無能 合言葉を聞く
何とか今日投稿できました
読んでくださってる皆様のために今週何とか投稿できるようにするので、お願いします
「おい! 何やってやがる!」
「何で攻撃が当たらねぇ!」
「やめろ! こっちに来るんじゃねぇ!」
さっきまでの威勢はどこへ行ったのか男たちの恐怖の声が辺りに響き渡っていた。
「こんなの無理だ! 俺は降りる!」
「俺もだ! 命あってなんぼのものじゃねぇか!」
戦意喪失したのか何人かがその場から逃走して離脱した事もあり、いつの間にか相手の数が最初の半分、四人になっていた。
「クソ! 何でこんな事に!」
意味が分からなかった。一斉攻撃を仕掛け、一気に相手を戦闘不能にするつもりだった。数の利があったにもかかわらず一瞬でこちらの態勢が崩壊したのだ。
まず訪れたのは体の変化だ。戦闘が始まったと思ったらいきなり体が重くなったのだ。しかも尋常じゃないくらい。そのせいで動作一つ一つが遅くなり、とてもじゃないが攻撃などできる状況ではなくなった。
そこにあの女騎士の剣撃が振るわれ、瞬く間にこちらを薙ぎ払ったのだ。
「勝負あったな」
目の前の青年の言葉に歯ぎしりをする。楽勝で勝てると思っていたのが一転、まさかの敗北を決してしまったのだ。
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「制圧完了ね。さすがヒューゴ。やっぱりあなたの魔法すごいじゃない」
「いやミラーナの剣技がすごかったからだよ。俺だけの力じゃない」
戦闘が始まってすぐ、俺はステータスダウンの魔法で男たちの速度を減少させた。男たちのスピードが遅くなったのを確認して、ミラーナは鮮やかな剣技で男たちを次々と撃破していった。
敵をなぎ倒すその姿は恐ろしくもあると同時に非常に美しいものであった。
「さぁ、情報屋について知っている事を教えてもらおうか」
倒れこんでいる男に、俺たちは勝利の報酬。情報屋についての話を聞く事にした。しかし彼らの口からでた言葉は意外な一言であった。
「……知らないっていうのはどういう事なのかしら?」
情報屋の事は知らない。そう聞いたミラーナの表情は笑顔そのものだが、物を言わさないオーラを放つ彼女に男たちはヒィッと怯えた表情を浮かべる。
「な……なんでも噂じゃ情報屋の野郎は足を洗ったって」
「ここ最近、俺たちも姿を見てなくて……。ほ……本当なんだって! 信じてくれよ」
男たちの様子を見るに嘘を言っているようには見えなかった。彼らの話が本当であれば、またふりだしに戻ってしまった事になる。
「た……ただ、噂によると今は料理屋の店員として働いているとか聞いた事が」
「そうそう! 俺も聞いたぜ。情報屋に似た奴をこの町で見かけたって奴もいるみたいだし」
料理屋の店員か。この町で見かけた者がいるという事はこの町の料理店にいる可能性がある。それならば何とか探す事ができそうだ。
「そ……そうだ! 情報屋とやり取りする際の合言葉があるんだ! それを教えてやるから……いえ! お教えしますから見逃してくだせぇ」
「合言葉があれば情報屋を見つけ出すのに役に立つだろ? 損はしないって」
合言葉があれば確かに情報屋を探すための手助けになるだろう。店に入りその言葉に聞き覚えがないか尋ねて相手の反応を見る事で、探りを入れられるかもしれない。ミラーナの方に目を向けると彼女もコクリと頷いている。どうやら俺と同じように男たちの提案に納得したようだ。
「いいわ。それで手を打ちましょう。けれどもしあなたたちの発言に虚偽があった場合は……」
「ヒィ!」
「嘘じゃねぇですって。頼みますからその剣向けないでくだせぇ!」
こうして俺たちは裏路地で男たちから合言葉を入手し、情報屋を探すために一度表通りに向かう事にした。