馴染む
文化の日(祝日)の投稿です。
「パライバ商会から〜推薦依頼きてます〜」
デポさんが依頼書を朝食後の私達に持ってきた。
パライバ商会と言えばあの人質になってた娘は大丈夫かな?
トラウマになってなければ良いけど。
「どんな内容?」
私が訊くと依頼書を広げて見せてくれる。
[デーマンタイト諸島を廻る商船の護衛期間は約30日。報酬は一人頭1日銀貨10枚。総額後払い。ただしパーティー準備金別。パーティー準備金は金貨5枚。]
「う~ん。裏があるよね?これ。」
条件は良いけど、商船の護衛に冒険者雇うのはおかしい。
海賊対策なら冒険者より傭兵向きだし冒険者にしても、もっと戦士が多く戦闘向きのパーティーはいくつもある。
「あら〜そうですか〜断ります〜?」
「う~ん、保留で。」
チャシブに調べてもらおう。
パーティー資金を幾らか渡すと、チャシブはうなずいて出ていった。
そういえば、チャシブはリザードマン語で茶渋って書くらしい。
リザードマンや竜人は識字率が高い。スラムに居たっていうチャシブでさえ、普通にリザードマン語と人間語の読み書き出来るそうだ。
それもこれも一人の日本人転生者、通称真祖の出現以降に起きたことに起因するらしい。
日本語、将棋、日本刀、文化、血筋、その生涯で竜の島に、どんだけ影響与えたのだろう?
竜人が真祖を崇めるのもわかる気がするよ。
『竜の島では暦も違うぞ』
考えている事に突っ込みが入る。
マドウ、最近私の思考読んでるよね?
『それは、契約が馴染んできてるからだ。』
う~ん、精神に侵食されてる?
もしかして、不味いんじゃ?
『その心配はない、どちらかと言うと馴染んだ道具が自分の一部になる感覚に近い。』
『冷夏も普通に魔法を使ったりしているだろう?』
う~ん?
無意識に何か吹き飛ばしたりしたかな?
マドウの魔法は、ぶっ放し系だからなぁ〜。
『ほら、愛用の種子島を魔法の武器にしただろう?』
むぅ、初耳だよマドウ。
『う~ん、無意識だったか?』
う~ん、やっぱり、なんか混じってきてる気がするぞ……。
『で、暦だが』
『竜の島では真祖が持ち込んだ太陽の運行を基盤とした竜人暦を使っていて7日で1週間という謎の概念もある。』
他の暦はどうなの?
それに、そもそも、この世界の公転周期、いやこの世界が地動説か、どうかさえ分からないぞマドウ。
『冷夏の前世と、あまり変わらない。1年は365日ちょうどで、月は30日で満ち欠けする。この惑星は恒星たる太陽を公転しているし、地軸が傾いているから四季もある』
『いくら、ごった煮世界でも条件遠すぎると生態系が遠くなり過ぎて放り込めないだろう?』
むぅ、この世界って、大地母神様達が闇鍋をして造ったって事なの?マドウ?
世界は鍋で、私達は具で。
『確か最初は誰かが、矛だか泡だて器だかで混沌をかき混ぜたのではなかったかな?』
う~ん、どちらも微妙な気がする。
「冷夏さん〜何をお考えですか〜。熟考に沈む聖女って絵が描けそうです〜」
「聖女じゃないよ。暦について考えてたんだよ。」
世界の創造については微妙過ぎて言えなかった。
しかし「聖女」で、デポさんが一瞬意味深な顔したのは何故だろう。
「魔族は竜人暦ですよ~妖魔族と大半の人間は大地母神暦〜エルフと至高神宗派の一部がエルフ暦です~」
むぅ、さっぱり分からない。
「大地母神殿で調べると良いですよ〜」
デポさんの、おすすめ通り郊外の神殿に行く事にした。
一神教から一週間の概念が発生し、日本には事実上明治以降輸入されました。(平安時代から七曜はありましたがマイナーで、安息日の概念はなかった)
それがなかった時代は、盆と正月以外に公休にあたるものはありませんでした。
ある経営者が「日本は祝日が多すぎる」と発言していましたが、その経営者が言う祝日少ない某国は有給消化率90%後半。社員の夏休みが2ヶ月あったりします。
せめて自分の会社をそうしてから言え!と一人突っ込んでました(笑)
キリスト教の強い某国の様に日曜日はサービス業もお休みも不便ですが、日本では経営者の自主性に任せたら盆と正月さえ怪しくなるので、祝日という強制休日に賛成です。
(サービス業の方、お疲れ様です。ありがとうございます。)
私の黒歴史がまた1ページ。




