩に擬態しているトロールを見た。

ダークエルフやインプ、フェアリーなどに唆されるか、空腹時を除けばオーガと違い無駄に戦う妖魔ではない。


特に商隊は護衛が付き、数が多いので

やり過ごそうとする。

こちらも無視、あちらも無視。

もし戦えば大きな被害を出すのだから、それが賢明だろう。


[まわる水車亭]に入るとドワーフの店主がデグさん達に話しかけている。

「おや?デグ。ロバート伯爵様に雇われなかったのか?」


「旅の目的が出来た。」

デグさんが呟く様に話す。


「レイカ嬢ちゃん絡みかい?」

髭面の奥でニヤリとしながら2人を見る。


「いや違う。自分は死んだ兄者の仇を探している。」


店主が表情を変え

「これは悪い事聞いちまったな。すまねえ。そうかジグは死んだか……。」

死者を悼む遠い目をする。


「ミケはこの店に寄らなかったか?」

デグさんが続けて訊く。


「いや、見てねぇが、まさか仇ってのは……」

店主が言い淀む。


「ああ、兄者を殺したのはミケだ。」

暗い目をしてデグさんが答えた。



翌日

[竜の卵]で大地母神殿を訪ねた。

正門をくぐると、あちこちから声が聞こえてくる。


「久しぶりレイカ。」

レイカさんが声に手を振る。

「あれ?レイカもう上級神官になってるじゃん。」

何故か笑って誤魔化している。


「[人狼斬り]よ。[人狼斬り]が帰ってきたわ」

歩くアヤメさんに神官達がざわめく。


「街のゴロツキが噂してるって話よ『人狼はヤベえ、それを斬った[人狼斬り]はもっとヤベえ』って。」

アヤメさんは随分、恐れられているらしい。


「多分、アヤメが美人だからってのもあんだよブレナ。」

チャシブが小声で言う。

「[魅惑の伯爵夫人]、[竜の卵]で美人見すぎて、麻痺しちまったかも知れねえが、女ばかりの社会で美人で有能って言うのは大変なんだぜ。」

そう言いつつも少し拗ねている感じだ。

思わずチャシブの肩を抱き寄せる。

何故か若い神官見習い達から声が上がった。



案内の神官に通された会議室には大神官と神官戦士長、図書神官長、学問所上級神官が待っていた。


「まずは[竜の卵]の皆さん。早馬での警告に感謝します。」

図書神官長が口を開く。

ノウル伯爵領からアヤメさんが早馬を出し、至高神殿の襲撃可能性を伝えていた。


「結果として[薬学日誌]は奪われてしまいましたが、事前の魔道転写により図書に実害は、ありませんでした。」


「図書に実害なくとも、下級神官が1人死亡。1人行方不明になっていますわ。わざわざ襲撃を受ける必要性があったのか疑問です。神官戦士長としては抗議いたしますわ。」

肩書なければ神官戦士長には見えない美人が抗議した。


「対価に至高神司祭の3人が自害。1人を逃亡中に殺害。神殿責任者の高司祭は追放。領都での聖王国派の影響力は激減しています。」

大神官が穏やかな口調で暗闘の戦果を語る。


「それに聖王国での石化病蔓延の確認も出来ました。これで聖神派以外の魔王討伐の機運を削ぐ事が叶います。無意味な戦争を防げるのですよ。」

だが死んだ下級神官も、使い捨てられたであろう者達も戻らない。

世界は非情な計算で廻っている。


「アヤメ、貴女には功績により、神官資格を贈ります。引き続き精進する様に。」

アヤメさんは深々と礼をする。


「レイカ、貴女には当神殿の上級神官寮に1室を与えます。まぁ貴女には、それよる大浴場入り放題の方が、ご褒美になるでしょうけど」

レイカさんは満面の笑みで礼をした。


「デグ、貴方には金属製胸当を早急に作らせるので受け取る様に。」

デグさんは頷く。


「他の2人には金貨10枚づつ贈ります。帰りに受け取って下さい。」

チャシブと共に礼をした。


「最後にアヤメ、レイカ、2人にケリー上級神官が話があるそうなので、研究室に寄って下さい。」

すると、端に座っていた学問所上級神官が穏やかに微笑んだ。

トカゲの尻尾切りの逆で、本体を犠牲に尻尾が目的を果たし脱出する。

[茶色い雪兎]のクーアって実は有能さんですね(笑)


私の黒歴史がまた1ページ

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