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魔導書(電子書籍版)と契約し旅にでる  作者: 弓納持水面
第9章 再始動

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新リーダー

この世界では15才成人です。

ただ戸籍があるわけでなし、詐称は簡単です。


「新米冒険者でも受けられる仕事ありませんか?」


[竜の卵]結成の翌日、デポさんに依頼の斡旋を頼んだ。

私と冷夏は魔王(レイナ)の護衛で充分潤ったし、デグさんも散財していない様だからお金には困ってないが、落ち込んだ雰囲気を一新したかった。


その為には何か刺激になる仕事が必要になる。

ただ、今までミケさん、ロバートさんに甘えていた裏取りなどが出来ないから、簡単な仕事を斡旋して欲しかった。


「初心者向きなら、フォレスト商会の商隊護衛など、どうですか~」


「いや、それはパスで。」

被り気味に即答すると、デポさんは笑っていた。

どうやら、からかわれた様だ。


「しかし流石にお届け依頼では役不足ですし〜私は実力知ってますけど〜3人パーティーでは心許ないと一般には言われますよ~」


なるほど、メンバーを増やさないと駄目か。

しかし命を預けられるメンバーを探すとなると……。


「とりあえず、治安維持依頼を紹介します〜日給1人銅貨20枚〜良さそうな仲間をスカウトしたらどうですか~」


朝食後、冷夏とデグさん、いやデグと話をして治安維持依頼を受ける事にした。

[竜の卵]では名前呼びにしようと、話したばかりだ。



「そうですか……、マンティコア殺しの[五芒星]は解散してしまったのですか」

ブレナさんは残念そうに言う。


依頼を受けて治安維持事務所に行くと、もう一組の新米冒険者と組になった。

護衛依頼で一緒だった魔術師ブレナが所属する[エール樽]と言う4人組パーティーだ。


メンバーは軽戦士アロンと重戦士サムス、魔術師のブレナ、荷物持ちのチャシブ。

チャシブだけが女性で、田舎から出てきたばかり、先日[エール樽]に加入したそうだ。


「アヤメ、冒険者って未成年でもなれるの?」


「俺は、こう見えても今年で15だ。」

小柄なチャシブが冷夏の疑問に反論する。

私は別の意味を込めて、ブレナを始めとする男達を見る。


「そういう意図で仲間にした訳ではありません。」

視線の意味を察した、ブレナが弁明する。

「冒険者の店の主人に新人だから、面倒見てくれと頼まれたのです。」


物を知らない女の子や男の子を、そういう用途で仲間にする冒険者も一定数いるので疑ってみたが杞憂だった様だ。


ロバートさんとミケさんは、そう見えることを利用していたのだから、一筋縄ではいかない冒険者だったのだろう。


「おいおい待てよ。卵の姉ちゃん。そんなトカゲ臭いガキは、こちらから願い下げだぜ。」

アロンと紹介された戦士が毒づく。


「竜人はトカゲじゃねぇ!何度言ったらわかるんだ!」

チャシブがアロンにも反論する。


「我輩も鶏ガラには興味はない。女はもっと、ふくよかでないとな。」

サムスが肩をわざとらしく(すく)めると「誰が鶏ガラだ!」と喧嘩を始めた。


ブレナが胃の腑あたりを抑えながら

「色々すいません。よろしくおねがいします。」

と言ってきた。


「こちらこそ、よろしく」

と無難に返事はしたが、色々大変になりそうだ。

以前は分からなかった、ロバートさんのリーダーシップが実感出来た。

治安維持依頼の依頼主は形式上領主のデポなので、自分(デポ)の依頼を自分(デポ)が斡旋する奇妙な話になっています。



私の黒歴史がまた1ページ。

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