討伐隊 任務開始 part7
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(まずいわね……)
ミラーナは冷静に今の状況を分析していた。
「はぁはぁ……」
「ぜぇぜぇ……」
ここまでの度重なる連戦でほぼ全員が消耗した状態となっている。あの後もさらに何匹ものオーク。その中にはナイトやメイジもおり、望まずとも体力の消耗する戦いを強いられる事となった。後衛に配置されていたミラーナは彼らと比べ、かなり体力に余裕があるが、他のメンバーが疲弊してしまっている。
オークはともかくナイトやメイジは変異種として認定されており、そんな魔物たちと連戦をすれば誰であっても消耗は避けられないだろう。
「なぁ……リーダー」
「そろそろやばいぜ」
「正直かなり消耗している。下手すりゃ戻れなくなるぞ」
リーダーの男たちのパーティーが続けざまに現状を報告する。
(……そろそろ限界か)
リーダーの男もこれまでの戦いでかなり披露している。まだオークナイトやメイジ相手なら戦えるだろうが、それ以上の強さを持つ魔物が現れた場合はさすがに勝てる自信がない。そんな状態まで追い込まれていた。
「何をしているんです。早く進みなさい!」
歩を止めようとするリーダーの男に対し、ウイズが進むよう命令する。
「何言ってんだこいつ?」
「人に背負われておいてどの面下げて命令してやがる!」
他の者たちと違い、ウィズは体の大きい男に背負われていた。本人曰く、これまでの戦いで魔力をかなり消費し、歩けなくなってしまったというのだ。
さすがに置いていくわけにはいかなかったため、ギルドメンバーの一人が背負う形で移動しているのだが、疲れていても口だけは元気であった。
「そうですわ。このままでは私たちの成果は無し。何の意味も無くなってしまいますわ」
ウィズの言葉を肯定するよう続けざまにローナルが声を上げる。彼女もまたこれまでの戦いで歩くのが難しいほど疲れ切っていた。そのため、自分の派閥に属している女性騎士二人の肩を借りて何とか歩いているという姿勢を取っていた。
(はぁ……)
心の中でミラーナは思わずため息をしてしまう。自分の力だけで歩けない状態であるにも関わらず、撤退する姿勢を見せない二人。二人に対し怒りを覚えるどころか呆れかえってしまう。
「……さすがにこれ以上進むのは危険だな。撤退しよう」
撤退の言葉にウィズとローナルは驚きの表情を浮かべるが他の者たちはホッとした表情を浮かべていた。どうやら他の者たちも限界が近かったようだ。
「よし、そうと決まればさっさと帰ろうぜ」
「しかし今日はやたらオークを見たな」
「繁殖でもしてんのか?」
ギルドメンバーたちもこれまでの戦いの中で多くのオークと会ったことに違和感を覚えていたようだ。それと同時にこれはミラーナにとってはチャンスであった。オークの大群が森に潜んでいる。この情報を信じてもらえる絶好の機会なのだ。
(けど今は言えないわね……)
だがミラーナはその情報を伝えようとせず、ただ静かに歩を進めるだけだった。彼女がその情報を言わなかったのには理由がある。
今この場でオークの大群についての話をすると、討伐参加者の者たちの間で動揺が走り、下手をすればパニックになるかもしれない。そう考えたのだ。
これ以上進むのならまだしも、リーダーの男は撤退という選択をしたため、変に情報を伝えて場を混乱させる必要もないだろう。
「ん?」
「なんだあれ?」
歩くギルドメンバーの男たちの前に何かが現れる。
「おい見ろ! 何かあるぞ!」
視界に何かが転がっている姿が見える。それも複数。遠目だと何か分からなかったが近づくにつれてその正体があらわになる。
「おい……これ……」
「嘘だろ!?」
それは物言わぬ姿となった生き物であった。それも”人”の。
「こいつらは……」
「さっき逃げた」
しかも彼らにとって面識がある者たちばかりであり先ほどキラータイガーと遭遇した時に逃走した者たちであった。
「おいおい」
「何でこんなとこに」
「っ!? 来るぞ!」
驚く一行の元にズシンズシンと何者かが歩いて来る足音が聞こえ、その音が徐々に大きくなっていく。
「ブフォォォォ!」
彼らの目の前に現れたのはオーク。それも二匹だ。
「マジ……かよ」
ただのオークなら。いやオークナイトやオークメイジでもまだ何とかなったかもしれない。だがそんな希望は奪い去られる。
現れたオークは二匹ともジェネラルだったのだから。




