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魔導書(電子書籍版)と契約し旅にでる  作者: 弓納持水面
第9章 再始動

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ちげえよ

「冒険者の心得として、ヘイトを集めない様に少し還元するんだ」

byロバート


「チャシブさん大丈夫ですか〜帰り遅いので[出禁のデグ]の毒牙にかかったかと〜」

デポさんの際どい冗談に、デグは身振りで否定し自分も、「ちげえよ。」と一言返す。


墓場での渋いデグは鳴りを潜め、今居るのは口下手な、ただの体格の良い男だ。

戦っている時は少し、少しだが、格好良く見えたのだが……。


テーブルでは、アヤメとレイカ、そしてブレナが定席となった踊り場テーブルで食事をしている。

俺とデグもテーブルに付く。


「チャシブ。ブレナさんが合流してくれるって。」

レイカが俺の方をみて笑いかけてきた。

ブレナの体調はすっかり戻っている様だ。

俺は、やっぱり筋肉山盛りより、線の細い頭良さそうな方が好みだったりする。

サムスみたいに公言する気はないが……。


「心配かけましたチャシブ。」

ブレナも笑いかけてきた。


「悪い女に引っかかるからだ。どうせジェーンは美人だったんだろ?」

つい憎まれ口を叩いてしまう。

今後、アヤメにレイカ、まわりは美人揃いになる。

前途は多難になるだろう。


「そうですね。でもチャシブ程ではありませんでしたよ。」

う、なんだよ、その返しは……。


「あら〜、チャシブさん顔が赤いですよ〜。」

俺とデグの注文取りに来たデポさんに指摘される。


「ちげえよ。」

事実だろう。


「デポさん、[竜の卵]5人ならパーティーとしてどうだろう」

アヤメが仕事モードに戻してくれた。


「バランスも良く〜色々依頼出来そうです~。冒険者は旅する者ですが〜ハルピアに暫く居てくださると助かります~」


「むぅ。アヤメは空気読めてないよ。」

レイカさんが話を戻そうとしている。

まずい。


「デポ、[治安維持依頼]じゃないよな?」

ここは仕事の流れで押そう。


「治安事務所からは〜北−103との契約は解除すると〜報酬以外に謝礼を貰うのは規則違反です~」


「え?それってペナルティとかあるの?」

レイカが慌てて訊く。


「賄賂なら〜没収がありますが〜今回はありません〜」

「後〜これは大地母神殿から〜報奨金です〜」

また金貨20枚入った袋が出された。

1階がざわめく。

まじかよ。


「灰色髪の〜ノーマルヴァンパイアに〜報酬かかっていたのです〜」


「ん?覚えないよ?」


「デグさんが〜一騎打ちで〜」

皆の視線がデグに集まる。

店が静かになる。


「事実だ……」

う、渋い。

歓声が上がる。


「一応〜墓地には管理人います〜冒険者の店ギルドに〜受け取り人の照会きてました〜」

デグが受け取った金貨を1枚デポに渡した。


「店のみんなに1杯づつ……」

さらに歓声が上がる。

冒険者の心得として嫉妬を和らげる為に奢る行為は知っていたが、初めて目にした。


「1枚1枚銅貨を数えていた自分が虚しくなります。」

大騒ぎの店内でブレナが呟いた。

「俺もだよ。」

酔ったふりをしてブレナに、少し寄りかかった。

大地母神殿としては毎日の様にくるデグに墓地で報奨金払っても良かったはずですが、冒険者の店ギルドに照会してアンデッド討伐の報奨金制度を知らしめたい。

デポは看板冒険者が稼ぐとこ見せて宣伝したい。

などが意図あります。

ただアンデッドは灰になるので、なかなか支払われません(笑)


私の黒歴史がまた1ページ。

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