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【3章完結!】  ステータスダウンしかできない無能デバッファー。追放宣告を受けてしまったが実は最強デバッファーでした。  作者: 追放されるけど何だかんだでハッピーなのが好きな人
三章 吹き荒れる風
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反逆する者たち part3

また寒いわ……


ガキィィンと剣同士がぶつかり合う音が鳴り響く。


「むぅ、何者だ!? 私の邪魔をしおって! 何の真似だ!?」


互いの攻撃が弾かれ向き合った状態となる。


「それはこちらの台詞です。今日は領主様の就任式だと聞いていましたが……。それがどうしてこのような争いごとになっているのか。とにかく今すぐ停戦を要求します」


ミラーナが鋭い視線をレジオンに向けている。


「はぁはぁ。ミラーナ様。お待ちくださいませ……。速すぎますわ……」


ミラーナの後に続くようにして、一人の女性が息切れを起こしつつも、場に入ってくる。確か名前はローナルと言ったか、以前ギルドでフォールたちと争った時にその姿を見た記憶がある。


「おや……たしか君たちは」

「ヴァルト隊長の部隊に所属していますミラーナと申します」

「はぁ……同じく……はぁ……所属のローナルですわ」

「ああ、やはり彼の。私の名は」

「ウィンダ隊長……ですよね。当然存じています」


やはりというべきか、ヴァルトの部下である二人とウィンダ。会うのは初めてのようだが、同じ騎士団に所属しているという事もあってその存在を認識はしていたようだ。


「噂には聞いていたがまさかこれほどの美人とは。ふっ、彼も随分好色家のようだ」

「……それよりも早く停戦の指示を。こうなった経緯も後程聞かせて頂きます」

「おやおや、これは手厳しい」


自分の言葉に淡々とした態度を取りながら返答してくるミラーナを見て、ウィンダがやれやれと肩をすくめる。


「どうやら貴様と同じ組織の者のようだが。しつけくらいして」

「レジオーーン!」


注意の声を上げようとしたレジオンに向かって、何者かが斬りかかる。態勢を整えたアルシャが、好機と考え再び攻撃を繰り出したのだ。それを見たレジオンが驚く素振りすら見せず、剣を振りかぶり反撃しようとする。


「くっ!」


しかしレジオンが剣を振るよりも早く、ミラーナが先に動いてその攻撃を受け止めたのだ。一方でその様子を見ていたローナルはおろおろしており、何がどうなっていて、何をすればいいのか分からない状態になっていた。


「剣を収めて下さい。この場は争いの場ではありません」

「この男は父上を騙し家宝の剣を奪ったのだ! それも私欲を肥やす為にあのような使い方を……。貴様はそれを許せと言うのか!」「さっきから何を言っているのだ? 私には全く覚えがないのだが。適当な出まかせを吹聴しないでくれたまえ」

「貴様ぁぁ!」


怒りの表情を浮かべながらアルシャが剣を込めるが、ミラーナに抑え込まれ膠着状態になっていた。


「何やら訳ありのようだね。この場は君たちに任せた方がよさそうだ。私はそこらにいる"害虫ども"を掃除させてもらおう」

「待ってください! 争いは」

「どうやら君は何か勘違いしているようだ。私は"隊長"。君は"ただの騎士"。分かるかね?」

「っ!?」


ウィンダの言葉を聞いたミラーナの表情が固まる。部隊が違えど相手は隊長。これが何を意味するのか理解させられてしまったのだ。

「心配せずとも話なら後でしっかり聞いてあげよう。無論、この場を鎮めた後になるがね」


そう言い残し、ウィンダがこの場を離れる。自分の部下たちと争っている冒険者たちと戦闘をするために。


「待って」

「はぁぁぁ!」


余所見していたミラーナの隙を突き、アルシャが渾身の一撃を叩き込む。その攻撃を受け、ミラーナの手から剣が離れ宙を舞う。


「しまっ!?」

「貴様に恨みは無いが邪魔をするなら容赦はしない!」


無防備となったミラーナにアルシャが襲い掛かる。


「うっ!」


呻き声が漏れる。しかしその声の主はミラーナではなかった。


「……ごめん」


俺が手刀を放ち、アルシャを気絶させたのだ。


「えっ!? ヒュー」

「ごめん! 後は頼む!」


気絶したアルシャを背負い、俺は急いでこの場から離脱した。


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