幼馴染 参加する
災害怖い……
対策はしっかりとするようにします
ヴァルトと会話した後、ミラーナはすぐに次の日の準備をし、すぐさま就寝した。
経緯はどうあれ再び魔の森に足を踏み入れる事となった。今回はウッドモンキーの変異種討伐という名目で魔の森のあちこちを歩く事になる。
(オークの群れを他の人にも見てもらえたら信用してもらえるかもしれないわね)
森の探索を行えばオークの群れと出合う確率はその分だけ上がる。実際、ヒューゴやレイシアと行動を共にしていた時もその姿を目撃している。
(けど注意しないと……。油断したらあのワイルドベアのように……)
オークの群れの恐ろしい事はあの巨体に体を拘束されることにある。実際ワイルドベアが複数のオークに体を抑え込まれ動けないようにされてしまっていた。そこをオークジェネラルになぶるようにして惨殺されている。
今でもあの光景を思い出すとゾッとするくらいだ。
(ヒューゴ……どうしてるかな?)
結局ヒューゴとは再会できず仕舞いだ。しかもヒューゴはあらぬ疑いをかけられ衛兵たちに追い回されている。
「ううん。ヒュー君なら絶対に大丈夫! だってヒュー君だもん!」
幼馴染の自分が心配してどうする。彼のすごさは自分が一番わかっている。彼と長年行動を共にした栄光の翼のメンバーよりも分かっているはずだ。
討伐隊が動くとなれば必ず彼も動きを見せるはず。ここにはいない幼馴染を信じて、ミラーナは準備を終え、討伐隊の集合地に向かう事にした。
「結構多いわね」
集合場所には多くの者たちがいた。おそらくギルド所属の冒険者たちなのだろう。そしてそれとは別に自分と同じ騎士団の者たちもいた。
「彼女も……いるのね」
そこには昨日も出会った女騎士ローナルがいた。様子を見ているとどうやら彼女が今回団員の指揮を取るようだ。彼女よりも適任な人材はいくらでもいるだろうに。おそらく彼女が貴族令嬢である事も絡んでいるのだろう。
「あら……これは首席様。ご機嫌麗しゅう」
ペコリと頭を下げてくるローナル。おそらくヴァルトから今回の討伐隊に加わるという話を聞いたのだろう。彼女の周りには取り巻きである女性騎士も何人かいる。ミラーナに嫌がらせをしてくるローナルのお供である。
「今回あなたは後衛のサポート。私たちの邪魔をしないようして下さるかしら? なにせ今回は私、指揮を任されておりますので」
「……注意します」
「おや、そこにいるのは女性騎士のミラーナ様では?」
声のする方向に目を向けると、これまた出会いたくない人物が姿を現しこちらに歩み寄ってきた。眼鏡をかけた男、栄光の翼のメンバーの一人ウィズだった。
「これまた偶然ですね。もしやあなた様も討伐に参加されるのですか?」
「……ええ」
「あら、あなた様はもしかして栄光の翼のウィズ様では?」
ウィズの姿を見たローナルが会話に割り込んでくる。
「あなたは?」
「これは失礼しました。私、ローナルと申します」
「ローナル? まさか! あの大貴族の!? 失礼しました。私は栄光の翼のウィズと申します」
「ふふ、お噂はかねがね」
聞いていて耳が痛い。これから魔物退治に出かけようというのに互いに自分を良く見せようとアピールしている。そんなものはどこか別の場所でやってほしい。ミラーナは呆れと同時に内心にイライラが募ってくる。
「ところであのむ……黒髪の彼が見えませんがどちらに?」
「そういえば。噂によると何やら悪事を働いたとか」
「いえね。あの男。事もあろうか我々を逆恨みし、始末しようとしたのですよ。そのせいで我々のリーダーも大ダメージを受けてしまいましてね。今衛兵やギルドに報告して指名手配してもらっています。まだ捕まってはいないようですが時間の問題でしょう」
ピキッっとミラーナの眉間に意図せずシワがよる。どうやら衛兵たちがヒューゴを追い回してたのは、この男が絡んでいるからのようだ。
(なるほどね。そんな嘘を信じたギルドもそうだけど……この男、どう始末しようかしら?)
この男、ただでは済ますまい。メラメラと怒りの炎がミラーナの中で燃え始めた。
「そんなわけで今回は私一人でウッドモンキーの変異種討伐に参加させてもらってます。ですが心配不要です。私は天才。一人でも何でもできますので」
「まぁ、何と心強い。ぜひともよろしくお願いしますわ」
「畏まりました。その代わり、何卒私の活躍を父君にして頂ければ」
様々な思いが交差する中、こうしてウッドモンキーの変異種討伐隊に様々な者たちが集まる事となった。




