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【3章完結!】  ステータスダウンしかできない無能デバッファー。追放宣告を受けてしまったが実は最強デバッファーでした。  作者: 追放されるけど何だかんだでハッピーなのが好きな人
三章 吹き荒れる風
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新しい風

波乱の予感

次の日の朝、俺とアルシャは宿屋で朝食を取っていた。昨日夕食をご馳走になった後、どこか泊まれるところを紹介してほしいと言われ、最終的に俺と同じ宿に泊まる事となった。当然だが、部屋は別々にした。


「すまないな。何から何まで世話になってしまって」

「気にしないでくれ。というより本当に良いのか? ここの宿代まで出してもらっても」


ここの宿代なのだが、これもアルシャが自分に支払わせて欲しいと言っていたのだ。さすがに何から何まで支払ってもらうのも気が引けるので断ろうとしたのだが、アルシャの方も引き下がらなかったため、最終的に好意に甘える事にした。


「しかしあの彼女は本当に良いのか?」

「レイシアの事? 多分大丈夫……だと思う」


レイシアも同じ宿に泊まっていたのだが、俺たちよりも早く起きた様で既に宿にはいなかった。適当にぶらつくとは言っていたが、レイシアなら何か起きたとしてもおそらく上手く処理するだろう。最も戦闘面だけでいえばの話なのだが。


(昨日、いきなりあんな事言いだすし……)


昨日部屋を取る時も、同室でいいよなどといきなり言い出すし、どうもからかわれている気がする。そこは俺も譲らず、さすがに別の部屋にしてもらったのだが。そんなレイシアが、今回の就任式をただ黙ってみているだけでいるとは思わない。今はただ厄介事を起こさないように祈るのみだ。


「よし、そろそろ支度しよう」


レイシアの事はひとまず置いておき、俺とアルシャは就任式を見に行くための準備をし、会場まで向かう事にした。




「ここが………」

「就任式の会場だ」


町の大広間。どうやらここで就任式が行われるようだ。既に町の住人やギルドの冒険者らしき者たちがちらほらいる。中には屋台を開いて集客している者もいた。


「何かお祭りみたいだな」


ここまで町が賑やかになるのも久しぶりな気がする。オークの群れの件もあって一時はどうなる事かと思ったが、暗い雰囲気になるよりは断然いいだろう。


「ヒューゴ、そろそろ始まるみたいだぞ」

「っともう始まるのか」


騎士団の格好をした者たちがゾロゾロと並んで歩いている姿が目に映る。おそらく護衛の者たちなのだろう。そうこうしているうちに、騎士の者たちが並列し、いよいよ就任式が始まろうとしていた。


「お待たせしました。これより新領主様の就任式を行いたいと思います」


騎士の男がそう声を上げると、立派な服装をした男が現れ、壇上に向かって歩いていく姿が目に映る。


「朝早くから集まっていただき感謝する。私の名前はレジオン。既に聞いている者もいるかもしれないが、今日からこの町の領主として働かせてもらう者だ」


レジオンの登場に住人たちもおーっと声を上げている。


「私が就任したからには町の、そこに住む住人たちの事を第一に考えた政策を実施しようと思う」


政策という言葉を聞き、俺含む観客たちがゴクリと息を呑む。


「まず手始めに、この町にある裏路地。治安が悪いと聞いているが、そこを徹底的に浄化し、有効な土地資源として活用できるようにしよう。店の出店なり、訓練場にするなり、好きに使ってほしい」


この町の裏路地は治安が悪く、住人でも滅多に立ち寄らない所だが、そこをどうやら徹底的に改善するらしい。できるかはともかく、自由に使える土地が増えるとなれば、住人たちにとってもありがたい事だろう。


「次に、住民の皆さんが払っている税金。これを大きく緩和させてもらおう。まずは経済の安定、これを優先して行おうと私は考えている」


この声明を聞いた住人たちがわーーと歓声を上げる。確かウィズと領主が不正を働いていた時は、物の流れをコントロールして無理やり物価を釣り上げるなどしていたらしいが。その辺りも緩和されるのだろう。町で生活している者たちからすれば本当にありがたい政策だ。正直俺もありがたい。


「最後に、この町では前任の領主や一部の冒険者たちが不正していたと聞く。無論、そのような不正は許される事ではない。今後そのような事が起きないように対策しようと思う。その件についてだが……彼に説明してもらおう」


ここでレジオンが一人の男を招き壇上に上がらせる。


「彼の名はウィンダ。あの騎士団の隊長にして今回私の護衛を引き受けてくれた者だ。その彼が今回指揮を取ってくれる。ウィンダ君、頼むよ」


騎士の格好をした男が頭を下げる。若い男性でかなりのイケメンだ。ルックスだけならあのフォールに劣らないくらいだ。その顔を見た女性陣がキャーっと声を出して騒いでいる。


「今回、護衛を引き受けさせてもらったウィンダだ。まだまだ未熟者だが、私にできる事は精一杯やらせてもらおう。さて私が行いたいと思っている政策は……」


すぅっと息を吸った後、ウィンダが声を発する。


「この町のギルドの撤廃。並びに騎士団の常駐化。これを行いたいと思う!」


とんでもない発言が辺り一帯に響き渡る事となった。


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