討伐隊 任務開始 part2
主人公登場マジで遅くなりそう……
その分代わりに見せ場作っていきたい
「しっかりして! 今回復するわ!」
「いてぇ! いてぇよ!」
ミラーナは負傷した騎士の男の元に駆け寄りすぐさま回復の魔法を唱える。彼女は回復魔法が得意という訳ではないが、少しでも役に立てられればという事で魔法を習得していた。
「ひっ!」
「むっ無理だ! 俺死にたくねぇよ!」
仲間が倒されたのを見て何人かの騎士の男たちがその場から逃走し始めたのだ。そしてそれに釣られるようにして、ギルドの者たちも何人かがキラータイガーに背を向け走り始めた事で、討伐隊の人数が減り始める。
「ちょっとあなたたち!」
「ローナル様! 来ます!」
逃げようとする者たちをローナルが引き留めようとするが、その隙を与えまいと続けざまにキラータイガーがローナルに向かって飛び掛かり爪を突き立てようとする。
「くっ!」
何とかその攻撃を剣ではじくローナル。しかし自身の手に激しい痺れが襲い掛かってきた。
(一撃が重い……)
たった一回の攻撃の応酬。それだけなのにこの状況。ローナルは改めて実戦の恐ろしさをこの瞬間を以て味わっていた。
騎士団は魔物討伐に向かう事もあるが、基本は治安維持の仕事が主である。何もない時は基本、鍛錬を積み、体や技を鍛えている。そのため彼らは基本体験をしていないのだ。実戦経験というものを。
「怯むな! 追い込め!」
一方で冒険者たちは魔物と戦い素材を金に換える事で日々の生活を過ごしている。そのため騎士団とは違い、対魔物の経験で言えば彼らより遥かに多い。
事実Bランク以下のパーティーのものでもキラータイガーに恐れる姿を見せず、リーダーの指示の下、冷静に対応に当たっていた。
「リーダー! やばい! 増援が来た!」
「ちっ! マジか!」
分の悪い事に今戦っているキラータイガーに加え、新たに二匹。計三匹のキラータイガーが戦いの場に加わってきた。
「ウィズさん! 魔法は!」
「まだ時間が……もう少しだけ稼いで下さい」
「仕方ねぇ! お前ら怯むな! 冷静に対応しろ!」
数が増えても冷静さを崩さずリーダーの男は指示を与え続けている。
「私たちも負けていられませんわ。皆さん! 行きますわよ!」
「「はっ!」」
ローナルたちも負けまいとキラータイガーの対応に当たる。少しずつ連携が取れ始め、一方的になぶられるという展開から盛り返していた。
「皆さん離れて下さい!」
ついに魔力を込め終わったのか、その場を離れるようウィズが全員に指示を出す。
「ウィズさんの魔法が来る! みんな離れろ!」
「行きますよ! ウインドストーム!」
現れたのは竜巻。それがキラータイガー目掛けて襲い掛かる。
「「えっ!?」」
しかしその光景を全員が目を丸くして見ていた。現れた竜巻は大きさが小さく、速度も遅いものだったのだ。キラータイガーたちはぴょんと飛び上がり、サッとその攻撃をかわしふぁーっと退屈そうに欠伸をしていた。
「あれだけ時間を稼いだのに……あれだけ?」
「おいおい、あれじゃあ俺が魔法撃った方がいいんじゃねぇか?」
「どうなってるんだよ!? ウィズさん?」
想定していたものよりはるかに低威力な魔法が出た事に対し全員が疑問を覚えたのだ。
「当たれば! 当たれば一撃なんです!」
「何言ってるんだよ!」
「あんな魔法でキラータイガーを倒せるわけないでしょ!」
「冗談にしては笑えな……来るぞ!」
今度はこちらの番とばかりにキラータイガーたちが攻撃をしかけてくる。一方的な展開とはなっていないが、キラータイガー三体相手にこちらの体力も削られ始めていた。
「このままだとマズイって」
「雑魚ならともかくキラータイガーだ。この人数じゃ全員逃げ切れねぇぞ」
「どうするよリーダー!」
「くっ!」
キラータイガー一体ならともかく三体相手となれば簡単にいかない。同行してくれている騎士団の面々も奮闘はしているが、中々決定打を与えられずにいる。このままだとジリ貧だ。
「ぐぅぁぁ!」
「きゃぁぁ!」
キラータイガーの攻撃を抑えきれなかったのか、次々に負傷者が現れる。
「リーダー!」
「……やむをえんか。総員!」
「もう! 見てられないわ!」
退避。その言葉を言い切ろうとしたリーダーの声を遮るようにして何者かが戦いの場に躍り出た。
「はぁ!」
キラータイガーに剣による一閃が放たれる。先ほどまでとは一味違うの攻撃。
「ぐるぅぅぁぁ!」
それを貰ったキラータイガーが悲鳴を上げる。
「ならこれで……どう……かしら!」
今度の剣撃はさらに特別なものだった。その一撃はただの攻撃ではない。それは光の魔法が付与された一撃なのだから。
本能的に危険だと察知したのキラータイガーたちはその攻撃を避けようとするが、彼らもまたこれまでの戦いで体力が消耗していた
。そのため思ったように足が動かない。
ミラーナによる光魔法を付与した剣による一撃。それをかわせずにその身に受ける事となった。




