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刀使いとデート part2

今週もがんばりましょう

コ〇ナが猛威を奮ってますので皆様も体調にはお気をつけて

「もう! あれインチキじゃないの?」


射的を終えたレイシアが怒る素振りを見せる。


「まぁまぁ、一つサービスしてくれたんだし」

「私は自分の力で取りたかったんだよ!」


あれから何度も挑戦したが、レイシアは結局景品を一つも打ち落とす事ができなかったのだ。そして温情からか、店員の男からサービスとして飴の入った缶を貰う事となった。


「普段銃を扱ってる人ならともかく、素人の俺たちじゃな」


射的というゲーム。簡単に景品を取れるようにはなっていない。弾をどこにどれくらいの力で当てれば取れるといったように、ある程度射撃の知識がなければ難しいだろう。


「ほら、飴上げるからさ」

「むぅ。何か子ども扱いされてない?」


そう言いながらもレイシアは俺が手渡した飴を受け取り口に入れる。甘い物好きなレイシアにとっては飴もお気に入りの一つなのだろう。


「へいへーい! 挑戦者募集中だぜ! 挑戦料は金貨一枚から十枚まで受付だ!」


飴を食べながら歩いていると、一人の男が呼び込みを行っている。そこでは二人の男が対面に座り、腕相撲を行っていた。


「勝てば掛け金二倍のビッグチャンスだぜ? 力に自慢がある奴はかかってきな!」


どうやら腕相撲による賭け試合が行われているようだ。挑戦者側も、防衛側もどちらもかなりガタイの良い体つきをしている。その周りにはその様子を観戦している者たちが大勢いた。


(二人ともドヴォルと同じくらいの体格か。見た感じは互角のようだけど……)


ここで防衛側の男の腕が動く。そしてそのまま力で押し切り、挑戦者の男の手を机に叩きつけた。


「くっ!」

「へっ! 俺の勝ちだな!」


勝負がついた事で観客たちも賑わっている。互角に見えた勝負だったが、防衛側の勝利で終わる事となった。挑戦者の男は肩を落としながら立ち去って行った。


(一瞬魔力のようなものを感じたけど……)

「面白そうな事をしているね。私も参加していいかな?」

「って!?」


気が付くとレイシアが腕相撲に参加すると宣言していた。


「おっと今度の挑戦者は女性だ! これは予想外の展開だ!」


呼び込みをしていた男も、まさか女性が参加すると思っていなかったのか驚きの表情を浮かべている。


「おいおい、さすがに嬢ちゃんじゃ相手にならねぇよ。出直した方がいいんじゃねぇか?」

「気にしないでいいよ。私、今すっごく機嫌が悪いから鬱憤を晴らしたいんだ。掛け金はもちろん金貨十枚で」


相手の言葉を気にも留めず、レイシアがドガッと椅子に座る。本当に腕相撲に参加するようだ。


「レイシア……本当に参加するのか?」


レイシアの元に駆け寄った俺はひそひそと小声で話す。


「もちろん。鬱憤を晴らしたくて仕方ないからね」

「鬱憤って……」

「おっと兄ちゃん。この嬢ちゃんのお仲間かい? 悪いが一度申請した以上、棄権はできないぜ」


俺が止めに来たと判断したのか、防衛側の男がニヤリと笑みを浮かべながら話しかけてくる。


「勝負の方法は腕相撲による"力勝負"のみ。無論"魔法の使用"や"妨害行為"は禁止だ。簡単だろう?」


説明を聞くに、どうやらこの腕相撲は小細工無しの力勝負のようだ。となればやはり、体つきだけで見ればどう考えてもレイシアが不利だろう。


(それに……)


魔法の使用はルール上で禁止とされている。だが先ほどの試合で、一瞬ではあったが"魔力らしきもの"を感じた。勘違いでなければおそらく。


「レイシア! これは!」

「おっと兄ちゃん。神聖な勝負。邪魔しないでくれよ!」


勝負を辞めさせようと声を出すが、呼び込みをしていた男に遮られる。どうやら俺の勘違いではなく、相手も"把握"しているようだ。

「それでは皆様お立合い! 挑戦者は可憐なお嬢さん。さぁ勝敗はいかに!」


口ではどちらが勝つか分からないと言っているが、その笑みは隠しきれていない。あれは自分たちの勝利を確信している顔だ。金貨十枚手に入ってラッキーとでも思っているのだろう。周りの観客たちもレイシアが参加した事でかなり盛り上がっている。こうなってしまってはさすがに止められない。


「それじゃあ行くぜ! 試合……開始!」


試合開始の合図が言い放たれる。その瞬間だった。


「えっ?」


間の抜けた声が漏れる。誰もが目を疑う光景が目の前に映る。レイシアが一瞬にして相手の手を机に叩きつけていたのだ。


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