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【3章完結!】  ステータスダウンしかできない無能デバッファー。追放宣告を受けてしまったが実は最強デバッファーでした。  作者: 追放されるけど何だかんだでハッピーなのが好きな人
一章 無能と呼ばれる男
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無能 相談する

明日も投稿いけそうです

よろしくお願いします。

作戦を考えようとは決めたものの、中々良い案が出てこない。ミラーナも自分と同じ事を考えているのか難しい顔をしている。


「あら? あのお嬢ちゃん帰っちゃったのかい」


考え込んでいた俺たちの前に女将さんが現れる。


「楽しく会話をしていると思ったら難しい顔をして……。何か悩み事でもあるのかい? あたしでいいなら聞くよ」


どうやら人の目で見ても分かるくらい俺たちの顔に心情が浮かび上がっていたようだ。


「ヒューゴ……どうしよう……」


ミラーナがボソリと女将に聞こえないくらいの声で俺に尋ねてくる。おそらく先ほどまで話し合っていたオークの件について、女将に話していいものかと考えているのだろう。


「さすがにこんな話女将さんにはできないよ」

「そうよね……。なら」

「もしかして、さっきまであんたたちが話していたオークがどうこうって話かい?」


女将の言葉に俺たちはハッとする。聞こえていた? その事実に俺たちは思わず驚きの表情を浮かべてしまう。


「こう見えて私は耳が良くてねぇ。そういえば他の店でオークの肉が手に入りにくくなったって話を聞くねぇ。まさかそれと関係あるのかい?」


中々鋭い。この女将さん実は只者ではないのではと考える。そういえば、情報屋についての話も女将さんが発信だったな。となればこの人は普通の女将ではな


「まぁ私はただの女将だからねぇ。役にたてるかは分からないよ」


まるで心を読まれたかのように返答される。ともあれこの人になら相談してもいいだろう。ミラーナの方に目くばせすると彼女もコクリと静かに頷いた。どうやら俺と同じ考えのようだ。


「実は……」


こうして俺たちは女将にこれまでの情報を包み隠さず全てを話す事にした。


「……なるほど。オークエンペラーに、オークの大群。本当ならとてつもなくマズイ事になってるわねぇ」

「はい。このままじゃかなりの犠牲者が出ると思います。最悪この町が滅ぶ事も……」


俺たちの話を聞いた女将がはぁーと深いため息を吐く。


「こんな時に限ってあのギルマスはいないんだから」

「ギルマス? ギルドマスターの事ですか?」

「あの人。昔っから肝心な時にいない事が多くてね。困ったもんだよ」


ギルドマスター。ギルドを運営している管理者のような存在で、当然その実力も高い。何せギルドには様々な人間がいる。そういった面々を統率するにはそれ相応の強さが必要なのだ。


しかしこの町のギルドマスターは多忙であるからか、ギルドに顔を出す事が滅多になく、本当に存在するのかと言われてるくらいだ、かくいう俺も栄光の翼に入っている時から一度もその姿を見た事がなかった。


そんなギルドマスターと知り合いという女将。情報屋の件についても知識があったりとどうやらただの宿の女将という訳ではなさそうだ。


「町の事なら本来は領主様に相談すべきなんだけど……ねぇ」


こういった時に頼りになるのは町を治めている領主なのだが、この領主。困った事に事なかれ主義であり、領主としての仕事をろくにしていない。


表向きは町の門番や町の自治をする衛兵などを配備しているが、当の本人たちはろくに仕事をしておらず、ただ領主に気に入られようとこびを売る者ばかりというのが現状である。


はっきり言って期待できそうにない組織なのだ。


「あんたたちが嘘を言っているようには見えないしねぇ。まぁあたしなりに動いてみるよ。期待はしないで欲しいけどさ」


ともあれ、俺たちの事を信用してくれる人が一人でも増えたという事はうれしい誤算だ。女将はこう言っているが、俺の直感が正しければこの女将はただものではない。口だけではなく本当に何か行動に移してくれそうだ。


「女将さんに負けてられないわね。ヒューゴ、私たちも動きましょう」

「ああ、俺達でもできる事はあるはずだ。まずは町を回ろう」

「あんたたち。気をつけていくんだよ」


女将に見送られ、俺とミラーナは宿を後にし、まずは町を回る事にした。


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