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【3章完結!】  ステータスダウンしかできない無能デバッファー。追放宣告を受けてしまったが実は最強デバッファーでした。  作者: 追放されるけど何だかんだでハッピーなのが好きな人
一章 無能と呼ばれる男
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無能 魚料理を食す

食事回です

料理とか食事の描写って難しいですね……

食べ歩きの感想とか得意な人ならもっと分かりやすい表現をしてくれそうですが自分には……

では続きをどうぞ

「動き過ぎた魚? うちは肉専門の店だ! 冷やかしなら出て行ってくれ!」


これで何件目になるだろうか? 俺とミラーナは裏路地で手に入れた合言葉を頼りに町にあるあちこちの飲食店に足を運んでいた。


「ここも駄目か……」

「やっぱり合言葉だけじゃどうにもならならいわね」


動き過ぎた魚という言葉が裏路地にいた男たちから得たキーワードだ。あちこちの店でこのキーワードを出すが、何を言っているんだコイツといった感じで目を向けてくる人ばかりであった。


「もうお昼か……。何だかんだで腹が減ったなぁ。ミラーナは大丈夫?」


俺が声をかけた瞬間、どこからかぐぅーという音が聞こえる。誰もが一度は聞いた事のある音、空腹を示す合図が音となって表れたのだ。


「何も言わないで! いいわね!」


顔を赤くしたミラーナがグイと顔を近づけこれ以上何も言うなと注意してくる。まぁさきほどの音を聞くに彼女もお腹が空いているのだろう。ちょうど近くに営業中の店があったため、昼食をとる事にした。


「いらっしゃい!  おっ! カップルさんかい! 二人お出迎え!」


声をかけてきたのはこの店の店主である一人の男だ。ふと張り紙が貼ってあるのが目に映ったので見てみると、取れたて新鮮魚提供! そのためメニューはランダム! と書かれていた。

張り紙から察するに新鮮な魚料理を食べられるのがウリだが、店に入るまで何のメニューが出されるのか分からないというリスクがあるといった所だろう。


「今日の一品はリバーフィッシュの塩焼きだ! 腕を振るって調理するから待っていてくれ」


今日のメニューを紹介すると同時に店主の男が、料理をするために店の奥に入っていった。


「作りに行っちゃけど、ここの店主さんは確認とかは取らないのかしら?」

「入ったら問答無用って感じだな」


この店では入った瞬間にすぐさま料理が始まる。そのためメニューを確認してから注文するという事ができないのだ。そのため、店に入るには中々勇気がいる。そんな店のようだ。

店の中をさっと見てみると昼時にしてはそれほど客が入っていないように思えた。いるのは大きな欠伸をかいているおじさん、上品な格好をした青年、少し小太りの女性の三人だ。

まったく客層が読めないが、料理の味というのは自分で食べてみないとわからない。

料理にはリバーフィッシュを使うという店主が言っていた。リバーフィッシュは川に住む魚の魔物で食材にも使われているという話は聞いた事がある。取れたて新鮮という事は今日、誰かが捕獲してそれを捌いたのだろうか?


「お待たせしました。リバーフィッシュの塩焼きでございます」


皿に盛りつけられた料理が運ばれ机に置かれる。こんがりと焼かれており、良い匂いが鼻をくすぐる。


「「頂きます!」」


俺とミラーナは運ばれてきた料理を口に入れる。


「うまい!」

「おいしい!」


食べた感想の第一声は賞賛だった。生臭いイメージのある魚だが、不快な匂いはせず、それでいて食感は焼き立てという事もあってかほくほくしている。塩加減も絶妙で生魚と合わさる事で旨味が増している。

いつの間にか会話する事をやめ、俺とミラーナは目の前の魚料理を口に運ぶ事に夢中になり、いつの間にか完食してしまっていた。


「はは! いい食べっぷりじゃねぇか!」


それを見ていたのか店主らしき男が笑いながらこちらに声をかけてきた。


「とてもおいしかったです。ごちそうさまでした」

「俺も……。こんなにうまい魚を食ったのは初めてかもしれません」

「いやーーうれしい事いってくれるねぇ。っといけねぇ仕事をしねぇとな! らっしゃい!」


自分の作った料理が褒められた事がうれしかったのか店長はご機嫌気分で新しくやってきた客の対応を始める。自分のやった事がだれかに認めてもらえるというのはどんな事であってもうれしい事だ。店長は料理でそれを達成したが、俺はギルドを相手に納得できる形で結果を出さなければならない。

うまい料理を出してくれた事に感謝しつつ、俄然やる気が出てくる。


「そういえばお魚と言えば、どうしてあんな合言葉なのかしら?」


魚の話題になった事でミラーナがふと思い出したようにつぶやく。ミラーナがいう合言葉というのは先ほど、男たちから手に入れたものの事だ。何でも情報屋とやりとりしたい時はこの合言葉を使うというのが暗黙の了解になっているらしい。


「確かに。どうしてそんな合言葉になったのか気にはなるな」

「動き過ぎた魚なんて名前、どうして付けたのかしら? お魚が好きだったとか?」


ミラーナと会話してると突然、ガシャーンという音が辺りに響き渡る。音のした方向を見ると、手を滑らしたのか料理を運んでいた店員の男がそれを地面に落としていた。


「おい! 何やってんだ!」

「っ! 知らないアル! 私そんな言葉知らないアルよ!」


突然、訳の分からない言葉を言い出す店員に店主を含め、周りの者が一体何を言っているのかといった目で店員を見つめる。しかしその店員を見た俺とミラーナは思わず口元がにやけてしまう。

まさかここで当たりを引けるとは思ってもいなかったからだ。


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