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魔導書(電子書籍版)と契約し旅にでる  作者: 弓納持水面
第10章 卵料理

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遠い親戚

ギリシャ神話、青銅のタロスの逸話から……


(デポさんから、教えてもらってなければ死んでたよ)。


『そうだな、至高神の過激宗派の暗殺者が来ると知らなければ、あっさり殺されていただろうな。』


(窓から飛び降りるには勇気が必要だったけどね。)


私はフードを深く被った下級神官の姿で通りを歩いている。

落下時の足の怪我は自己治癒した。


『燃費は悪いが[点火]の中魔法を使える様になったな。レベル3まで馴染んだだけはある。』


(その馴染んだ副反応のお陰で聖女扱いになって、今、人目避けてるんだぞ!マドウ。)


『聖女になって迷惑そうにするのはレイカが歴史上初めてだと思うが?』


(私は聖女じゃないぞ!マドウ。)


「いらっしゃいませ〜」

[魅惑の伯爵夫人]にフードつけたまま入るとデポさんがウインクしてくれる。


まぁ種子島背負った下級神官など他に居ないだろうからフード上げなくても分かるとは思う。


「いつもの部屋に〜食事もそこで〜よろしいですか〜」

黙って頷く。


久しぶりの部屋に入って、湯を使い、食事を摂ると、ぐっすり眠った。

デポさんは何も言わずに匿ってくれたのだ。

ありがたいよ。



数日後

聖女行方不明の噂が流れていると、お店にきた冒険者さんから聞いた。

どうやら暗殺者により爆死したのを大地母神殿が隠しているらしいとの噂。


「へぇ、そうなんですね~」

今の私は変装用ペンダントの[欺瞞]で魔族に化けている。

ペンダントはデポさんからの借り物だ。


姿形は変わらなくても肌色と別種族という先入観で今のところ、誰にも気づかれていない。


「レイカルちゃん〜6番に〜スープおねがいします〜。」

デポさんの声に「はい〜」と返事をする。


レイカとレイカル。

我ながら雑な偽名だな〜と思うけど、

「経験上〜偽名は咄嗟に呼ばれても〜反応出来る名前に〜するべきですよ~」と言われた。


偽名を経験しているデポさんって、やっぱり年代物魔族だけある。

[亀の甲より年の功]、本人には言えないけどね。


魔族本国から観光にきたデポさんの遠い親戚でお店のアルバイト。

それが魔族レイカル、今の私だ。


「良いですか〜簡易ゴーレムの作り方教えますよ~」

あれ?本格的にゴーレム作成魔術習ってるぞ。

お料理とかの方が女子力的には良い気がするけど……。


「通常のゴーレムは〜スタンダードタイプと高機動タイプあります~簡易ゴーレムは〜スタンダードタイプの簡易版ですよ~」


『ゴーレムは軍事機密にあたる。これは貴重な経験だぞ。高機動ゴーレムについて訊いてみてくれ。』

う~んマドウ?

何ならスマホの音声機能で二人で話したら?


「う~んと、高機動ゴーレムってなんですか?」


「高機動タイプは〜内部に魔術的人工筋肉を組み込んで〜魔術的青銅液で駆動させます~」


「ただ青銅液は発火性高く〜試作一号機は試験中爆発炎上〜二号機は研究施設襲った勇者と戦った際〜未完成だった足首の栓を抜かれて負けました~」


「まぁ引火炎上して〜勇者に重症負わせたんですけどね〜」

う~ん、デポさんが悪の女幹部に見えてきた。

ナイスバディだし、際どい衣装似合うタイプかも……。


「そんな軍事(ゴーレム)技術の〜民間利用で〜料理が運ばれるのですよ〜」

むぅ、なんか違う気もする……。

でも前世のフライパン加工とかインターネットも、そんなだったかな?


「ちなみに〜イブスル城内に頓挫した二号機は眠ってます〜青銅液さえ入れれば動きますよ〜栓も抜けにくく改良出来てますしね~」

開発って現在進行系なんだ……。


「組み立てた三号機〜部品で四号機〜送りましたから〜陛下のお役にたてば良いですけど〜」

ん?


「まず〜この木の椅子に〜……」

デポさんの説明が始まった。



メタ的魔族。

「青銅液のモデルは〜ポ○マー○ンゲル液ですよ~」

「ちなみに私は味で〜配合比率わかります〜」

「レイカルに料理は教えません〜厨房にはプロ志望しか入れないですよ~」


私の黒歴史がまた1ページ。

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