刀使いからの提案
章構成にしてみたんですがどうでしょう?
あんまり意味ないか……
モストたちはギルド内の調査、ヴァルトたちは騎士団の任務。各自それぞれ元の持ち場に戻る事となった。
(俺は……どうするか……)
これまでは自分にかけられたあらぬ疑いを晴らすため、そしてフォールたちを見返すために頑張ってきた。その願いはついに叶う事になったのだが、これから先何をするか考えていなかった。
「いいのかい? あれで?」
これからどうしようかと考えていると、声をかけられる。声をかけてきたのはレイシアだった。
「いいっていうのは?」
「騎士の彼女の事だよ。何か言いたい事がありそうな様子だったけど?」
レイシアの言う通り、ミラーナには言いたい事、というより話したい事がたくさんあった。数日間共に活動こそしたが、まだまだ話したりないくらいだ。
(けど駄目だ……。ミラーナにはミラーナの人生がある……)
再会した時は本当に驚いた。かなりの美人になっていたし、剣や魔法の腕前も驚くほど成長していた。おそらく自分の知らない所でかなりの鍛錬を積んだのだろう。
そんな彼女と再会した時こそ驚いたものの、この数日はなつかしくもあり楽しい時間であった。こんな時間が長く続けばいいのにと思ってしまうくらいだった。
だがそれは自分のわがまま。勝手である。騎士団という組織に所属している彼女を引き留める権利など自分には無いのだ。
「やれやれ。これじゃあ彼女も大変だ」
「何だよそれ」
「女心が分かってないって事だよ」
レイシアが呆れ顔をしつつ、肩をすくめる。どうやら自分には分からない何かを感じ取っているようだ。
「仕方ないなぁ。ここは私が女心というものを教えてあげようじゃないか!」
レイシアが胸を張りつつ、得意げな表情を浮かべる。
「この後時間は空いているかい?」
「あ……ああ」
「じゃあ決まりだね。早速出発しようか」
乗り気な様子を見せるレイシアに腕を引っ張られ、ギルドを後にした。
「それで何をするんだ?」
何が起こっているのかよく分からないまま外に連れ出され、頭が混乱している状態の中、俺はレイシアに質問を投げかける。
「うーん。そうだなぁ……じゃあまずはヒューゴのおすすめの店を紹介してよ」
「紹介?」
「そうそう。この町に来て長いんでしょ? なら色んなお店を知ってるかなって」
「そう言われても。レイシアがどんな店に行きたいとか分かんないし」
「甘い!」
俺が話していると、レイシアにビシッと指を向けられる。
「女性は男性にエスコートしてもらいたいものなの。相手が行きたい店が分からないなら、さりげなくどんな店が良いって聞く心構え。これが大切」
「あ……ああ」
グイグイと攻めてくるレイシア。まるで自分が目をつけられた獲物であるかのような感覚に陥りそうになる。とはいえレイシアと行動を共にすれば何か見つかる気がする。そんな予感がしていた。
「分かった。じゃあ……。レイシア、どこか行きたい所ある?」
「うーん。そうだなぁ……」
改めて考える素振りを見せるレイシア。
(これで大丈夫? なのか?)
相手が考え事をしていると、何かマズイ事を言ったかなと思ってしまう。栄光の翼にいた時は、自分のやりたい事、行きたい所を各々が口にし、自分の本能の赴くままに行動していた。といっても俺の場合、まともな金銭を貰えなかったため、行きたい場所や買いたい物があっても行く事ができなかったのだが。
「うーん、小腹が空いたし、何か甘い物が食べたいかな」
そういえば自分も少しお腹が空いた気がする。フォールたちとギルドで争った事で少なからずエネルギーを消費したのだろう。ある意味ベストタイミングだろう。
「分かった。それじゃあどこか落ち着ける店に行こうか」
こうしてレイシアと共に町を回る事となった。