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魔導書(電子書籍版)と契約し旅にでる  作者: 弓納持水面
第10章 卵料理

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珍獣の日々

冷夏は生前両親の影響で、[むせる]話も大好きだったりします。

「怪我人とかの治療とかしなくて良いの?リリさん。」


「聖女様は聖堂内を歩かれるだけで大丈夫です。それだけで寄付金額が鰻登りと、広報のレマナが申しておりました。」

ここ数日、私は事実上幽閉され、扱いが動物園の珍獣と変らない。


「それに修行中の神官見習いが続々と啓示を授かっているらしく、神官魔法の使い手は足りているようです。」


遠巻きに皆が聖女と崇めてくれるが、外の散歩さえ出来ない。

珍獣の気持ちがわかる日が来るとは思わなかった。

リリさんが一生懸命お世話してくれるのが唯一の救いかな?

でもそれも、私の勘違いで珍獣飼育員だったりして……。


「(ねぇマドウ啓示増えてるって。なにかしてる?)」


『何もしていない。しているとすれば冷夏だろう。』


「(私?契約で、また何か副反応的な事起きてない?)」


『起きているが契約が原因ではない。冷夏が聖女と呼ばれている事に起因する。』


「(どうゆうこと?)」


『聖女を姿なき神の化身と考える者は多い。シンボルや小難しい教義などよりも、神を身近に感じられる様になる。』


『そして神を身近に感じれば、容易に次元の壁を超えて神の力が宿る。それが啓示だ。』


「(それってプラシーボ効果だよね?)」


『まぁ、そうだ。だが思い込みと信仰の差異など僅かだ。』


「むぅ、マドウはドライだぞ。」


「如何されましたか聖女?」

リリさんが困った顔をして私を見てる。


「その聖女って、なんとかならない?リリさん。私は……」

私がリリさんに呼び方を考えてもらおうと話かけたが、それに被せて言われた。


「レイカ様は聖女です。聖女って言われた者勝ちなのです。」


「至高神の主要2派は聖女認定出しますが、お互い他派の聖女を認めたがりませんし、他の神の聖女なんて尚更です。」


「でも、皆に呼ばれている聖女を否定すると外聞悪いので認めます。」


「つまり、呼ばれた者勝ちなわけね。」

リリさんの言葉を引き取る。

リリさんは私からすれば、普通に喋る。

でも、本人は喋るのが苦手と思っているみたい。

たまに大地母神のシンボルに向けて、1人喋る練習をしているから。



「冷夏さん〜面会にきましたよ~[竜の卵]から聖女が産まれたと噂ですよ~」

美味しそうな匂いのするバスケット片手にデポさんが訪ねてきた。


「デポさん〜娑婆に帰りたいよ〜」

デポさんの口調を真似るとリリさんが驚きで固まる。


「聖女様も軽口が話せるのですね。」

う~ん、リリさん。

だから私は聖女の器じゃないんだよ。


「差し入れです~。仕事なので訊きます〜[竜の卵]はどうなりましたか~」

デホさんが真面目な顔をする。


「ムッカ島でミノタウロスに蹴散らされて、はぐれたんだよ。でも、照明弾見てから転移してきたから、多分無事だと思う。怪我してたアヤメだけ少し心配かな」


「ムッカ島研究所ですか〜」

デポさんは何か納得した顔をしている。

ん?研究所?!


「デポさん何か知ってるよね?年代物の魔族だもんね。」

私は探る様に視線を向ける。


「人をヴィンテージみたいに言わないでください~ちょっとお姉さんですけど~」

いや、ちょっとじゃないでしょ?


「昔ばなしを希望なら〜魔王戦争終戦間際に〜味方の研究所を襲ったある魔族の[むせる]話をします〜」


「う~ん、せっかくの差し入れの珈琲が苦くなりそうだから遠慮するよ。」


その後、私とリリさんで差し入れのバケットサンドを貪り、珈琲を啜った。

リリさんは貴族だけど、珈琲初めてだそうだ。


美味しいゴハンの為にも、娑婆に戻らねば……目指せ脱珍獣。

冷夏の飲むハルピアの珈琲は苦い。

(ウソです)


私の黒歴史がまた1ページ。

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