デート
親の罪は子の罪でもある。
この世界での人間社会では当たり前ですが……。
養父の罪に連座して命を狙われている。
ミケがそっと打ち明けてくれた。
先日ここハルピアで、追手のエルフに遭遇したらしい。
相手は一人だが、少なくとも精霊を連れており一筋縄ではいかない。
そうミケは言っている。
昨日弟と歩いた武器市場を今日はミケと歩く、適当なショートボウを安価で購入した。
エルフボウでなくて良いのか訊くと、ダミーだから良いとの事。
相手は中魔法の事を知らないはずだし、矢合わせでエルフに勝つのはまず無理との事だ。
「相手はエルフと精霊、2対2なら勝負になるわ。」
ミケはそう言っている。
相手のは街中の宿にいるのか?
郊外に潜伏しているのか?
相手の連れている精霊は何か?
今は情報が欲しい、だが全く情報が掴めない。
シーフギルドでは情報も売っている。
ハルピアでも通常のエルフは珍しいはずだから、金さえ払えば情報はあるだろう。
だが、相手もシーフギルドは利用出来る。
こちらが探った事が、相手に筒抜けでも文句は言えない。
「昼食にしましょう。」
冒険者の店[森の若木亭]の前で、ミケから提案があった。
「冒険者の店ならギルドの力あるから仕掛けて来ないでしょ。」
2人で中に入り適当な定食を頼む。
店は混み合っていたが、料理の味はいまいちだ。
いや、あのペティ君の料理に舌が慣れてしまったのだろう。
彼が冒険者の店の料理人なのは惜しい.
「彼が魔族の奴隷でなければ、ゆくゆくは店が持てたでしょうに。」
ミケも同じ意見の様だ。
「昼間だしお酒も入ってないけど、少し、休憩して行きましょうよ。」
店を出て表通りを外れ、裏通りに向かう。
襲われるかも知れない緊張感からか、ミケも、そして自分も昂りが強い。
ミケが耳元に囁いてくる。
「角を曲がったら走るわよ。」
糞、気が利かないエルフが仕掛けてきた様だ。
角を曲がり、二人して駆け出した。
あれ?違和感ある。
って思った方、多分正解です。
ちなみにエルフ法には連座制ありません
私の黒歴史がまた1ページ。




