もがれる翼 part7
30万字達成しました!
いつも読んで頂きありがとうございます!
ただやはりというかどうも展開が遅いというのは把握しております
こうもっとスピーディな展開に持っていきたいのですが自分の力不足で申し訳ないです
少しずつ改善していければと思いますので皆様どうかよろしくお願いします
突然の暴行。反応できるわけもなく、騎士の男はドヴォルに殴り飛ばされる。
「ぐはっ!」
「おい!? あんた何を!?」
「雑魚が! 引っ込んでろ!」
騎士の男たちを無視し、ドヴォルはすぐさま逃げる店員の男を追いかけるために走り出す。
「ちっ! どこ行きやがった!」
だがあちこち見渡しても男の姿が見えない。どうやら足止めされていた隙をついて、どこかに姿を隠したようだ。
「まあいい。逃げたなら逃げたでやりようはいくらでもある。まずはあの店を滅茶苦茶にしてやる」
この場で自分から逃げおおせたとしても、あの男は防具屋で働いている。店にいれば自らその姿を晒す事になるはずだ。ならこちらはただ待てばいい。だがそれだけだと自分の気が晴れない。あの店を破壊して絶望を味合わせた上で、己の怖さを思い知らせてやるだけだ。
「いたぞ!」
「あの男だ!」
考え込むドヴォルの元に騎士の男たちが駆け寄ってくる。先ほど殴り倒した男とは別の者たちだ。おそらく先ほどの騒ぎを耳にし、自分を追いかけてきたのだろう。
「お前だな! いきなり暴行を振るった大男というのは!」
「それに加え何やら物騒な言葉を発していたようだな! 詳しい話を聞かせてもらおうか!」
変な真似をすれば拘束するぞと言わんばかりに、騎士の男たちはドヴォルを睨みつける。
(ちっ! たかだが雑魚の騎士の分際で! 面倒くせぇ)
その様子を見たドヴォルが心の中で舌打ちをする。しかし相手は所詮ただの騎士。一方こちらはあのAランクパーティ、栄光の翼の一員。それもその中で最強の存在の男なのだ。
「おいおい、てめらこの俺様が誰か分からねぇのか? 俺はあの栄光の翼の一員、ドヴォル様だぞ! そんな俺にこんな真似をしてタダで済むと思ってんのか?」
これまで自分に喧嘩を吹っ掛けてきた者は大勢いたが、自分の名と肩書を聞いた途端に震え上がっていた。自分の名を出せば、恐れおののき、多くの者がひれ伏してきた。昔も今も、そしてこれからもそれは変わらないのだ。
「栄光の翼の……」
「ドヴォル……」
「そう。俺様は栄光の翼のドヴォル様だ。てめぇらみたいなカスが束になっても敵わない最強の男だ。分かったならさっさと消えな! それとも痛い目に合いてぇか?」
指をポキポキと鳴らして威嚇する。これでもう相手は自分に恐怖し委縮するはず。そうなるはずだった。
「嘘をつくな! 栄光の翼は今謹慎処分中のはず! 不用意に外を出歩くなんてありえるか!」
「さては偽物だな! 人の名を騙るとは! 不届き者め!」
何と相手の騎士たちは自分が栄光の翼のドヴォルであると信じず、逆に偽物ではないかと疑ってきたのだ。
「怪しい奴め! 貴様を拘束する!」
「詳しい話は騎士団本部で詳しく聞かせてもらうぞ!」
そう言いつつ、騎士の男たちが武器を構え始める。どうやら相手は完全にやる気のようだ。
「なぁ……あれって!?」
「栄光の翼のドヴォルさんと……騎士団か?」
「何かやばそうだな! 避難するぞ!」
遠目にその様子を見ていた町の住人たちも、身の危険を感じたのか、すぐさまその場を離れていく。そしてこの場に残ったのはドヴォルと騎士団の男たちだけとなった。
「どうやらカスってのは頭の中までカスみたいだな」
「ふん。何とでも言うがいい」
「ワイバーン変異種討伐の時は何の成果も出せなかったが……今回はキッチリ仕事をさせてもらうぞ」
「はっ! 雑魚が吠えやがって! あの防具屋の野郎の前にてめぇらから潰してやるよ!」
ドヴォルも拳を握りしめ構えを取る。素手で自分たちと戦おうとする素振りを見せるドヴォルに、騎士の男たちも驚きの表情を浮かべる。一瞬怯む素振りを見せたものの、すぐさま気持ちを切り替えてドヴォルと向き合う。
「てめぇらみてぇなカス相手なら武器も必要ねぇ。栄光の翼最強の男の力。体に叩き込んでやらぁ!」
「態度だけは一人前だな」
「悪いが逃す訳にはいかん! こちらも相応の対応をさせてもらうぞ!」
こうしてドヴォルと騎士の男たちとの戦闘が始まる事となった。