ゴブリンってなに?
ジグ視点です。
デグは出発準備中でいません。
銀貨10枚。
昨日珍しく激高した弟が破壊した酒場への弁済金額。
後ほど酷く恐縮していたが、弟の本気の力を知ることが出来た。
昨日聞いた話の内容から、今回はゴブリンの数が多い。
2人では手に余ると思っていたが、何とかなるかもしれない。
ただ弟に本気を出させるにはあの少女を巻きこまなくてはならない。
「レイカ殿。貴女の大地母神の歩き巫女としての力をお借りしたい。」
「?」
少女は不思議そうな顔でこちらを見つめてくる。
「実は近くの薬草の森にゴブリンが出没している。」
「そのゴブリンを退治するのに弟と2人では厳しい。なのでレイカ殿に神聖魔法で助けて欲しいのです。」
「う~んと、少し待って」
少女は考えこんでいる。
確かに前衛を突破されたとき、この少女が身を守れるとは思えない。
危険の度合いを考えているのだろう。
「(ねぇマドウ。ゴブリンってなに?)」
『そこからか?』
『ゴブリンは一般に一度に二匹の子を産む。
感染症にはかからない。
睡眠時間は人間の半分
発情期は通年。
妊娠期間は3カ月。
5年で成ゴブリンになる。
小規模な群れで縄張りを持って暮らす。
人里に現れるのは群れから追い出された個体や、群れ内部での争いに破れた一団が多い。
武器を持った人間の成人男性なら、倒すのは容易。
複数に囲まれると厳しい。』
「(そんなウイキ的な説明でなくて)」
『妖魔。人間は自らと友好的な異種族なら妖精。敵対的なら妖魔と呼んでいる。』
「(う~ん。そうでなくて。
マドウ。ゴブリンって強いの?)」
『さっきの説明のとうり。』
『白兵されたら、冷夏より強い。ジグ、デグ兄弟よりは弱い。ちなみに白兵とは眼の前で直接戦うことだぞ』
『それに前提条件は頭数が同じぐらいなことだ。』
「(神聖魔法でゴブリン退治に役に立つ事出来るの?)」
『[死神よ。気撃で。ゴブリンを撃て。]で攻撃もできるが、回復魔法で援護した方が良いだろうな。』
「(ありがとう。なんとなく分かった。)」
『(分かってないぞ。冷夏。)』
「分かりました。神聖魔法での援護で良ければ、協力します。ただう~んと、白兵?は避けたいです。」
「そのあたりは、自分達兄弟にお任せください。早速ですが、出発準備おねがいします。」
少女に嘘をついた。ゴブリンの数は推定6体。
白兵は避けられない。
少女を守る弟の奮戦にかけるしかない。
ウイキは冷夏の前世にある。ご存知のあれです。
私の黒歴史にまた1ページ。




