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【3章完結!】  ステータスダウンしかできない無能デバッファー。追放宣告を受けてしまったが実は最強デバッファーでした。  作者: 追放されるけど何だかんだでハッピーなのが好きな人
一章 無能と呼ばれる男
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無能 戦いを見る

ようやく戦闘回です

デバッファーってソシャゲーでも強キャラ認定されてるイメージがあるのですがみなさんどうでしょうか?

宿で準備を整えた俺たちは、町の外にある森に来ていた。ちなみにまともな服を持っていなかったため、道中無理やり服を購入させられ着せられる事となった。俺の所持金では払う事ができなかったため、代金はミラーナが出してくれた。必ず返すと約束しようとしたが、ミラーナからは断れてしまった。カッコいいと声がボソリと聞こえた気がしたが気のせいだろう。


代金の代わりに俺は魔法のリュックの管理を請け負う事にした。魔法のリュックの中は異空間が広がっており、見た目以上に多くの素材を入れる事ができる。外で狩りの活動をする際などにはパーティーの誰かがそれを持ち素材の運搬をする事となる。俺が持っていた魔法のリュックはフォールたちに追い出された時に奪われたため、宿泊していた宿でレンタルする事にしたのだ。この代金もミラーナ持ちなのだが……。正直かなり胸が痛いがその分は最低働く事にしようと決意した。


こうして準備を終えた俺たちがたどり着いた場所。それは通称、魔の森と呼ばれている所で奥に行けば行くほど強力な魔物が出てくるが、深く潜らなければそれほど強い魔物が出てこないという事で有名である。

そのため下級冒険者から上級冒険者まで幅広く活動している場所でもあった。


「魔の森に来たって事は」

「そう、魔物退治よ」


ミラーナの策はこうだ。一週間の間にギルドが納得せざるを得ない成果を出す事で、俺が決して無能ではなく、さらに人格破綻者ではない事を証明しようとしているのだ。この策にもいくつか穴はあるが、何もしないよりはましだろうし、何より自分の為にここまで提案してくれているのだ。断る理由がなかった。


「魔物退治は良いけど俺は武器を扱えないし使えるのはステータスを下げる魔法だけだぞ?」

「心配無用よ。前衛は私に任せてくれたらいいから。ヒューゴは後方支援をお願い……ってさっそくお出ましね」


話をしている俺たちの前に二匹の魔物が現れる。ふごふごと鼻を鳴らし、四足歩行で歩く魔物ボアだ。長い牙を持っており、それを使っての攻撃やスピードを活かしての突進を得意とし、突進の速さと威力は中々のものなのだが、真っすぐにしか走れないという欠点がある。


「ぶふぉぉぉぉ」


威嚇するように鼻を鳴らし。突進の構えを取る。


「ミラーナ! 突進が来る! 退避の準備を……」


俺が言葉を言い終えようとした瞬間、ミラーナは既にその場にいなかった。いつの間にかボアの前に移動し、手に持っていた剣でその身を切り裂いた。


「ぶふぉぉぉ……」


威嚇の声が悲鳴の声となり、切り裂かれたボアはたった一回の攻撃で倒れこんでしまった。


「……マジか……」


速度もそうだが、ボアを切り裂いたあの一閃。どれほど鍛錬を積んだのか鋭いながらも美しい斬撃だった。一体どれほどの鍛錬を積んだのだろうか? 俺はミラーナの動きに魅了されていた。


「ぶふぉぉぉぉ!」


もう一頭のボアが仲間を倒された事に怒りを覚えたのか、激しく体を揺らし興奮した素振りを見せる。そしてすぐさまミラーナに対し突進を繰り出した。


「遅い」


ボアの突進が迫る中、驚いた様子を見せることなくボアの突進をひらりとかわし斬撃を放つ。攻撃を受けたボアは体勢を崩し、そのまま横に倒れこみ立ち上がる事はなかった。


「すごい……一瞬で二体同時に……」


ボアはそれほど強い魔物ではないが、ゴブリンやスライムといった魔物たちと比べると遥かにタフで力も早さもある。そんな魔物を再会した幼馴染は一瞬にして撃破してしまったのだ。


「どう? 私の実力分かってくれたかしら? 次はヒューゴの実力を」

「ぶごぉぉぉぉぉ!!!」


辺り一帯に魔物の咆哮が響き渡る。咆哮が終わったかと思うと木の陰からボアと似た格好をしながらもそれよりさらに大きい巨体を持つ魔物が姿を現したのだ。


「っ!? グレートボア!? さっきのボアの親玉がいたのか」


グレートボア。ボアよりも一回り大きな巨体を持ち、ボアたちを統率する魔物と呼ばれている。巨体でありながらボアよりも速度は速く攻撃力も高い。それに加えごつい毛皮に覆われているため、防御力も高いという存在だ。ボアは一般的にはEランクの実力があれば倒せるくらいの魔物であるがグレートボアはCランク相当の強さとなり、討伐難易度が一気に跳ね上がる。


「これは結構厳しい戦いになりそうね」


ボアを一太刀で倒したミラーナもグレートボア相手ではさすがに余裕とはいかないようだ。それでも表情は至って冷静で怯えた様子を見せない。


「ミラーナ行けるのか?」

「問題ないわ。余裕とはいかないけど」


Bランク相当の魔物相手でも問題ないと言うミラーナの実力は相当なものなのだろう。しかし疑う訳ではないがグレートボアは相応の強さを持つ強敵だ。フォールたちとパーティーを組んでいた時にも遭遇した事があったが、彼らの実力をもってしても苦戦した相手だ。油断はできない。


「俺が弱体魔法で援護しながら囮になる。ミラーナはその隙に攻撃を!」

「っ!? ヒューゴ!?」


俺はすぐさまグレートボアに弱体魔法を唱え、こっちだと大声を上げてグレートボアの意識を逸らす。グレートボアは背を向けた相手を追いかける習性がある。何度か戦い観察した事で見つけたのだが、フォールたちにはそんな無駄な事してる暇があるなら囮の仕事を真っ当しろと怒鳴られた記憶がある。


「ほらこっちだ! 脳筋!」


俺の挑発に答えるようにグレートボアが俺に向かって突進を繰り出す。普通であれば突進の速度を見極める事など不可能なのだが、俺には弱体魔法がある。弱体魔法でグレートボアの速さを減少させる事で何とか目で追えるようになる。グレートボアをひきつけつつ、俺は突進をギリギリの所でかわす。グレートボアは回避した俺を追う事ができずそのまま突っ込み、牙を大きく木に突き立てる。


「ミラーナチャンスだ!」


木に牙が突き刺さった事でそれを抜くためにグレートボアに隙ができる。ミラーナも俺の考えを既に見抜いていたようで既にグレートボアに向かって斬りかかろうとしていた。


「やぁ!」


ミラーナがグレートボアに斬撃を放つ瞬間に俺は魔法で防御力を減少させる。ボアと比べるとグレートボアの皮膚は分厚く硬いが、魔法を入れる事でその強度を落とす事ができる。


「ぶぎゃぁぁぁ!!!」」


体を大きく切り裂かられたグレートボアが大きな悲鳴を上げる。そして驚くべき事にたった一閃の攻撃でグレートボアはその場に倒れこんでしまったのだ。


「……マジか」


弱体魔法を使ったとはいえ、グレートボアですら一撃で仕留めるミラーナの斬撃に俺は驚かずにはいられなかった。Aランクに昇級と言われていたあのフォールたちでもグレートボアを一撃で倒す事はできないだろう。もし彼女がギルドに所属していればAランク、下手すればSランクにすら届く可能性がある。その領域にたどり着くために一体彼女はどれほどの鍛錬を積んだのだろう。


「ちょっと……どういう事なの……」


驚く俺とは別にミラーナも何故か驚きの表情を浮かべている。


「何でこんなに柔らかいのよ! グレートボアの皮膚はもっと硬いはずなのに! 一体どんな魔法を使ったのよあなたは!」


彼女の驚きの声が辺り一帯に響き渡る事となった。


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