もがれる翼 part11
ごめんなさい!
明日投稿できなくなるかもなので
先に投稿しておきます
コ〇ナとんでもない事になってきてるので気を付けたい所です
皆様もお気をつけて
突然放たれた火球がドヴォルを目掛けて飛んでいく。
「ぐぁぁぁ!」
突然の攻撃に反応できるはずもなく、ドヴォルの腹に命中する。
「あちぃぃぃ! あちぃぃぃ!」
鎧ではなく普通の服装をしていたため、火が服ごと焼き払う。熱さを身で味わったドヴォルが地面に倒れこみ転げ回る。
「おや? たかだかファイアボールですよ? なのにその痛がりよう……これはどういう事ですかな?」
痛みで転げまわるドヴォルを見ながらイグナードは首を傾げつつ、顎に手を添え考える素振りを取る。
「Aランクの実力者ならあの程度の攻撃は防げて当然のはずなのですが……」
「ぐっ! クソが! この俺様にこんな真似してタダで済むと思ってんのか!」
「タダも何もこれが我々の仕事ですので」
血走った目で睨みつけてくるドヴォルを無視し、イグナードがスッと手を上げる。するとどこからかローブを纏った者たちが姿を現す。全員がフードを深くかぶり、顔を見えないように隠している。
「拘束しなさい。暴れるようであれば少しくらい痛めつけても問題ありません。ただし絶対に殺す事のないように」
イグナードの指示を聞き、フードを被った者たちがドヴォルを拘束しにかかる。
「な……何しやがる! はなしやがれぇぇぇ!」
痛みに悶えながらも拘束されまいと必死で暴れるが、相手の数が多い事もあり振りほどく事ができない。
「俺は……俺は栄光の翼の一員にして最強の男。ドヴォル様だぞ! その俺様が!」
「もちろん把握しておりますよ。もちろんその肩書も」
大声で叫ぶドヴォルに対し、イグナードがニコリと笑みを浮かべる。
「Aランクパーティともなれば相応の稼ぎもある事でしょう。キッチリ頂けるだけ頂きますよ。……最もそれに見合う実力があるかどうかは怪しい所ですが……」
「ああ!?」
「我々も職業柄それなりに情報を仕入れてましてね。あなた方、栄光の翼が"普通の"ウッドモンキーやワイバーン相手に敗北したのではないかという事も。挙句自分たちが勝てなかったからといって相手を変異種扱いしてギルドに報告したという噂もあるとか」
「ふざけんじゃねぇ! そんなのデタラメに決まってるだろうが!」
イグナードの言葉を聞いたドヴォルが激昂する。ローブを纏った者たちに拘束されながらも、口を動かし相手に対して反論する。
「一方であなた方が無能と呼び、追放した青年がオークの変異種を討伐したというも聞いていますよ。その彼は相手を弱体化させる魔法を使えるとか。……ああなるほど。ここに来てようやく分かりましたよ」
イグナードがハッとした表情を浮かべたかと思うと、今度は笑みを浮かべる。まるで長年の悩みがようやく解決した事を喜ぶかのように。
「何一人で笑ってやがる! ふざけた事抜かしてんじゃねぇぞ!」
「いえね。我ながら考えていたんですよ。相手は栄光の翼。拘束するとなれば相応の戦力が必要になる。そのために彼らにも控えていてもらったのですが……」
そう言いつつ、ローブを纏った者たちに視線を向ける。この者たちは栄光の翼の一員である自分を拘束するためにあらかじめここで待機していたのだ。その事実にドヴォルはイグナードの言葉を聞いた事で気づく事となるのだが、既に手遅れであった。
「当の相手はファイアボールの一撃でダウン。不意を突いたとはいえあまりに"弱すぎる"。これがAランクパーティの実力者であるなどと到底信じられません。ですがあなた方が追放した彼がいれば話は変わってきます」
「何馬鹿な事言ってやがる! あいつはただの無能! 使えないどうしようもないゴミだ! そんな奴が」
「率直に言いますと……あなた方がAランクパーティになれたのは……彼のおかげではないのかと思うんですよ」
ここに来てドヴォルは衝撃の事実を突きつけられる事となった。