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【3章完結!】  ステータスダウンしかできない無能デバッファー。追放宣告を受けてしまったが実は最強デバッファーでした。  作者: 追放されるけど何だかんだでハッピーなのが好きな人
三章 吹き荒れる風
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持ち込まれた話 part1

オリンピック見てると元気が湧いてきます!

私も頑張ります!

「はい、それじゃあヒューゴから報告よろしく」


レイシアがジッと俺を見つめてくる。


(ここまで来たら……言うしかないよな)


正直心の中にしまっておきたい所だが、俺の背中を押し、話をするきっかけを作ってくれたのは間違いなくレイシアだ。彼女がいなければミラーナとああして話をする事もできなかっただろう。とはいえミラーナの気持ちを考えると、あの時の事はあまり吹聴したくはない。レイシアには他の人に言いふらさないよう念を押し、簡単に経緯だけを説明した。


「……そっか」


普段飄々としているレイシアだが、黙って静かに俺の言葉を聞いてくれた。


「ごめん。色々アドバイスをくれたのに」

「気にする必要はないよ。こればかりは当の本人たちの問題だからね」


レイシアの言う通り、俺とミラーナの話し合いの件に関しては誰が悪いという問題ではない。お互いの思いの問題なのだ。中々割り切る事ができないのも事実だが、俺自身としてはやはりミラーナの意思を尊重したい。


「俺の話はこれでお終いだ」

「了解。それじゃあ私の方だけど……って」


今度はレイシアの番。そうなるかと思ったが、彼女が言葉を止める。


「それで終わりなの!? 他にはないの!?」


レイシアが驚きの表情を浮かべながらこちらに詰め寄ってくる。


「諦められないから彼女を取り戻しに騎士団に乗り込むとか、身を賭けて決闘するとかそんなのないの?」

「乗り込む!? 決闘!?」


静かに聞いてくれていたと思いきやこれである。いきなりとんでもない事を言いだす。


「てっきりそれくらいの事はすると思ってたんだけど」

「それくらいの事って……とんでもない内容ばかりだよ! それに今、当の本人たちの問題だって」

「それとこれとは話は別だよ! 君は俺の物だ! とかいってギュッと抱きしめるくらいの事はしないと!」

「だ……抱きしめるって!」


はぁっと深くため息を吐くレイシア。その様子を見ていると俺が悪いのかという考えが一瞬頭をよぎるが、そんな事はないと考えすぐさま気持ちを切り替える。


「まぁ彼女はまだこの町にいるみたいだし、チャンスはあるよ」


慰めてくれているのか、励ましてくれているのか分からないが、これがレイシアなりのフォローなのだろう。発言はアレだが気持ちだけはありがたく受け取っておく事にしよう。


「さてと、それじゃあ私が集めてきた情報を話そうかな」


ひと悶着あったが、俺はレイシアから話を聞く事にした。


「まずは……君のいたパーティ、栄光の翼の件だけど……中々な事になってるね」

「中々な事?」

「多分……再起できないと思うよ」


フォールたちの噂はある程度耳にしていたが、レイシアからもたされた情報は予想できないような内容であった。


「まずあのオークのような男だけど、怪しい輩と一緒にいるみたいだね」

「オークのような男? ドヴォルの事か?」

「そうそう。何でも帽子をかぶった怪しい男と接触してたみたいでそれから行方不明なんだって」


ドヴォルは姿を消す前、借金していた店の従業員と騎士団の団員と揉め事を起こしていたらしい。揉め事を起こしたため、騎士団に拘束されそうになったが、そのタイミングで帽子を被った怪しい男が現れて救助されたのだという。


「騎士団の人たちもその怪しい男に怪我を負わされたみたいで大変だったみたい。ただ騎士団相手に襲い掛かるような真似をした以上、ただ者じゃないだろうね」

「ただ者じゃない……って事はドヴォルを助けたその男の正体はまだ分かっていないのか? 確かドヴォルは借金取りに追われてるって聞いたけど」

「少なくともただの借金取り、表の人間じゃないね。それに助けた理由も好意によるものじゃないと思う。下手をすると騎士団に捕まっていた方がマシだったかもしれないね」


オークの件が解決したかと思いきや、謎の不審者の出現である。レイシアの言葉を聞き、俺は息を呑む。


「今の所、私たちには関係ないから気にしなくてもいいとは思うけど。まずこれが一つね」


一つという事はまだ続きがあるに違いない。どうやら俺がのんびりと過ごしている間に、裏では色々と厄介事が起きていたようだ。ここに来て暇な生活とは無縁になりそうな気配を、俺は薄々と感じ取っていた。


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