幼馴染とデート part4
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作者の私にしか分からないみたいなので気に入った回があれば何卒投票を!
話作りの参考にします!
突然の知らせに俺とミラーナは驚きを隠せない。騎士団が今拠点としている宿、そこが襲われたというのも驚きだが、その襲撃者があのウィズであるなど誰が予想できるだろうか。
「それで状況は?」
「ヴァルト隊長が交戦しています。ですが相手はあの栄光の翼の一員。いくら隊長といえど一人では」
「一人!? 他の人たちは何をやっているの!」
宿には非番の者や事務作業をやっている者、ヴァルト以外にも戦える者がいたはずだ。そうであるにも関わらずヴァルトが一人で戦っている事に疑問を覚え、ミラーナが騎士の男の肩を両手で掴んで揺する。
「そ……その、ヴァルト隊長がその場を引き受け、後の者は全員避難するように……と」
「避難……って。隊長一人置いて逃げるなんてそんなの」
「ミラーナ!」
騎士の男に詰め寄るミラーナを見ていられず、俺は二人の間に割って入る。
「今は揉めている場合じゃない! すぐに様子を見に行かないと!」
おそらくこの騎士の男はミラーナに助けを求めるために、町を走り回り彼女の事を探していたのだろう。ミラーナの実力はこれまでの戦いぶりを見ていればかなりのものであるという事は分かる。それらを踏まえると、自分が加勢するより自分より強い者を探して連れてくる方が良いと判断したに違いない。
「私が先導します。ついてきて」
「あなたは休んでいて下さい。場所は分かるので俺たちで行きます」
騎士の男が案内役を申し出るが、俺はやんわりと断りを入れる。走り回っていた事でかなり体力を消耗している。ひどい言い方になるが、彼が先頭を走るより俺とミラーナが走った方が速く現場に着けるはずだ。
「申し訳ありません……。隊長の事をどうか」
「任せて下さい! ミラーナ、行こう!」
「……ええ」
俺とミラーナは急いでヴァルトの元へ向かう事にした。
「ヒューゴ…………ごめんなさい」
走っている途中、ミラーナが謝罪の言葉を投げかけてくる。
「私…………あの時熱くなってたわ。彼はヴァルト隊長の命令に従って避難しただけ。それなのにあんな言い方をして」
「それだけヴァルトさんの事が心配だったんだろ?」
どうやら先ほどキツイ言い方をした事を悔やんでいるようだ。
「ヴァルトさんなら大丈夫だ。領主の屋敷で戦った時もとんでもない強さだったから。それに……俺視点で言えばウイズは凄腕の魔法使いだけど、実際は大した事がない……だろ?」
騎士団隊長の男とAランクパーティ、栄光の翼の一員との戦い。言葉だけ聞くと、かなり壮絶な戦いになっているようにしか思えないが、実際はそうではない。俺はそう予想している。
「ヒューゴ……」
「それと謝罪の言葉は俺じゃなくて、騎士の彼に言ってやってくれ。あの疲れ具合。かなり必死で走ってたんだと思う。多分それだけミラーナの実力を信じてるんだろうな」
自分が加勢するよりも、ミラーナを探し出して連れてきた方が戦力になる。あくまで想像でしかないが、あの騎士の男はただ避難したのではなく、自分なりにできる事を考えた上で行動したのだろう。
「って俺が偉そうに言える事じゃないな」
「いえ……。あなたの言う通りだわ。彼には改めて謝罪するわ。ありがとう、ヒューゴ」
「お礼何て別に……。っともうすぐだな」
このままいけばもう間もなく騎士団が今宿泊している宿につく。ヴァルトであればウィズ相手に後れを取る事はないと思うが、ウィズもそれなりに攻撃魔法を取得している。見境なしに魔法を放とうものなら建物が燃えたり崩れていたりしても何らおかしくはない。とにかく一刻も早く様子を確認しなければならない。
「着いた! 様子は!?」
辺りを見渡すと、騎士団の者たちや宿の従業員と思われる者たちがガヤガヤと騒いでいる。
「なっ!?」
「あれって!?」
その中にある人物がいた事で俺とミラーナは驚きを隠せずにいた。
「怪我人はいないか? いたらすぐ手当てを受けさせろ」
そこにはウィズと戦っているはずの男、ヴァルトがいたのだ。