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魔導書(電子書籍版)と契約し旅にでる  作者: 弓納持水面
第10章 卵料理

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ハモる

茶渋は忍の恐ろしさを知っています。

船が出るまでの3日間冷夏を匿って欲しい。

朝一で、姉と義兄の商店に冷夏と茶渋を連れて訪ねる事にした。

今は貸し切り馬車に揺られている。

ちなみにデグとブレナはデポさんの護衛で朝早く出掛けていった。


「竜影一刀流って、竜影党の表芸じゃねえか。訪ねちゃ駄目だろ」

茶渋がボソリと言う。


「大丈夫、アヤメのお姉さんの道場だよ。でも、やっぱり竜影党とか言うんだ。忍っぽいよね。」


「やっぱりって……。アヤメって、まさか!」


「違うよ。アヤメは一二三流の剣客だよ」


具体的秘密を知ると竜である冷夏はともかく、茶渋は消されかねないから注意しておこう。



馬車が到着し道場に通される。

様子がおかしい、違和感がある。

何故こんなに警戒感が高い?


「ようこそ冷夏様、さっそくですが[飛んで火に入る夏の虫]ってご存知ですか?」

姉が4人の門弟を連れて待っていた。

皆佩刀している。

我々がくるのがわかっていたのか?

忍びを入れられていた形跡はなかったはずだが……。


「やっぱ駄目じゃんかよ。」

茶渋が冷夏を庇う様にして脱出路を探っている。

冷夏は、「むぅ」と唸っているが平静そのもの。


私は前に出る。

「姉上、本気ですか?」

分析は後、状況に対応しなくては。


「冗談に見える?」

わずかに間合いを詰めてきた。

手練れ5人、勝ち目はなくともタダで斬られる訳にはいかない。

死中に活を求めるには……。


「もし本気なら先に抜刀(ぬけ)ばいい。ただ、先に斬りかかれると思うな……」

一二三流ゆえのハッタリ、だが姉以外の4人は怯んだ。

先ずは姉だけ斬ればいい。


「ひぃ、ふぅ、……」


「そこまで!冷夏も魔法止めて!」

奥からルビーのピアスしたダークエルフが出てくる。

ヒューヒュ、何故ここに居る?



「竜人は物騒だな、姉妹でも躊躇がない」

道場から場所を移し、出されたお茶を飲みながらヒューヒュが言う。

正座をするダークエルフを初めてみた。


「物騒なのはお前のせいだろ!危うく大惨事だ。」

茶渋が突っ込みを入れる。

姉の対応はヒューヒュの指示だった。

ちょっとしたイタズラのつもりだったらしい。


「口を慎め!下郎!」

姉が茶渋をたしなめる。

舌打ちする茶渋と、笑うヒューヒュ。

茶渋は何故か姉に対して物怖じしていない。


「ヒューヒュ、やっぱり硝石の買い付け?」

冷夏がお茶を啜りながら訊く。

硝石が何かは正直分からない。


「ああ、ゴブリンの寝床は、さらったが量欲しいから……当面はね。」

種子島ヲタクどうし話が通じているようだが、私には理解できない。

何故ゴブリンの寝床が出てくるのだろう。


「やはり火薬にも通じておられるか?竜であり聖女なだけある。」

姉が感心した顔をする。

そういえば忍びは火薬を使うから、姉には意味はわかるのか。

忍びは家族にも秘密は漏らさない。


「竜でも聖女ではないよ。でも、まぁ種子島を主武器にしてるから火薬の基本ぐらいはわかるよ。」

冷夏は基本というが、人間では火薬の存在さえ知る者は未だ少ないはずだ。

鉱山絡みでドワーフか忍びの竜人ぐらいしか基本は知らないはず。


「御謙遜を、大地母神殿に入れている手の者から昨日の奇跡の話は聞いております。」

姉が確認する様に話す。

「至高神の二宗派はそれぞれ本山に急使を出し、豪商達は朝早くから臨時の会議。郊外の大地母神殿は民が列をなした為、開門を一刻早めたとか。」


「ああそれなら、私も族長(ははうえ)に朝一で使いを出した。珈琲を飲んだ仲だから心配いらないって書いたから討伐命令はこないと思う。」

ヒューヒュも、さらっと凄い事を言う。


「むぅ。みんな大げさだよ。ちょっと回復を余分に出来るぐらいだよ。」


「「ちょっとではないだろ」」

茶渋とヒューヒュが見事にハモる。

もしかして、師匠の言っていた概念、精神年齢が近いのだろうか?


「まぁ、聖女さま一行でダークエルフの隠れ里にきたら歓迎するよ」

ヒューヒュが笑いながら言う。


「種子島を並べて歓迎するつもりでしょ?ハチの巣にはなりたくないなぁ」

冷夏が笑いながら返す。


「バレたか……」


「お前は物騒なんだよ」


「だから口を慎しめ!」


とりあえず、船が出るまでの三日匿ってもらえた。

ヒューヒュに鯛の刺身を出して、カタツムリの仇は討てたし、軍事機密の件も肥料の作成に使うで合意出来た。


そして、姉が珍しく溜息をつくのを聞くことも出来た。

要人2人を匿う紫陽花は大変そうです。


私の黒歴史がまた1ページ。

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