無能 情報屋を探す
何とか投稿できました!
引き続き、本編に戻ります
欲を言えば別パーティー視点投稿した日と同じ日に投稿できれば良かったのですが……
お待たせして申し訳ございません。
では続きをどうぞ
何の成果を得られないまま次の日の朝を迎えた。
俺とミラーナは宿屋で次の作戦の打ち合わせをしていた。
「昨日の感じだとやっぱり町の人たちから情報を得るのは無理そうね」
「ってなると情報屋から何か聞きだすしかないか」
情報屋。この町のあらゆる情報をしっているという者。俺自身も姿を見たこと無いが、そんな存在が町にいるという噂は聞いた事がある。
「あんたたち、情報屋を探しているのかい?」
俺たちの話を聞いていたのか女将さんが声をかけてくれる。
「ちょっと知りたい事があって。情報屋なら何か知ってるんじゃないかなと思って」
女将さんがあごにてを添えうーんと考える素振りを見せる。
「もしかしたら裏路地に行けば会えるかもしれないね」
「裏路地ですか?」
「情報屋といえば良くも悪くも、金で人様の個人情報をあれやこれや探りを入れてばらすからね。多少なりとも恨みをかっているのさ。そんな情報屋が潜伏するのに裏路地はもってこいなのさ」
裏路地はこの通りからさらに先に進んだところにある通りだ。この通りも表通りと比べれば人が少ないのだが、裏路地となるとさらに人だかりが少なくなる。そのため少なからず住民同士のトラブルなどが問題となっており、町の住人たちも普段であれば近寄らない場所となっている。
「でも行くしかないよな」
「ええ。このまま普通のやり方をしていても情報は手に入らないと思うし。多少のリスクは覚悟すべきだわ」
意外な人物からの情報を得た事で次の目的地は決まった。時間が惜しいため、俺とミラーナはすぐに準備を整え、裏路地に向かう事にした。
「でも女将さん。どうして情報屋の事を知っていたのかしら? もしかして只者じゃない?」
「確かに……。でも俺たちを騙そうとしているようには見えなかったけど」
宿を出る時も女将さんは気を付けるよう警告してくれ、何かあればすぐに逃げるようアドバイスもくれた。悪い人ではないと思いたいのだが、いかんせん相手を平気で騙そうとする輩というのは少なからずいるというのも事実だ。
「とにかく、ここからは注意して進もう。警備隊の管理の対象外としてるし、どこの誰が潜伏しているかも分からない」
この町には警備隊と呼ばれる組織があり、そこの属する者たちが町の治安を守るための活動をしている。しかし現実として規模や戦力の差でギルドに劣っており、正直頼るには不安が残る存在だ。
本来なら町をきちんと統治すべきはずの領主も事なかれ主義で何が問題が起こっても、ギルドで解決しくれと言わんばかりの態度を取っている。
そのため、この町は他の町と比べ治安があまりよろしくない。
「おいおい、男女カップルがこんな所に何の用だ?」
「人目のないところでお楽しみですか? 良い身分だなおい」
とまぁこんな感じで絡みに来るガラの悪い奴らが少なからず存在しているのだ。
「うっひょーー! そこの姉ちゃんマジか! マジ美人すぎね!」
「こりゃ上玉だな……。おい姉ちゃん。そんな頼りがいのないヒョロヒョロ彼氏とじゃなく俺たちと遊ばねぇか?」
バンダナを被った二人組の男が、にやにやしながら手に持っているナイフをこちらに向けてくる。
「そんなエスコートの仕方で誘いに乗ってくれる女性がいると思う?」
「へへへ、まぁそういうなよ。俺たちのテクは最高だぜ。味わってみればわかるだろうよ」
「私はそんな誘いには乗らない事にしてるの。ごめんなさいね」
ミラーナはバッサリと相手の誘いを断る。
「それより聞きたい事がある。あんたたちは情報屋について何か知らないか?」
「あ!? 男の質問に答える義理はねぇよ!」
「そうそう、そこの姉ちゃんをくれるってなら話は別だが」
「馬鹿! お前! おい!」
相方の男に注意され、もう一方の男がしまったという表情を浮かべる。
「あら。情報屋について何か知っているようね。ならお誘いに乗ってあげようかしら。お支払いは情報屋についてでどうかしら?」
「おいおい姉ちゃん。まさかその細腕で俺たちとやりあおうってか?」
「彼女一人に戦わせるわけないだろ」
ミラーナが剣を抜いたのを見て、俺も戦闘の態勢を取る。どうやら戦いは避けられそうにないようだ。
「くくく……。兄ちゃんよぉ。彼女にいいとこ見せようって思ったんだろうけど残念だったな!」
男の一人が指をパチンと鳴らすと、裏通りの建物の中から複数人の男たちが姿を現した。
「卑怯とか言わないでくれよ? 何せここは俺たちの領域。お前らはすでに俺たちの餌なんだよ」
「うお! めっちゃすげぇ美人がいる! こりゃ楽しめそうだ」
「きたわこれ。あんな美人の相手になれるなんて。俺幸せ」
「素晴らしい肉体だ。無駄がなく引き締まった体。非常に良い。俺はあの青年が欲しい」
最後の奴が背筋が凍りそうな事を言った気がするが気のせいだろう。増援が加わり相手の数は二人だったのがいつの間にか八人になっている。
「でもそれだけじゃ」
「足りないと思うわ」
「はは! ずいぶん余裕ぶっこくじゃねぇか! いいだろう! 地獄を見せてやるよ! お前らやっちまえ!」