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魔導書(電子書籍版)と契約し旅にでる  作者: 弓納持水面
第8章 哀れな生き物

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妖魔神殿の会見

珈琲の原産地と言われるアフリカ(諸説あり)の部族では客人に必ず振る舞うそうです。

「冷夏、菖蒲は族長代行と知り合いなんだよね?どんな人?」

ヒューヒュのいる離れから戻った私達に、今度はレイナが訊ねてきた。


ヒューヒュ側の離れは、兵200と先に入っていた私の姉の紫陽花(あじさい)、竜影一刀流30、さらに使用人までいて、ざわついていた。


こちらは静かだ。

セバスさんと私の兄の竜胆(りんどう)、竜影一刀流10、使用人はいない。


「う~ん、良い人だよ。悪戯好きなナイスバディ。」

レイカが正装しているレイナに答えている。


「ダークエルフとしては若いですが、種子島の部隊創設を短期間で行うなど、付与されている権限や予算は大きい様です。行動力もあり、侮り難い人物かと。」

私は言葉を選びながら答えた。


「種子島部隊、妖魔はお金持ちだからね。」

思案顔をするレイナは幼い少女ではなく魔王としての顔をしていた。


先の第二次魔王戦争で疲弊した人間諸国と魔族に対し、中立を保っていた妖魔族連合は大きく国力を伸ばしている。


特に経済的発展は大きく、財布の中の銀貨も英雄リューリュの横顔が描かれた妖魔族(ドワーフ)製銀貨が多い。

このままなら、妖魔族が世界の覇者と

なる日も遠くないだろう。


「陛下、お時間です。」

部屋の外から、セバスさんの声がかかる。

「行ってくるよ、菖蒲」

簡易王冠を頭にちょこんと載せて魔王(レイナ)が出てゆく。

臨時の付き人に抜擢されたレイカと歩み去るのをセバスさんと見送った。


一刻後

「菖蒲、陛下と族長代行がお呼びだ。」

部屋で時間潰しに詰め将棋を解いていると、兄、竜胆から声がかかった。

島を出てから(なま)っていた将棋頭を鍛え直そうとしていたのだが、何事だろう。


用意されていた下級神官着に早着替えし、急ぎ会見場所に出向くと、ヒューヒュが手招きしてくる。


「魔族と妖魔族との中立不可侵条約を再確認して会見は終わってる。」

「で、これから珈琲を淹れるんだけどアヤメもどうかなって。」

どうかな?って、私に選択肢はない。

ただ高級品の珈琲のご相伴に預かれるのは悪くないことだが……。


「ねぇ菖蒲、珈琲くるまで冷夏と将棋して見せて。」

この悪戯好きのダークエルフの発案だろう。

悪戯に魔王まで乗っかったので、余興まで見せる事になった。

ヒューヒュとレイナは、どちらが勝つか茶菓子で、賭けをしている。


その後、珈琲の苦さにビックリするレイナに高級品の砂糖やミルクを入れる飲み方をレイカが提案して、逆にヒューヒュを驚かせるなどしたが、会見は成功して終わった。


私は、この3人の会見が歴史に記される事になりそうな予感がする。

妖魔と魔族と人間と、姿は違えど私には3人が竜に思えた。

銀貨の話ですが、リューリュの横顔は表面です。ちなみに人間製銀貨は魔術ギルドの紋章、魔族製銀貨は魔王の王冠のデザインで、裏面は通貨統合を示す、共通したデザインになっています。


私の黒歴史がまた1ページ。

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