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幼馴染とデート part7

おはようございます!


「ごめんなさい。もう……大丈夫」


あれからミラーナは泣き続けていたが、しばらくして落ち着きを取り戻す。途中料理を運んできた店員に姿を見られ、一瞬ギョッとした表情で見られたが、こちらの様子を察してくれたのか、何かあったら呼んでくれと言い残し去っていった。


「俺の方こそごめんな。変な事言って」

「違う! ヒューゴは悪くない! 悪いのは私なの! 私が中途半端だから……」

「分かってる。……騎士団の仕事の事だろ?」


俺の言葉を聞き、ミラーナがはっとした表情を浮かべる。ミラーナが俺の誘いを断った理由。表情を見るに、どうやら俺の予想通りのようだ。


「騎士団の仕事を放りだす訳にはいかない……っていう事だろ?」

「やっぱり……分かっちゃうのね」

「こう見えて、幼馴染だからな」


俺の誘いを受けるという事は冒険者になるという事と同じである。となればミラーナは今騎士団所属のため、その仕事を辞める必要がある。ミラーナのあの実力、おそらく騎士団内でも相当の努力をして身に着けたものだろう。それだけ自分の仕事に対して全力で取り組んでいたはずだし、入団する際も相応の覚悟を持って決心したはずだ。


「私もあなたと一緒に冒険したい。再会してから一緒に探索したり、町を回ったり、昔みたいで本当に楽しかった。けど今の仕事は辞められない。騎士団に入るのもおじい様には反対されてたけど、無理を言って入団したの」

「そうだったのか」


ミラーナの祖父は元騎士団の団長。騎士団という組織の事を誰よりも分かっている。大切な孫娘をその環境に置くという事に抵抗があったのだろう。


「おじい様のような立派な騎士になって困ってる人を助けられる人間になりたい。そう思って頑張ってきた。士官学校や騎士団で嫌がらせされたけど……それでも耐えて……立派になって、ヒューゴと再会した時に驚かせてやろうって思って」

「ミラーナ……」

「けど騎士団は利権や出世を考える人ばっかりで……何をやるにしても規律や秩序がどうこうで自由に動けなくて……それでも自分にできる事はしっかりやろうって。敬遠されがちな出向にも積極的に参加したし、つらい訓練にも耐えた」


ミラーナが抱えていた思い。それが言葉となって吐き出される。俺の知らない所で彼女もかなりの苦労をしていたのだ。それでも彼女は決して折れずに努力を積み重ね、今の自分というものを手に入れたのだろう。


「そんな中ヒューゴに会えて……本当にうれしくて……こんな時間がずっと続けばいいのに何て思って……。けれど……」

「大丈夫。ミラーナの気持ち、十分伝わったから」

「……ごめんなさい。本当に……ごめんなさい」


先ほどの答えは葛藤をした上で出したものなのだろう。それも思わず泣いてしまうくらいの。そんな思いをしてまで答えを出してくれた彼女に、俺は何も言えなかった。


「よし、それじゃあ、食べよう。せっかくの料理が冷めちゃうし」

「……うん」


このままこの話題を続けても、ミラーナにつらい思いをさせるだけだろう。そう考え、俺は食事をしようと提案し、店員が持ってきてくれた料理を口に運ぶ。料理はすっかり冷めてしまっており、冷たさが口いっぱいに広がる。その後、何品か料理を注文こそしたが、変わったのは料理の見た目と温度だけで、味の方は全く分からないまま食事を終える事となった。




「ありがとうヒューゴ。今日は誘ってくれて」


ミラーナを宿まで送る途中、彼女から感謝の言葉が投げかけられる。食事を終えた後、俺はミラーナを騎士団が宿泊している宿まで送る事にしたのだ。


「俺の方こそ急にごめんな。いきなり誘ったりして」

「気にしないで。本当に楽しかったから」


喜んでもらえたのは何よりだったが、先ほどまでのやり取りもあって、どこか会話がぎこちない。どうにかできればなと思いこそするものの、どうすれば良いか分からない俺は何もできずにいた。


「ここまででいいわ」

「良いのか?」

「そこの角を曲がればすぐだから」


有意義な一日であったが、ミラーナの言葉を聞き、とうとう終わりの時がきたのだと実感する。


「じゃあねヒューゴ……おやすみなさい」


別れの挨拶をし、ミラーナがその場を立ち去ろうとする。


「ミラーナ!」


去っていこうする彼女に俺は声をかける。


「何か困った事があったら、すぐに駆けつけるから! 今度は俺がミラーナを助けるから!」


俺の言葉を聞いたミラーナが一瞬立ち止まる。しかし顔をこちらに向ける事なくそのまま歩き去っていった。


ここまで読んで頂きありがとうございます!

モヤモヤな感じですが2章が一旦ここで終わりになります


見返してみるとやはり冗長になっている展開が多くなっているなと改めて感じています

(2章終了まで大体2か月かかってるかな?)

この辺りをサクサク進めたかったのですが私の実力不足もあり申し訳ないと思っています


実の所、最初はここでハッピーエンドにして完結終了の予定だったんですが、描写しているうちに私なりにキャラへの愛着が出てきており……

続きの構成を練っている最中です!

次章は今章でのモヤモヤの払拭や、味方敵含め、癖のある新キャラ登場による波乱の予定となっています

少しお時間頂くかもしれませんがお待ちして頂ければと思います!

また2章は視点変更が多かったため、自分用としても使える時系列まとめをして投稿も行いますのでサクッと見たい方はそちらを見て頂ければ幸いです


長くなりましたが以上になります!

今後も皆様よろしくお願いします!

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