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【3章完結!】  ステータスダウンしかできない無能デバッファー。追放宣告を受けてしまったが実は最強デバッファーでした。  作者: 追放されるけど何だかんだでハッピーなのが好きな人
一章 無能と呼ばれる男
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無能 再会する

お待たせしました!

いよいよヒロイン登場です!

甘々な展開にしていければなと思います

監視される事が決まった後、俺はミラーナに連れられ、宿屋に向かう事となった。何でも俺の追放を阻止し、フォールたちが俺をはめようとしてる証拠を見つけるための作戦を練るのだと言う。

なぜ出会ったばかりの彼女が俺の無実を晴らすために自分の身を賭けてまで助けようとするのか? 普通ならばありえない。むしろ何か裏があるのではないかと勘繰るのが当たり前だろう。


(ミラーナって事は……あのミラーナなのか?)


もし目の前にいる彼女が俺の記憶の中にいるミラーナと同一人物なのであれば話は変わってくる。自分がまだ子どもだったころ、同じ名前で、亜麻色の髪をした少女に出会ったことがあるのだから……。

だがうかつに声をかける事ができない。万が一同姓同名の別人なら大恥をかく事になる。しかも相手は息を呑むほどの美貌を持つ美女だ。そんな女性に勘違いを口にし、キモイなどと言われようものなら最早立ち直れなくなる。


「つきました。ここの宿はこじんまりとしていて人も少ない。作戦を練るなら最適かと」


確かの彼女の言う通り、目の前のある建物は宿屋という割にはそれほど大きくなく、通りも人通りが少ない。密談するには悪くない場所だ。


「……大丈夫なのか? 曲がりなりにも俺は男だぞ? いくら君が騎士団所属の実力者とはいえ俺と密談なんて」

「余計な心配です。少なくとも無能と呼ばれていたあなたに負ける身ではないので」


きつい言いぐさだなと思わず苦笑いしてしまう。もし彼女が自分の知っている彼女であればこのようなきつい言い方はしないだろう。となれば同じ名前の別人という可能性は十分ありえそうだ。

あれこれ考える俺を気にも留めず、ミラーナは扉を開け宿屋に入ったため、後に続く。


「いらっしゃい。あらお嬢ちゃんじゃない。帰ってきたって事は」

「はい。無事に見つける事ができました」

「そうかい。見つかって良かったねぇ」


宿屋に入ると店主らしき女性が声をかけてきた。ミラーナとの会話の流れから察するにどうやら二人は既に顔見知りのようだ。


「帰ってきたって事は……。つもる話がありそうだね。邪魔はしないからゆっくりしていきなよ」

「ありがとうございます女将さん。それでは部屋をお借りしたいのですが」

「好きに使ってくれて構わないよ。お金も貰ってるし。少ししたらお昼を作るからよかったら食べていきな」


宿屋の女将に会釈し、ミラーナは階段を昇り二階へ上がったため、俺も続く。おいおい密談ってまさか二人きりか? いくら俺が無能と言われているとはいえ男女二人きりってのはマズイんじゃないか?

俺が色々心配する中、扉が開かれ部屋に入るよう促される。断る理由もなかったため、俺は彼女に続いて部屋の中に足を踏み入れる。

「それで作戦を練るっていうのは……。いやその前にどうして俺の事を気にかけてくれたんだ?」


作戦を練るという事で部屋に連れてこられたのだが、何故そうまでして自分を助けようとしてくれているのか未だ分からない。質問を投げかけるが彼女の肩が震えるだけで返事が返ってこない。


「あの? ミラーナさ」

「何やってるのよこの馬鹿!」


突然大声で怒鳴られ、体がビクリと動く。


「あっちこっち探して! ようやく見つけたと思ったら! ギルドの無能!? 寄生虫!? 挙句追放だなんて! 何をどうしたらそうなるのよ!」

「えっ!? あの!?」

「ギルドで活動するならするっていいなさいよ! 約束したじゃない……。それなのに勝手に一人で行動して……。」


怒ったと思ったら今度は悲しそうな表情を浮かべる。何が何だか分からないが彼女の言葉を一つ一つ何とか自分なりに整理しようと頭を働かせる。


「どうして……頼ってくれなかったのよ……。そんなに私は……頼りないの……」


約束。頼る。そういった言葉と過去が少しずつ繋がっていく。


「おっきくなったら一緒に冒険しようね! もちろん二人一緒に! 絶対だよ!」

「私、立派な騎士様になる! 騎士様になったらヒュー君の事助けてあげる! だからいつでも頼ってくれていいんだよ!」


ふと昔にある少女とした約束が脳裏をよぎる。小さな子どもだった時に交わした約束、成長するにつれ消えていった過去の記憶。


「ごめん。ごめんな。ミラーナ……」

「謝るのも……気づくのも……遅いのよこの馬鹿……」


いつの間にか泣き出したミラーナが自分の胸に顔をうずめている。そして自分の手も知らぬ間に彼女の頭を優しくなでていた。


「罰として私が良いというまでこの姿勢でいなさい……。私の顔……見たら絶対に許さないから」


こうしてしばらくの間、彼女の許可がでるまで二人きり、ゆっくりと時間が経っていくのであった。


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