もがれる翼 part2
女と来たら次は……
一部描写はカットしております
娼館に入り数時間、ドヴォルは自らに溜まっていた全てを相手にぶつけていた。
「ふぃースッキリしたぜ」
今回の相手は新人であったという事もあり、色々と下手ではあったが、それがまたドヴォルの嗜虐心を刺激し、快楽へと誘う事となった。相手の女性は新人ながらもドヴォルからありとあらゆる攻めを受ける事となってしまった。
「また遊んでやるからよ。次はもっと鍛えておくんだな」
満足げな表情を浮かべながら、ドヴォルは相手の女性をそのまま放置し、部屋を後にした。
「ド……ドヴォル様」
「中々楽しめたぜ。この調子でこれからも励めよ」
「そ……それはありがとうございます。ところでお代の方は」
「おう、いつも通りツケで頼むわ」
ツケ払い。それがドヴォルによる支払いの常であった。
「またツケでございますか……」
「俺とお前の仲だ。いつもの事だろ?」
「ですがここ最近はツケばかり……。そろそろ少しばかりは払っていただかないと」
「何だぁ? この俺様に文句があるってのか?」
グイっと顔を近づけ睨みつけるドヴォル。突然睨みつけられ、相手の男は恐怖で顔が歪む。
「俺様はあの栄光の翼の一員だぜ? てめぇらのツケくらい一瞬で払えるんだよ一瞬で」
「な……なら」
「だが金の管理はウィズがやっててな。ごちゃごちゃと面倒な仕事はフォールやウィズに任せてんだ。俺様のような強者はただ力を振るうだけ。それだけで多くの魔物を倒せるし、金はたんまり手に入る。簡単だろう?」
自慢げな様子を見せつつドヴォルが言葉を続ける。
「だがそれだけ活躍してれば注目も集めるもんでよ。昔は俺たちの事が気に入らないのか歯向かう奴も少なからずいてな。大変だったんだぜ。だがまぁそういった奴らは所詮口だけの雑魚。知らない間に消えちまったなぁ」
「あ……ぁぁ」
「中には同業者じゃなくて店を経営してる奴もいてな。話の分かる奴はそれなりに俺たちのことを支援してくれているんだが……。しない奴はどうなるんだろうなぁ?」
ドヴォルの言葉を聞いたオーナーの男が体を震わせる。回りくどい言い方をしているが、要は脅しだ。自分たちに従順な者にはそれなりの対応をするが、歯向かう者には容赦はしない。そう宣言しているのだ。
「俺はこの店を気に入ってるんだ。中々サービスもいいしな。だからよ、俺に"そんな真似"をさせないでくれよ」
こう言われてはオーナーの男も何も言い返せない。それだけ栄光の翼という肩書は影響力が大きいのだから。
「とまぁ優秀な俺たちだが、そんな中にもカスみてぇな奴がいてな。俺たちの間ではそいつは無能と呼ばれててよ。つい最近追放されちまったんだよなぁ」
その言葉にオーナーの男も心当たりがあった。誰からも一目置かれるパーティー、栄光の翼だがその中に一人、何の活躍もできない無能と呼ばれる男がいるという噂を耳にした事があったのだ。
「そんな無能がつい最近何を思ったのか俺たちに歯向かってきてよ。さっきもまぁ舐めた態度を見せてくれてな。またこれから"お礼"してやらないといけなくて大変なんだぜ」
どうやらその無能と呼ばれる男はドヴォルの気分を害する真似をしたようだ。話から察するに、おそらくターゲットとして選ばれてしまったようだ。
「なぁ、お前さんは賢いだろ? あんな無能と同じ末路辿りたくはないだろう?」
これまでドヴォルに歯向かった者たちがどうなったか。その結末をオーナーの男は少なからず知っている。そんな目には当然あいたくはない。オーナーの男はただ首を縦に振る事しかできなかった。
「ははは、分かってくれたか。いやぁあんたは良い選択をしたなぁ」
先ほどまでの表情と打って変わってドヴォルが笑顔を作り、笑いながらオーナーの男の肩をポンっと叩く。
「それじゃここいらで失礼するぜ。なぁに心配するな。そのうちまとめて支払いはしてやるからよ」
「は……はい」
「うっし! いい汗かいたし次は一杯やるとするか! 運動の後は酒。これに限るな」
こうして早い"運動"を済ましたドヴォルは、酒を飲むために店に向かう事にした。