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魔導書(電子書籍版)と契約し旅にでる  作者: 弓納持水面
第10章 卵料理

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新種の珍獣

「はい〜今度は郊外の大地母神殿ヘお願いします〜」

また冷夏達3人が指し迎えの馬車で帰ってきた。

「今度は何やったんだよ。」

俺は半ば呆れて尋ねる。

「う~ん、奇跡を少々……」

冷夏が多少の困惑を見せながら言う。


アヤメと冷夏はデポさんに馬車のお礼をした後、緊急事態だと言って別室に入った。


「デグ、説明してくれ」

改めて促す。

「レイカが聖女だとバレてしまった。」


「意味わかんねぇ。もう少しヒントをくれ。」

たしかにデグは聖女扱いしてるし、なんか冷夏は変に規格外だが、なにやらかしたんだ?


「無料診察会場で22回神聖魔法を使い聖女だとバレた。」

まじかよ。


「ちょっと待って下さい。初代勇者に使えた聖女が魔王戦時に12回神聖魔法を使った伝説がありますが……」

そうだよ、ブレナ。

しかも脚色か、数え間違いかって言われていて聖王国派の至高神教団だけが公式に認める記録だよ。


「数え間違いじゃねえのかよ?」

改めて訊く。


「魔術で[解析]すれば能力はわかます。失礼で場合によっては敵対的だと言われる行為ですが……」

もし、それで神力が10以上あったら……まじかよ。



「少し遅いですが〜夕食ですよ~」

踊り場のテーブルに温めなおしたスープなどが並ぶ。

先程許可を取って[解析]を使ったブレナは絶句し黙ったままだ。


「どうなんだよ、ブレナ」

沈黙に耐えかね、声をかける。


「神力が24、魔力が30、転生者で、レベル3魔道書契約者。レイカさんはそういう存在です。」

まじかよ。


「もう!人を新種の珍獣みたいに。私は私だよ。いただきます。」

冷夏は食事を始めた。

アヤメは苦笑している。


「ブレナ、俺はどうだった?ほら[解析]って受けたことなくてさ」

神力や魔力は不変だから子供の時一度ぐらいは[解析]受けるものらしいが、俺は経験ない。


「魔力0、聖力3、竜力6でしたよ。」

そうか、俺は日に竜の力が6回使えるのか。

アヤメが少しだけ、羨ましそうにこちらを見る。


「[出来ない事数えるより、出来る事を今、楽しめ]。私に将棋教えてくれた看護師さんが言ってたよ」

冷夏が突然言う。


「後、[この世は生き延びろって言うクソゲー]だとか。まぁ、私はクソゲーでも、契約してネクストステージスタートしちゃう奴だけどさ。」

カンゴシ、クソゲー、ネクストステージ?全く意味がわからない。

でも、なんとなく、言いたい事が伝わる。

アヤメを励ましてるんだ。

でも、それだけじゃない。


「冷夏は聖女、いや竜なんだな!」

「アヤメ。俺も竜人の端くれだけど分かった。わかったよ。冷夏は竜なんだ!」

アヤメは頷く。

ブレナとデグが顔を見合わせている。

人間には分からないだろう。

俺は竜人に生まれたことを初めて感謝した。



夕食後、改めて推薦依頼の件を協議する。

事実上断る選択肢はなくなったが、調べてきたことを報告した。


「鳥の糞を買うなんて信じられないだろう?」

俺が報告すると冷夏以外は頷いた。


「え、私でも妖魔族なら買うよ。」

冷夏だけが反論する。


「う~ん、鳥糞は良い肥料になるけど、それよりは硝石が欲しいんだと思う。ヒューヒュは積極的だなぁ」

冷夏が当たり前に言う。


「硝石?なんだよそれ」


「火薬の材料だよ。ヒューヒュは種子島の大量生産と運用に乗り出してるんだよ。たぶん。」


「冷夏、大丈夫か?それを探りに行った密偵全員死んでるんだぞ」

俺が妖魔なら、秘密を知る冷夏も消す。


「軍事機密探る密偵なら消されるよね……けど……まぁ大丈夫だよ。殺すなら既に2回チャンスあったんだから。」

もう目を付けられてんのかよ。


「でも、これで決まりだね。とりあえず依頼受けて帰り際に、この事実を報告する。油断しなければ簡単な依頼だよ。」


これが(レイカ)

呆然とする俺の肩を、アヤメが軽くたたいた。

名もなき看護師が冷夏に与えた影響は多大です。


私の黒歴史がまた1ページ。

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