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幼馴染とデート part2

おはようございます!

色々と大変ですが今週も共に乗り越えよう

「あの栄光の翼がな」

「まさかねぇ……」

「こんな事もあるんだな」


町を回っているとどこもかしこも栄光の翼の話で持ち切りである。


(まぁ仕方ないよな……)


これまで圧倒的な早さで功績を上げて昇級した栄光の翼、そのパーティが謹慎処分を受けたとなればすぐに噂になっても何らおかしくはないだろう。


(それと……もう一つ厄介なのが……)


町を歩いていると嫌でもこちらに視線を向けてくる者がいる。


「はぁ……」


視線を浴びる原因となっている本人がため息を吐く。そう、視線を向けられる原因はミラーナにあった。


「うお!」

「誰だあの美人!」


見た目が美人であるミラーナ。良く似合っている私服姿も相まって、町を歩いているとすれ違う者たちがこちらをちらりと見つめてくるのだ。騎士の格好をしている時でもその美貌は隠しきれずにいたが、他の騎士団の者と同じ格好をしているという事もあって、今ほど目立ってはいなかったのだが。このような状態になるとは完全に予想外であった。


「ちょっと! どこ見てるのよ!」

「いてて!」


中にはカップルでありながらも、ミラーナの姿に目を奪われている者もいた。最も見とれていたと思われる男性は、一緒にいた女性に耳を引っ張られ、無理やり連れていかれたのだが。


(せっかくエスコートしようと思ったのにこれじゃあ……)


自分が所属していたパーティの噂話にミラーナへ向けられる視線。このまま町を回ってもとてもじゃないが、気が休まる気がしない。それどころかストレスさえ感じるくらいだ。


(よし……なら)


ここである案が思いつく。


「ミラーナ、今から装備を見にいかないか?」


俺は装備を見に行く事を提案する。俺の剣を見繕うという話もあったし、装備品の中にはミラーナが目立ちづらくなる物が置いてあるかもしれない。


「そうね……。このまま歩き回っていても疲れるだけかもしれないし」

「よし来た! 早速行こうか」


ここから少し進めば、装備品を扱っている店が立ち並ぶ通りに出る。ミラーナが人目を惹きつけるといっても、店の中に入ってしまえば、そう視線を浴びる事はなくなるはずだ。俺とミラーナは通りに向かい、一件一件店を回る事にした。






「これとかどうかしら?」

「うーん……。ちょっと軽すぎるんじゃないかな?」


最初に入った店は武器と防具、どちらも扱っている店だった。品揃えが豊富で低品質、低価格なものから高品質、高価格のものまで売られている。そのため、多くの冒険者に人気のある店であった。


「振ってみてもどうも馴染まない感じがするな。これならミラーナが持っている剣の方が使いやすいかも」

「この剣は騎士団の人たち用に作られているものだから。使いやすさを優先しているのよ」


その言葉を聞き納得がいく。確かに騎士団では多くの者が働いている。人それぞれ、性別や年齢、体の大きさといった要素が当然異なるが、人ごとに支給品を変えるとなればそれだけ費用がかかる。着込む鎧はともかく、剣くらいは統一化したいという思いがあるのだろう。おそらく騎士団の者たちが持っている剣は、誰が使ってもある程度使いやすい作りになっているのだ。


「けどヴァルトさんが持っていた斧は支給品のようには見えなかったな」

「ヴァルト隊長は特別なの。隊長だけあってそれ相応の装備品を支給してもらってるみたい」


やはり例外はあるようで、隊長格ともなれば優遇待遇があるようだ。


「けど当の本人は武器を買う金より酒を買う金が欲しいとか言うのよ。本当に隊長として自覚してほしいわ」


ミラーナがブツブツと愚痴を呟いている。口ではヴァルトの事を悪く言っているが、本当に嫌悪している感じではない。


(ある意味二人は相性が良いのかもしれないな)


ヴァルトとも何度か話す機会があったが、ミラーナの話になるとやれやれといった表情を浮かべながら頭をかく仕草を取っていた。その様子を見るに、おそらくミラーナにしょっちゅう怒られているのだろう。


「って笑わないでよ!」

「悪い悪い。ミラーナがボヤくなんて珍しいからさ」

「もう……」


どうやら自分でも気づかないうちに笑ってしまっていたようだ。ともあれミラーナも少し元気が出てきた気がする。このまま良い一日を過ごせればいいのだが。






「店員さんよ。噂に聞いたんだがあの話マジなのか?」

「俺も詳しい話は聞いてないんですが……。店長も我慢の限界だったみたいで」

「まさか"借金取り"を雇うなんてな。まぁ相手があの栄光の翼のドヴォルじゃ仕方ないか」

「あまり大きな声で言わないで下さいよ」


またもや不吉な会話が俺の耳に入ってきた。


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