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魔導書(電子書籍版)と契約し旅にでる  作者: 弓納持水面
第9章 再始動

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顔合わせ

昼間は普通にランチ営業、夜は怪しげな店は実在します(笑)

アロンとサムスを連れて待ち合わせ場所の食堂に入ると、ジェーンは既に待っていた。

もう一組の冒険者はまだ来ていない。

食堂の場所はよく知る場所、昨日人質事件があった食堂だ。


「お食事は結構ですが、お酒は、ご遠慮お願いします。この後の事がありますので。」

確かに酔って顔合わせと言う訳にはいかない。

不服そうな顔するアロンと料理の価格に顔をしかめるサムスを横目に席につく。


「この店の近くに、シーフギルドが経営するカジノがあります。」

もう一組が来るまでの時間潰しにジェーンは話かけてくる。

確かに昼とは客層が違い、胡乱(うろん)げな連中が多い。


「昨日も賭けに負けた客が事件を起こし、騒動があったと噂になってます。」

北−103を知っていて話かけてきているのか?知らずに話しているのか?

表情が読めない。


「それは、よく知っているぜ。しかしあんた神官のくせにカジノとかよく知っているな?」

アロンには挑発的物言いを改める様に話しているが改まらない。

依頼人に不快感を持たれたら困る。

フォローを入れようとしたが、ジェーンは気にした様子もなく答えた。


「[学問の神]の徒として、あらゆる知識を得たいと思っておりますので。」


神官にも魔術師同様、奇抜な人物が多いと聞くがジェーンも例外ではないらしい。

楚々とした外見からは想像出来ない貪欲さがあるようだ。


サムスが頼んだ鳥料理が運ばれてきた。

銅貨4枚。

サムスは稼ぎを大半食べてしまうので、武器が体格に合わず片手剣のまま。

やはり、この2人を見放す事は見殺しにする事に繋がるだろう。


「もう一組が来たようです。顔合わせと今夜の行動についてのブリーフィングを始めましょう。」

今夜?!

決行は今夜なのか?

自分と同様に驚くアロンを無視して、顔合わせが始まった。


マール、ガジ、バツル。

新たにきた女1人男2人の冒険者はそれぞれ簡単に自己紹介をした。

装備は安価な片手剣に革鎧、役割は軽戦士。

冒険者の店が陰で[おのぼり3点セット]と呼ぶ冒険者。

聞けば、パーティー名も決めておらず、もちろん登録もまだ済ませていない。

本当に、おのぼりだ。


こちらも自己紹介をするが、疑念は大きくなる。

「ジェーンさん。とりあえず頭数だけは揃ったが、隠れ家持つ盗賊と当たるには厳しいのではありませんか?」


「戦いは数ですよ。魔術師殿。」

そう言いつつ小袋を取り出す。


「こちらに銀貨6枚用意してあります。依頼を降りられるなら、今です。前金受け取り時点で契約成立です。」

小袋を開け、テーブルの上に銀貨を出す。

硬い音がして銀貨が広がる。


「我輩はもう金がない。」

サムスが銀貨を取る。


マールと名乗った女は3枚取り、3人分安価な、でも量のある料理を頼んだ。


「リーダー、この神官殿の方が1枚上手だぜ。」

アロンが2枚取り、1枚を渡して寄越した。


「隠れ家襲撃の決行は深夜です。それまでは飲酒さえしなければ自由になさって下さい。」

ジェーンは、ゆっくりと微笑んだ。

私の黒歴史がまた1ページ。

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