討伐隊 任務開始 part4
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「そこだ回り込こめ!」
「そっちにいったぞ! 追い詰めろ!」
キラータイガーとの戦闘の後、ミラーナたちはそのまま森のさらに奥深くへと歩を進めていた。その後に出会った魔物たちはいずれもキラータイガーよりも強さの劣る魔物たちばかりだった事もあり、苦戦せず突破し続けていた。
(とはいえ全員が消耗している……。これ以上進むのは危険かもしれないわね……)
心の中でミラーナがこれ以上進んでいいものかと思案する。他の者たちはウッドモンキーの変異種を討伐を意識して動いているが彼女は違う。
森にはウッドモンキーの変異種が可愛く見えるくらい狂暴な魔物がいるかもしれないのだ。そんな存在と相対した時に、今のメンバーで太刀打ちできるとは到底思えない。
「なぁ……本当にこのまま進んでいいのか?」
「キラータイガーの時もそうだったが、さっきから出会う魔物も本来もっと森の奥にいる奴ばかりじゃないか?」
「何かやべー気がするぜ」
ギルドの冒険者たちもどうやら違和感に気づき始めているようだ。以前から森で発生している異常事態。彼らも薄々それを冒険者の勘というもので感じ取っているのだろう。
「そうだな撤退も考え……」
「何を言っているんです? せっかくここまで来たのに撤退なんて。する訳ないじゃないですか」
話に割り込んできたのはウィズだ。撤退という言葉に対しすぐさま否定の態度を取る。
「しかしウィズさん。相手はCランクとはいえ変異種。いくら多人数で行動しているとはいえ我々も大分消耗している。このまま行動を続けるのは」
「消耗したのなら休めばいいだけです。何も成果がないまま帰るなんて真似。私なら恥ずかしてできませんね」
眼鏡をクイっとあげ得意げに話すウィズ。一方でその言葉を聞いた他の冒険者たちは怪訝な目でウィズを見ていた。
はっきり言ってここまでの戦いでウィズは大した活躍をしていない。そう彼らが判断していたからだ。唱える魔法は初級の簡単なものばかり。それも威力が特別高いわけでもない。
少し時間をかければランクが上の魔法を放ちはするものの、それも時間に見合う効果のあるものではない。複数属性の魔法を使っているという点では目を見張るものがあるが、それでも彼の肩書、栄光の翼のAランクに見合う実力があるとは到底思えない。
「さすがはウィズ様。頼もしいですわ」
そんな中、ウィズを擁護する者もいた。騎士団のローナルである。貴族令嬢である彼女は身分や肩書に強い拘りを持っているため、ウィズの実力を見るのではなく、栄光の翼所属のAランクというステータスだけで彼を評価していた。
「おお、ローナル様。あなたは分かって下さいますか」
「当然ですわ。あなた様はあの栄光の翼所属の魔法使いなのですから」
「ありがとうございます。彼らと違いあなたは素晴らしい目を持っておられる。さすがですね」
こんな状況でもこの二人はどうでもいい話をしている。本当に困ったものだ。ミラーナだけでなく回りの者たちも同じ事を心の中で思っていた。
「それに……。ミラーナ様。あなたは今回、後衛担当。いくら 首 席 であるとはいえ、勝手な行動は控えて下さらない? 我々の邪魔にしかならないので」
そう言いローナルはミラーナに視線を向ける。どうやら自分が率先して魔物退治している事が気に入らないようだ。
(まぁ無理もないわね)
ローナルは今回騎士団の指揮を任されており、当然騎士団の功績がそのまま彼女の評価にもつながる。それがミラーナが活躍したとなれば面目丸つぶれである。プライドの高い彼女にとって、それは到底許せるものではないのだろう。
「こちらの指示を無視し独断で動かれるのであれば……」
「失礼しました。今回の指揮権はあなたにあります。従いましょう」
「ふ……ふん。分かればいいのです。分かれば」
今ここで騒ぎを起こすのは得策ではないとミラーナは判断し、とりあえずローナルの指示に従う事にした。といってもあくまで彼女の指揮権は騎士団に対してのみ。作戦を決めるのはギルド冒険者のリーダーの男なのだが。
「とにかく、ここで撤退などありえません。このまま捜索を」
「ブフォォォォ!」
突然の咆哮。それが辺り一帯に響き渡る。
「なっ! 何だ!」
突然の咆哮に、冒険者たちは驚きを覚える。
彼らはこの時、自分たちの今後を全く想像もしていなかった。誰もがあんな事になるとは。




