ファム・ファタール
情弱を喰い物にする奴は、どの世界にもいます。勿論現代にも……。
「学問の神の旅神官なんて珍しいね」
酒場で知り合った田舎者の少女は好奇心いっぱいの目をして話かけてくる。
「一人旅だったのですか?」
まだ少年の面影を残した連れが聞いてきた。
「いえ、仲間がいたのですが運悪くアンデッドに遭遇してしまって……私にもう少し徳があれば良かったのですが……」
偽りは話してない、真実の伝え方の問題だけ。
魔導具には嘘を見抜く物があるし、不思議と嘘を見抜く才能がある者もいる。
相手が、おのぼり冒険者とはいえ、油断はしない方が良い。
「仲間になって、くれるべか。」
少女のもう一人の連れが確認してきた。
「はい、商隊護衛依頼を受けたいのですが、最低四人のパーティーでないと受けられないのです。」
あの魔術師が仲間を見捨てて、無事街に逃げ帰ったとカジノで聞いた。
街を出る一番早い商隊で街を離れたい。
「学問の神官様なら文字読めるよね?冒険者の店に登録したいけど、よく分からなくて……。」
田舎者の少女が恥ずかしげに話す。
「ええ、もちろん。ただ商隊護衛受けたら、街を離れるので本当に登録だけになりますよ。」
冒険者の依頼は契約が命。
契約書が読めないパーティーなど、使い捨てにしてくださいとお願いする様なもの、冒険者の店ギルドの誇大広告が効きすぎているのだろう。
「ジェーンさんの様な親切な方と知り合えて良かった。」
「そうだべな」
「まったくです。」
「いえ、恐縮です。」
信じられない人の良さ。
これなら、儀式を行い[永遠の神]に100の魂を捧げるなど簡単に思える。
「パーティー名はどうしましょうか?」
私の問いに3人が話し合っている。
さて先ずは王都まで、その後はどう殺そうか?
私が知りたい事は山程ある……。
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私の黒歴史がまた1ページ。




