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もがれる翼 part8

明日からまた寒くなりみたい……

栄光の翼。Aランクパーティにして今誰もが憧れる最強のパーティ。そのパーティの中で最も強い男。それこそがまさしく自分であるとドヴォルは確信している。自分の得物は斧であるが、武器が無くてもたかが騎士団の連中ごときに遅れを取る事はない。そう考えていた。


「おら!」

「うぉっ!」


渾身の力を込めて殴りかかるが、騎士団の男たちはその攻撃をあっさりとかわす。こちらからいくら攻撃をしかけても相手に一撃を与える事ができない。


(クソが! 何故だ! 何故当たらねぇ!)


斧を振り回している時よりも身軽になっているはずなのに、攻撃が当たらない。その事実がドヴォルをイライラさせる。


(こんなカス共に俺の攻撃が! 当たれば一撃だってのに面倒くせぇ!)


これまで多くの魔物と戦ってきたが、自前の腕力を活かして何匹も葬ってきた。時には苦戦を免れないと呼ばれる魔物と対峙した時であっても、一撃で葬り去った事がある。まさしく最強の名にふさわしい破壊力を自分は持っているのだ。


「この!」

「おとなしくしろ」


だが騎士団の男たちはそんな自分に恐れる様子を見せずに抵抗する。本気で自分を拘束しようと考えているのだ。


「ふざ……けんじゃねぇぞ!」


激昂の声を上げながらドヴォルは拳を振るう。突然叫び出した事に騎士団の男たちは驚きを覚えるが、それでもなおドヴォルの攻撃を冷静に対処していた。


「俺は……栄光の翼のドヴォルだぞ! 武器がないとはいえこんなカス共に! 屑共に! 俺が苦戦するなぞありえねぇだろうが!」

渾身の一撃。自分の中でそう確信した一撃を放つドヴォル。しかしその攻撃ですら騎士団の男たちにいなされてしまったのだ。


「くそっ! しつこい!」

「この! おとなしくしろ!」


ドヴォルが攻撃を放った事によってできた隙をつき、騎士団の男のうちの一人がドヴォルにしがみつき、動きを抑え込みにかかる。


「クソが! 離しやがれ!」


体を揺らして無理やり引きはがそうとするが、相手も必死でしがみついてくるため振りほどく事ができない。


「栄光の翼のドヴォル! お前を拘束する!」


そしてもう片方の男がドヴォルの両手を無理やり背中の後ろに回す。そして自分の懐から手錠を取り出し、それをドヴォルの両手にかけようとする。


「ぐうぉぉぉぉ!」


それでも何とか拘束から逃れようと暴れまわり、両手を後ろに回された状態にされながらも男たちを振り払う。


「あめぇぇぇんだよ!」


ドヴォルの体つきは騎士の男たちよりもいい。そのためか二人がかりでも抑え込む事ができない。一方で怪我を負わす事に抵抗のないドヴォルには、殴る以外にも攻撃手段がある。


「おらぁ!」

「がっ!」


騎士団の男に向かって頭突きを放ったのだ。その一撃が男の顔に直撃し、男は顔を抑えふらつく動作をとる。


「貴様!」

「喰らえや!」


そしてもう一方の男の腹に向かって膝蹴りを放つ。


「がはっ!」


腹に一撃を叩き込まれ、騎士団の男が呻き声を出すと同時にその場に倒れこんでしまう。


「てめぇらみてぇなカスが俺に勝てるわけねぇだろうが!」


倒れこんだ騎士団の男に向かって、ドヴォルがペッと唾を吐く。


「ぐっ! くそっ!」

「に……逃がさんぞ!」


騎士団の男たちはふらつきながらも自分を拘束しようと襲い掛かってくる。


(ちっ! しつこい雑魚どもだ! 面倒だがここは)


ドヴォルが退却を考えていたその瞬間、突然何かが現れる。


「ぐぁぁぁぁ!」

「がぁぁぁぁ!」


現れたのは火。それも騎士団の男たち目掛けて降り注いだのだ。突然の火の粉。それが魔法による一撃だと気づく前に、騎士団の男たちは攻撃を受け倒れこんでしまった。


「やれやれ。危ない所でしたねぇ」


声と同時に帽子をかぶった一人の男がドヴォルの前に姿を現した。


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