決着をつけて……
おはようございます
今日からまた主人公パートになります
というより新章?
栄光の翼とはとりあえず決着をつけましたが、まだまだ課題が……
彼等とは別のまたク〇みたいなキャラも登場予定ですので、続きを楽しんで頂ければと思います
(サブタイトルの形式も変えます)
(ふぅ……。何はともあれこれでひと段落か)
ひと騒動こそあったものの、無事に色々と解決する事ができた。フォールたちは認められないという表情を浮かべていたが、ギルド長であるモストから謹慎処分を言い渡された以上、下手な真似をしないだろう。
「ではワシはこれで失礼させてもらおう。今回の件も含め、色々と調査せねばならないのでな」
やれやれとため息を吐きながらモストが言葉を告げる。
「報酬に関してはかなりの金額になりそうじゃから……。とりあえずこれだけ渡しておこう。残りはまた改めて取りに来てくれんか?」
「いいんですか? 本当に……」
「これこれ、若いもんが遠慮してどうする」
正直今回の討伐については運が良かった事もあり、報酬を貰えるのも気が引ける。しかしポンポンとモストに肩を叩かれ、遠慮するなと一声かけられてしまっては受け取らないというのも失礼な話だろう。とりあえず、俺は報酬額の一部を受け取りそれをしまう。
「分かりました。それでは遠慮なく頂きます」
「ふぉっふぉっふぉ。よいよい。もしお主さえ良ければ魔物の素材も買い取るのでな。検討しておいてもらえるか?」
モストが買い取りたいと言うのはオークの変異種たちの素材の事だろう。オークナイトやメイジはともかく、オークジェネラルとなれば素材の価値も大きく上がる。ましてやそれを超えるオークエンペラーともなればとんでもない金額になるに違いない。
(実際体も固かったしな)
オークエンペラーの皮膚の強度はかなりのもので、魔法をかけて弱体化しなければまともなダメージを与えられなかっただろう。そんな魔物の素材をもとに武器や防具を作る事ができれば、それほど心強い装備はないだろう。その分かなり高額な費用で取引されそうだ。
「ではな。さて……今から調査に取り掛かる! 手の空いている者は今すぐ調査に向かうための準備をするのじゃ!」
「「はっ!」」
先ほどまでの穏やかな様子とは打って変わり、モストの表情が変わる。まさしくギルド長にふさわしい真剣な表情そのものだ。彼の一声で、様子を伺っていた他のギルドメンバーたちも大きな声で返答し、すぐさま支度にとりかかり始める。
「私たちも失礼させてもらおう。今回の件、騎士団でもかなり問題になっていてな。やる事が山ほどあって大変なんだよ。ったく面倒くせぇ。誰か代わりに」
「ヴァルト隊長。隊長も少しはモストさんを見習ってはどうかと」
気だるそうな表情を浮かべるヴァルトに対し、ミラーナが冷たい視線を向ける。
「はいはい。ったく、有能すぎる部下がいるってもの面倒だな。よし撤収するぞ」
「了解しました。はぁ……必ず会いにいきますわ……私の殿方」
ヴァルトに声をかけられ、ローナルがうっとりとした表情を浮かべながらこの場を後にする。
「うう……また寒気が……」
それを見たレイシアが体を両手で抱き身震いしている。何やらとんでもない勘違いが発生しているようだが……まぁこれは時間が解決してくれるだろう。
「それじゃあ……ヒューゴ、私も仕事に戻るわ」
「……ああ、そうだな」
ギルドで再会してからというもの、ミラーナは自分の為に共に戦ってくれた。俺が決して無能でどうしようもない屑ではないと証明するために。そして見事、今回の討伐でそれを証明する事ができた。
だが一方で"共に活動する事の終わり"でもあるのだ。
(そう。これでお互いまた元の生活に戻る。それだけだ)
俺はギルド所属、ミラーナは騎士団所属、今回の件が片付いた事でそれぞれが自分の道に戻る事になるのだ。ミラーナもそれを察しているのだろう。どこか表情が暗いように見える。
「ミラー」
「じゃあね、ヒューゴ。あなたと再会できて本当に良かった」
俺が言葉を出し切る前にミラーナが別れの言葉を告げ、この場を去っていた。