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魔導書(電子書籍版)と契約し旅にでる  作者: 弓納持水面
第10章 卵料理

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奥義習得

某大祖国戦争のルポ的書籍に下着の話とかあったりします。(漫画版おすすめです。)

冒険者なら、なおさらでしょう。


朝一、パライバ商会のラチア支店に呼ばれて、私は[竜の卵]のリーダーとして船旅の経緯を聞かれた。


聞かれたと言うよりも、詰問に近い状況だったが、包み隠さずに話した。

どうやら船長の報告の裏取りをしている様だ。


現場で奮闘している船長や船員達に不利にならねば良いのだけど……。


支店長はハーピー岩島近く状況を気にしている。

私でも三号船が酷い状態で到着したと聞いているぐらいだから、色々影響が出ているのだろう。


「ハーピー達を退けた歩き巫女様を失ったのは、実に惜しいですな。」

支店長に嫌味な口調で言われる。

私は冷夏の無事を信じているが、(おおやけ)には冷夏は戦闘中行方不明。

デグは[聖女殺し]と船員達に陰口を叩かれている。


「到着タイミングがずれ、鳥の糞を買い漁った妖魔船は去りました。日当契約の貴方がたには到着遅れは幸いだったかもしれませんがね。」


「帰りの船は7日後です。それまで妖魔船が鳥の糞を買い漁った理由を調べてください。何か分かれば更に報酬を出すよう書面を出します。もし分かればね。」


「まぁ、分からなくて、骨休めしていてもハルピアに帰れば、日に銀貨10枚はお支払いされますからご心配なく。高名な皆さんと違い、日銭を稼ぐ商人は大変ですよ。」


支店長は嫌味な人物の様だ。

冒険者とは蔑まれる職業だから、こういう時は無になっているに限る。


「蔑まれても、舐められては駄目よ。」

以前ミケさんが話してくれていた。

こんなことなら、もっと色々聞いておくのだった。



[灰引屋]に戻るとデグ宛に湯屋から3通も手紙が届いていた。

メモを片手に手紙を読み進めているデグ。

以前から続けている文字の勉強は進んでいる様だ。

後で散財は避ける様にだけは念を押しておこう。


ブレナと茶渋は眠そうだ。

茶渋はブレナの部屋から夜明けまで、戻って来なかった。

竜人は年に一時期しか妊娠機会がない。

それにブレナは悪い人物ではないから問題ないと思うが、痴情の縺れは刃傷沙汰になりやすいので注意が必要だ。


以前、冷夏と竜人と人間の繁殖力の違いを話したことがある。

「私は軽い方だけど、毎月あるからね〜。神官着は白いし……」

冷夏はそんなに素振りを見せないが人間は大変だろう。


「竜人が顕性遺伝なのに、人間が多数派の理由がわかったよ」

転生者は発想が違う。

竜人五家にハイリザードマンが降婿するのは権威を示しつつ、竜の血が薄まるのを防ぐ意味があるのだと、その時わかった。


昼食を摂る為に市場を歩く、規模はハルピアと比べようもないし、食料品は全体的に価格が高めだ。

ただ旅の途中は朝夕二食だし、船内では硬いパンと塩辛い干し肉をそのまま噛る生活が続いたから、温かい新鮮な食事がしたい。

しばらくして、食事を楽しんでいると5人の船員風の男達が近づいてきた。


「[竜の卵]のリーダーだな?」


「食事中です。話なら座って話ましょう。」

食事は、ほぼ終わっていたが余裕を見せて話す。


「船長が更迭された。」

殺気だっているが、二号船で見た顔はない。

それを指摘すると、彼らは三号船の船員だと告げた。


「船長は俺らの船がハーピー共に襲われた時、最善の行動をした。」


「積み荷を手放さなければ船は沈められてたはずだ!既に俺らの仲間も何人か殺られていたんだ。」


それを話すべきは私ではなく支店長だろう。


「お前が支店長に適当な報告をしたからだ。支店長は損害がなかった二号船長に比べ三号船は著しく劣るとか抜かしやがったんだ!」


押しかけて来たのは完全に逆恨みだ。

だが、話し合いに応じる様には見られない。


「それで……」

私は立ち上がり慎重に間を測る。


「お前には交渉の人質になってもらう。お前は本店の偉いさんにコネがあるんだろう?そうでなければ、ぶらつくだけで多額の報酬貰えるはずがねぇ!」

酷い言われ様だ。

しかし5人か……流石に普通に戦ってはこちらも無傷では済むまい。

逃げるにしてもこちらに地の利がない。

相手の武器は小剣。


「断ると言ったら?」

茶渋との話で指摘されたが、試したい事がある。

ちょうどよい機会がきたと思うしかない。


「勘違いしてるぜ。人質ってのは生きてりゃいいんだ!」

テーブルを蹴倒し、五人が抜剣した。

周りで悲鳴が上がる。


(ひぃふぅみぃ)

[竜縮地](使1残0)

久しぶりに竜力を使って斬りつける。

気がつくと三人斬り伏せていた。


一息で三度斬りつける一二三(ひふみ)流の奥義。

初めて成功した。


「竜力使わずに死んだら、意味ないだろ。アヤメは俺らのリーダーなんだ。」

昨夜茶渋と湯船で話したことだ。

もし、知られたら師匠には怒られるだろうが……。


八相に構え残る二人と対峙する。

相手は完全に腰が引けている。


「クソ!聞いてねえ……、達人じゃねぇか……」


「昨日飲んでた二号船の奴が[竜の卵]のリーダーは一撃で瀕死になったって……」

なるほど、舐められては駄目か。


「そこまでだ。双方動くな!」

島の繁華街だけある。

衛兵が駆けつけて来るのが早い。


「そこの竜人が男達に絡まれタ。」

「俺たちが証言すル」

近くに居たリザードマンの二人組が証言を申し出てくれた。


それでも親切なリザードマンらと共に衛兵詰め所から開放されたのは夕方だった。

小さな権力者は何処にでもいます。

皆さんは無になった経験はありますか?


さる古典的名作に最終目的地で「あなたはネジです。」と言われる物語ありますが効率性と人間性は両立しない気がします……。


私の黒歴史がまた1ページ。






ちなみに私はあったりします。(笑)


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