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【3章完結!】  ステータスダウンしかできない無能デバッファー。追放宣告を受けてしまったが実は最強デバッファーでした。  作者: 追放されるけど何だかんだでハッピーなのが好きな人
三章 吹き荒れる風
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持ち込まれた話 part3

寒い……

今日は雪が降るとかで余計寒いのかも

まさかここに来て騎士団隊長の名が出てくるとは思いもしなかった。ウィンダという騎士団隊長の男の事を俺は知らないが、あのヴァルトと同格だと仮定すると只者ではないという事くらいは分かる。これには驚きを隠す事ができない。


「騎士団の隊長がどうして……」

「そこなんだよ。領主の護衛とはいえ、隊長格の人間が出てくるなんて普通ならありえない。それこそ前みたいな"変異種騒動"くらい大きな事案じゃないと普通は動かないはずなんだけど」


護衛する相手が王族のような存在なのであればまだ分かる。町の領主という身分は決して低くない地位ではあるが、その護衛に隊長クラスの戦力がつくのはさすがにやりすぎだ。


「それにこの町には」

「ヴァルトさんがいる…………だよな」


虚偽の情報ではあったものの、栄光の翼から変異種発生の話を受けて、この町にはヴァルトが派遣されている。当然というべきか、彼の部下も一緒に派遣されているため、今もこの町には騎士の格好をした者たちが活動している。


「って事はこの町までの護衛なんじゃないか? 領主の人をこの町まで送り届けてからヴァルトさんに引き継ぐとか」

「その考えで行くなら、こっちから領主を迎えにいくはずだよ。だけど王国はわざわざ送迎っていう形を取った。それも隊長格の人間を護衛にしてまで」

「……それなりの理由がある……って事か」


ボーっと日常を過ごしている裏で、まさかそのような事になっているとは。はっきりいって全く予想できなかった展開である。


「町では領主就任を迎えるための準備をするみたい。店の人たちからすれば稼ぎ時だろうし、ギルドや騎士団もそれの対応にあたるだろうね」


新領主誕生となれば、当然町として盛り上がりを見せるだろう。


「それで…………レイシアはどうするんだ?」


ここで俺は本題に入る。領主就任の件は大きな出来事ではあるが、他人事でもある。この町を生活の拠点にしている者ならともかく、レイシアにとっては全く関係のない事ともいえるのだ。とはいえ情報を仕入れてきたのだから、何か目論見があるのではないかと俺は推測する。


「そんな大物が来るって分かったならやる事は一つでしょ」


ゴクっと息を呑み俺は静かにレイシアの言葉を待つ。


「実力を確かめに手合わ」

「はい、ストップ」


言葉の途中だが、何を言うつもりだったのか理解した。全ては言わせまいと考え、話している途中の言葉を遮る。


「えー、せっかく隊長格が二人も来ているんだよ? お手並み拝見しないと勿体ないじゃないか」

「勿体ないって……。力勝負にいったらそれこそ襲撃者と勘違いされて捕まると思うんだが」


すっかり忘れていたがレイシアはこんな性格だった。初めて出会った時も力を示せ的な事をいって手合わせを申し込んできた。あの時は何故か燃えているミラーナが引き受けていたが。


(戦闘狂っていうか……。戦いが好きっていうか。見た目によらず好戦的)

「……何か失礼な事考えてない?」


ジト目でこちらを見つめてくるレイシア。その態度は俺の考えを見透かしていますと言わんばかりである。とはいえ俺の頭の中を完全に読めてはいないはずだと考え、適当に誤魔化しておく。


「一応言っておくけど、手合わせを申し出るのには理由があるんだよ」

「そ……そうなのか」

「それは…………し」


とここで何かを言おうとしたレイシアがハッとした顔を浮かべその口を閉じる


「おっと危ない。君に乗せられてあやうく乙女の秘密をばらす所だったよ」

「乙女って」

「……何か文句がありそうな顔だね」


再びこちらを見つめてくるレイシア。目が笑っていないし、僅かだが殺気のようなものも感じる。正直怖いのでやめて欲しい。


「仕方ないなぁ。就任挨拶してる時に乗り込むのは辞めておくよ」

「そうしてくれ。レイシアが本気で戦ったらとんでもない事になるから」

「その代わり、これから探索に行くのを付き合ってもらうよ」

(注意してなかったら乗り込むつもりだったのか……)


どこまで本気だったかは分からないが、とりあえずとんでもない戦闘が繰り広げられるという事は無くなりそうだ。その代わりに俺はレイシアの探索に付き合う事となった。


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