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【3章完結!】  ステータスダウンしかできない無能デバッファー。追放宣告を受けてしまったが実は最強デバッファーでした。  作者: 追放されるけど何だかんだでハッピーなのが好きな人
一章 無能と呼ばれる男
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討伐隊 任務開始 part14

ようやくここまで来れたぁ

タイトル詐欺やっと回避できます

「あれも防ぐなんて……」


自分の中で最大の一撃を放ったつもりだった。しかしその攻撃ですらダメージを与えるどころか完全に防がれてしまった。それも素の状態で。

オークジェネラルでさえ倒せる威力を持つ剣撃。それですら目の前のオークには通用しなかったのだ。


「ニンゲンにしては大したものだ。だがエンペラーたるオレにはあの程度の攻撃など通用しない」


人語をしゃべるオークがついに発言する。"エンペラーたるオレ"と。やはりというべきか。この目の前にいるオークこそ最悪の魔物。オークエンペラーそのものだったのだ。


(無理よ……私じゃ……)


大量のオークを引き連れ国を滅ぼしたと言われ、過去の文献に載るほどの化け物。そんな相手をただの一介の騎士である自分だけで倒せるわけがない。絶望という言葉がミラーナにのしかかってくる。


「攻撃というもの。矮小たるキサマたちニンゲンにオレが見せてやろう」


オークエンペラーが手を上にかざす。すると漆黒の渦のようなものが現われ、オークエンペラーがそこに向かって自分の手を入れる。


「ブッヌォォオオオオ!」


驚くべき事に渦の中から巨大な斧を取り出したのだ。


「空間……収納」


異空間に物を入れたり、逆に取り出したりできるかなり珍しい能力。それをミラーナの前で披露したのだ。


「ホウ。この能力を知っているのか。チシキもそれ相応に持っているか」


ミラーナの言葉にどこか満足した表情を浮かべるオークエンペラー。その笑みは下種な男の笑み以上に気味が悪い物だった。


「キニイッタゾニンゲンよ。キサマをワレワレオークの繁栄の種としてやろう。光栄に思うがいい」


その言葉に背筋がゾッとする。オーク相手に自分の純潔が奪われる。そんな光景想像しただけで震えが止まらない。


「悪いけど……あなた程度に上げれるほど私は安く……ないわ!」


こんなオークにやられてたまるか。恐怖や不快感が襲い掛かる中、何とか自分を鼓舞し戦闘の態勢を取る。



「ホウ。まだ立ち上がるか。いいぞ。オレをもっと昂らせろ。燃えさせろ!」


得物を手にしたオークエンペラーを前に、ミラーナは自身の限界、それ以上の力を出して攻撃をしかける。


「ホーリーレイ!」


あらゆる方向から光の光線を放つ魔法。本来なら対複数戦で使える魔法なのだが、オークエンペラー相手では気を逸らすくらいの効果しかない。だが多少なりとも相手の隙をつく事ができる。


「これで……決める!」


二度防がれた攻撃。だが自分が持つ技の中で最も威力のある攻撃。二度撃っても駄目なら三度放つまで。魔力をさらに込め、ミラーナが渾身の一撃を放つ。


「フォトン   キャリバー!!!」


再び光の魔力を纏った一撃がオークエンペラーに襲い掛かる。その攻撃によって地面が割れ、森の木が破壊される。その一撃は地形が変わるほどの威力を持っていた。


「はぁ……はぁ……」


これまでの戦いで消耗していた事に加え、大技を何度も放った事でついにミラーナの体力は限界に達しようとしていた。戦うどころか歩く力さえ残らないくらいに。


「スバラシイ。まだあれほどの攻撃を放てるか」


しかしそれでも、あれだけ攻撃を放ってもオークエンペラーにはろくなダメージを与えられなかった。


「ではオレもお返しをするとしよう!」


大きな雄叫びを上げつつオークエンペラーが斧を振るう。先ほどまで自分が放った攻撃。それを嘲笑うほどの威力をもった一撃がミラーナに向かって襲い掛かる。


「くっ!」


剣に魔力を込めて防ごうとするが抑えきれない。抵抗むなしくミラーナの体が大きく吹き飛ばされる。


「うっ!」


衝撃で飛ばされ、木に背中を打ち付ける。すぐに回復魔法で治療しようとするが、魔力の消耗と激しい痛みによって中々治せない。


「グッフォフォフォ。ドウヤラここまでのようだな」


ニヤァっとオークエンペラーが笑みを浮かべながらこちらに近寄ってくる。その顔は下衆びた男のそれと全く同じものであった。


(いや……来ないで……)


迫りくるオークエンペラーを前にミラーナは心の中で拒絶の言葉を叫ぶ。いやだ。男ですらないオークのような魔物に汚されるなど。

(来ないで! 来ないでよ!)


あまりの恐怖に泣き崩れてしまう。心の中で叫んでしまう。しかしどれだけ叫んでもオークの歩は止まらない。一歩また一歩こちらに向かって進んでくる。


(助け……助けてよぉ……)


我ながら情けない。そんな彼女にある人物の顔が頭に浮かぶ。大切な幼馴染。小さい時に自分が泣いた時、悲しんだ時、苦しかった時、寂しかった時、怒られた時、呆れ顔をすれど必ず助けてくれた自分の中の英雄。離れ離れになっても決して忘れる事はなかった愛しい人。


(ヒュー君!)


幼馴染の名を心の中で叫ぶ。そんな都合よく助けなど来るわけない。それでも名を呼ばずにはいられなかった。


「グッフォフォフォ。いいなぁその顔、そそられ」

「俺の大切な幼馴染に何してやがる! このクソオークが!」


泣き崩れるミラーナを庇うようにして何者かが姿を現す。そして突如現れたその人物はオークエンペラーの腹に向かって素手による一撃を放った。


「グブォォォ!」


光魔法を付与した剣による一撃ですら防いだオークエンペラー。そんな彼でも突然の不意打ちによる一撃に耐え切れず呻き声を上げその場に膝をつき倒れこむ。


「あ……あぁ……」


これは夢か? 涙で目が霞んでいる事によって見えている幻覚か? 声も聞こえたが幻聴か? 様々な思いが頭をよぎる。否どれも違う。これは紛れもなく現実。


黒目黒髪の少年、ヒューゴが彼女の目の前に立っていた。


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