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某ファンタジー小説風に落丁本作戦してみました。
昔は長編の中のこの詳細は短編集の短編でという酷い商売が昔あったのです。
今ではSNSがあるので、成立しないでしょう(笑)
「失言しちゃったかなアヤメ」
雰囲気の変わり様にポツリと呟くと、
「師範代、いつの間に真祖について学んだんですか?」
アヤメも緊張している。
「私が教えたのよ。」
道場の奥からアヤメの上位版みたいな美人さんが出てきた。
「『竜の道を捨てて、歩き巫女になる』そう言い捨てて、島を出てきた妹が、大層な二つ名と魔刀下げて帰ったのは、冷夏様、貴女のおかげでしょう?」
「姉上……。」
やっぱり、そうだった。
アヤメに見た目は似た部分あるんだよ。
でも……。
「アヤメ、竜を見つけたのに報告しないのは本気で歩き巫女になるつもり?」
う~ん、私は人間のまま転生したよねマドウ?
『なにか宗教的な、比喩ではないのか?』
竜人教?
それだと、カルトっぽい感じしかしないけど……何か違う。
「確かに冷夏は……」
アヤメが言いよどむ。
なんか、ピンときた。
「アヤメは剣客っぽいけど、お姉さんは忍者みたい。」
思わず言ってしまった。
「冷夏、姉上は竜影流の免許皆伝、私以上の剣士……」
アヤメが困惑している。
まあ、そうだよね。
アヤメのお姉さんが笑い出す。
「アヤメ、妹のお前にも明かしていなかった秘密を、一目で見抜かれたぞ。」
「やはり竜ではないか!アヤメ」
うわ、当たった。
なんかドラマの柳生何とかっぽい感じしたんだよ。
表芸は剣士、裏芸が忍者。
裏竜影とか言いそう。
でも、先ずは根本的疑問を解決したい。
「う~ん、ごめんなさい。竜ってなんの比喩ですか?」
アヤメのお姉さんに訊く。
「伝承にいう竜の魂を持ちたる者。」
「竜人は竜と歩む事により、自らも竜になれると言われ、竜の道を歩む竜人には竜たる者の報告義務があるのです。」
アヤメが代わりに答える。
『やはり、宗教的的概念だな、他者には理解できない概念だ。』
「冷夏様、我ら竜人と共に歩んではいただけませんか?竜の島にお招きしたく思います。」
むぅ、聖女だの、竜だの、契約者だの、皆んな期待値高すぎ。
私はただの新米冒険者だよ。
『カルトを正論で説き伏せるのは無理だ。とりあえずアヤメを連れて逃げる算段をつけろ』
カルトは言い過ぎだけど、う~ん。
「私が竜かはわからないけど、竜の島に行くまでには、しばらく時間が欲しいです。」
「そのしばらくの時間、アヤメを貸してください。」
ごめんなさいアヤメ、私は友達として、共に居たい。
けど、酷い表現しか出来ないよ。
「冷夏様がお望みなら、我が愚妹など幾らでもお使いください。」
「しかし、アヤメを羨ましいなどと、初めて思いました。」
アヤメのお姉さんは笑った。
帰り道
「私は竜力が1しかありません。」
「竜人としては出来損ないです。出来の良い、兄や姉とは絶えず比較されてきました。」
「だから、竜人であることを捨て、歩き巫女をしながら剣の道で生きようと思って島を出たのです。」
アヤメが自分の事を話す。
「姉が忍者であることは知っていました。[竜影流には暗い影がある]私が一二三流を学んだのはそんな噂を聞いたからです。」
う~ん、アヤメが自虐モードに入っている。
う~ん。
「アヤメは自己評価低いよ」
「私の友達は凄い剣客なんだから。」
剣客としてのアヤメは良い意味でヤバい。
本気でそう思ってる。
「冷夏も自己評価低いです。」
「私の友達は竜で、聖女候補で、契約者で、種子島ヲタクで、怖いもの知らずで、買食いが好きで、美味しい物が大好きで……」
「むぅ、後半ディスってない?アヤメ」
二人して笑った。
[魅惑の伯爵夫人]から、美味しそうな匂いがしてきていた。
この章はこれで終わりです。
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冷夏の旅も100話まで到着しました。
ありがとうございます。
ストックも後1話のみです。
私の黒歴史がまた1ページ。




