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もがれる翼 part1

おはようございます

ドヴォル編開始です

よろしくお願いします

「クソが! どいつもこいつも、本当に役に立たねぇなぁ!」


フォールと言い争った後に宿の外に出たドヴォルは、一人苛立ちながら愚痴を吐いていた。


「フォールの野郎。何のためにリーダーを任せてやってると思ってんだ!? 面倒事を処理するためだろうが!」


栄光の翼の中において、一番強い者は自分である。ドヴォルはそう考えているが、フォールがリーダーという役割を担っている事に対しては反論しなかった。

それはリーダーであるフォールが面倒事を全て片付けてくれるからだ。自分はただ高い実力を魔物相手に発揮し、高額な報酬を得る。得た金で酒と女に手を出す。これまでそういった生活を送る事が出来ていたため、何一つ不自由する事はなかったのだ。


「それがギルマスだか何だか知らねぇかあんなジジイ相手に好き勝手言われやがって!」


先ほどまでギルド内で行われていた会話。その中でフォールはギルド長を名乗る老人、モストに謹慎を言い渡されてしまったのだ。


「挙句はあの無能に一撃叩き込まれると来た! 本当に情けねぇ!」


謹慎を言い渡された事に対して当然自分たちは反抗した。しかし事もあろうか自分たちがこれまで散々無能と馬鹿にしていた男に、自分たちのリーダーは一撃を叩きこまれてしまった。その結果、むざむざ撤退する事になってしまったのだ。


「フォールの野郎が足を引っ張らなかったらこんな事にならなかったのによ! もし上手くいっていたら今頃はあの女どもを……」


上手くいっていた時の事をふとドヴォルは考える。あの場には女騎士や刀使いの女がおり、どちらも極上の得物であった。フォールがヘマをしなければ、今頃あの二人をお持ち帰りし最高な遊びができていたはずだ。


「ちっ! 考えただけでムラムラしやがる!」


想像しているだけで抑えがたい感情が湧き出てくる。こうなってしまった以上、やはり"発散"しなければならないだろう。強者という存在は色を好む。それが自然の摂理というものだ。


「仕方ねぇ、ちと早いが娼館に行くとするか」


まだ日が沈む時間ではなかったものの、己の中に溜まったものを吐き出すために、ドヴォルは娼館に向かう事にした。





「おい! 誰かいねぇか!」


娼館についた後、ドヴォルは大声を上げ、自分の目の前に出てくるよう声を上げる。


「こ……これはドヴォル様。今日はお早いお着きで」


出てきたのは一人の老人。この娼館のオーナーの男であった。この娼館はドヴォルのお気に入りで、事がある度に足を運んでいたため、今では常連客として知られていた。


「るせぇ! 早く来てやっただけでも感謝しやがれ! んで今日は誰がいる?」

「まだ時間が早い事もあってあまり……。それと今日は新人が研修中でして……」

「新人……ねぇ」


その言葉を聞いたドヴォルが舌なめずりをする。食べなれた味だけでなく、たまには新味を楽しむのも悪くはないだろう。極上の得物を逃したドヴォルにとって、新味という響きはいつも以上に心地よいものであった。


「よし決めたぜ! 今日の相手はその新人だ! すぐ連れてこい!」

「か……彼女ですか!? それはさすがに……。入ったばかりですし」

「ああ? この俺様に指図するのか?」


怒気を込めた声を出しつつドヴォルがオーナーの男を睨みつける。


「良いのか? 俺様は栄光の翼の一員。その俺様の気分を害したらこんな店一瞬だぜ?」

「そ……それは……」

「なぁに。ちょっと味見するだけだ。料金もいつもと同じくらい払ってやるよ。悪くないだろう?」


栄光の翼という肩書を持ち出されてしまい、オーナーの男は何も言えなくなる。それだけ栄光の翼という名は影響力が強いのだ。例えドヴォルの相手をした女性が"どんな目に"あったとしても。


「なら案内よろしくな。くくく、新人の味、たっぷり楽しませてもらうぜ」


下品な笑みを浮かべつつ、ドヴォルは娼館の中へと消えていった。


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