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魔導書(電子書籍版)と契約し旅にでる  作者: 弓納持水面
第10章 卵料理

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令嬢独白

最初「令嬢の告白」にしましたが、ミッドナイトぽいので止めました(笑)

20日前、わたくしの人生を変える出来事がありました。

わたくしの名はリリ・アルベロ。

アルベロ伯爵家の、一般に言われる令嬢と言われる立場です。


あの日、わたくしは神官見習いレマナさん、後述する名もなき下級神官、薬師ギルドの薬師と共に月に一度の午後の無料診断のテントについておりました。

伯爵令嬢として、下々の生活を垣間見る絶好の機会だったからです。


本当はもう1人治療神官がつく予定でしたが、午前中の急な治療により神力を使い果たしてしまい、急遽名もなき下級神官が連れてきたのが、聖女(レイカ)様でした。


聖女(レイカ)様は、わたくしのマッサージの才能を一目で見抜かれました。

そして自らは病を見抜く眼力と人間を超える神力で次々と人々を救いました。


翌日、聖女(レイカ)様は姿を消しましたが、この神殿に新たな聖女が顕現した事実はハルピア中に広まり、現在でも多数の信徒が神殿に押し寄せています。


聖女(レイカ)様の奇跡を証言したレマナさんは、その晩啓示を受けて下級神官になり、広報担当部署に配属されました。


聖女(レイカ)様を図書室で見出した下級神官は何故か姿を消しました。

何人も目撃情報があるにも関わらず誰の印象にも残らず、名前さえわかりません。

唯一の証言は、どうやら竜人であったらしいと言う曖昧なものでした。


そして、わたくしは医療部門上級神官としてに正式に配属されて、押し寄せる信者にマッサージを続けています。


「女神様、もう無理、もう無理ですから……」

昼食休憩で医療部門から抜け出した、わたくしは1人上級神官専用食堂横の礼拝堂で大地母神のシンボルに話かけます。

高貴な血筋に遠慮するのか、わたくしには友達が居ないのです。

あの日は、ここで短時間の午睡が出来る様になっていて、聖女(レイカ)も休憩したとレマナさんが解説していました。


私も少し、いや一刻(にじかん)は休まないといけません。

このままでは過労で倒れてしまいます。


わたくしが近くに隠していた毛布にくるまると、シンボルの前に光が集まり始めました。

何が始まるのでしょう?


「あ、!リリさん。急にごめん。」

光が収まると旅装の聖女(レイカ)様が立っていました。


え?


「ごめんね。臭い酷いよね」

聖女(レイカ)様が苦笑しながらおっしゃります。

「リリさん。何処かお風呂借りられないかな?」

丁度その時礼拝堂の扉が開きました。


「リリ上級神官!またサボりですか!……まったく貴女という……ぁ、聖女様……」

わたくしを、いつも迎えにきてくれる親切な下級神官が固まってしまいました。



「リリ上級神官の祈りに応え、聖女様がご帰還されたのは本当ですか?」

豪商の広報担当や至高神、大地母神(みうち)の広報神官達が詰め寄ってきています。


「ぇっええ、今、聖女様は旅汚れを落とす為、入浴されてます。その後はお食事、今日はそのままお休みになられる予定です。」

しどろもどろに答えました。

わたくしは、喋るのはうまくありません。


「いつ、どのように戻られたのですか?」

各広報担当達は何故こんなに殺気だってるのでしょう?


「い、祈りを捧げていると、大地母神のシンボルが、突然光に包まれて……」

毛布に包まって寝ようとしていたとは、とても言えない雰囲気です。


「つまり、また奇跡が起きたのですね!」

広報担当の何人かは外に飛び出して行きました。

事実を紙に書いて張り出す様です。


「リリさん、一緒に御飯食べよ。」

そこに真新しい上級神官服に着替えた聖女(レイカ)様が不意に顔を出されました。

詰め寄ろうとする各広報担当達、神官戦士達が素早く壁になります。


「以上です……。」

わたくしは席を立ちます。



「保存食のパンは硬くてさ~。それにデポさんの店の味に慣れてたからキツかった。」


つい先程、わたくしの肩書に聖女補佐上級神官が加わりました。


女神様、わたくしは何か女神様に、失礼を働いてしまっていたでしょうか?

いったい、これは何の罰なのでしょう?

後半はマスコミの記者会見のイメージです。

歪んだ正義を振りかざすか、自らに都合良いプロパガンダを垂れ流すのイメージしかないのは何故ですかね。

いや、それはマスゴミか(笑)

リリは良いとこの甘やかされなので、基本怠惰です。


私の黒歴史がまた1ページ。

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