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堕ちていく翼 part17

自室に戻ったフォールはこれからどうするべきかを考えていた。


「ギルドの件にあのゴロツキども……それにステラも件か。クソ!」


元々は自分たちの無実を証明すべく、変異種の素材を探していただけだった。それがあのゴロツキどもに絡まれた挙句、ステラを攫われ、あのような無様な姿を晒す事となってしまったのだ。


「ステラなら何とかするだろうが……」


ステラも自分たちと同じ栄光の翼の一員。Aランクの実力を持っている冒険者である。攫われたとはいえ彼女なら隙を見て逃げ出せるはずだ。


「ゴロツキども、絶対に許さねぇ。この俺にあんな真似をしてくれた事……。絶対に後悔させてやる!」


それよりもあのゴロツキのカスどもをどう駆逐するか。


「あの無能もだ。元はといえばあいつのせいで」


ギリッ歯を食いしばるフォール。そもそも事の始まりはあの無能が原因だ。あの無能が余計な真似をしたせいで、自分たちにあらぬ疑いをかけられてしまう事となったのだ。


「ちっ! 昔からだ! あの無能は昔から!」


過去を振り返ると様々な光景が頭に思い浮かぶ。事あるごとにあの無能は自分に指図してきた。あれを準備すべきだ、危ないからこうした方がいい、安全のためああした方がいいだの、自分に実力がないゆえにそういった知識を披露して自分をアピールしてきたのだ。

自分たちが駆け出しの頃は、素直に言う事聞いてやっていた。しかし自分たちが成長して注目されるようになる中、あの無能は自分だけが取り残される事を恐れて何とか存在価値を証明しようと必死だった。

そんな中温情でパーティーに残しておいてやったというのにこの仕打ち。本当にどうしようもない屑である。そんな屑を放っておくなど、世間にとっても良くない事だ。


「あのゴロツキ共とは別にどこかで始末してやらないとな」


前にギルドで殴られた時は、油断していた事もあって一撃お見舞いされたが、正々堂々戦えばあの程度の相手、瞬殺できる。それこそ本気を出すまでもない、取るに足らない相手だ。


「だがあの無能にはどうやって知り合ったのか分からないがあの女騎士や、刀使いの女と繋がりがある。奴らもどうにかしないとな」

ギルドで出会った騎士団所属の女騎士や、謎の刀使いの女。経緯は不明だが、話を聞いていると彼女たちと行動を共にしているようだ。


「いや待て……むしろこちらに引き抜くのもありか……」


あの二人の女性。実力はともかく、見た目はかなりの美人であった。あの女好きのドヴォルがたまらないと唸るくらいの美貌を持っており、ステラという女性と付き合っている自分ですら目で追ってしまうほどであった。


「あの二人を引き抜いてあの無能に見せつける。くくく、悪くないな」


自分のルックスに加え、Aランクパーティーという肩書。これさえあればどんな女も自分になびく。現にギルドやこの宿の受付嬢は、ほぼ自分の言いなりである。

彼女たちを懐柔すれば、あの無能をさらに絶望させる事など容易いだろう。


「それに見た目もいい。ドヴォルと同レベルになるのはあれだが……。あのレベルなら俺自ら遊んでやってもいいかもな」


想像しただけで笑いがこみ上げてくる。味方だと思っていた者に突然裏切られる。それが行われた時、あの無能はどんな醜態を晒すだろうか。


「ん? 待てよ……そうか! その手があったか!」


その中でフォールの中にある案が浮かぶ。これまでの流れを一気に変える最善の手が。


「そうだ。何も俺たちが無実を証明する必要はない。要はあの無能を全員で糾弾する流れを作ればいいだけなんだからな」


あの無能は偉そうにも、たかだが色が黒いだけのオークを変異種だのなんだの騒ぎ立て、こちらを責め立ててきた。それが認められた事でこちらが不利になってしまったが、逆に言えばそれが認められなければいいのだ。


「ギルドや騎士団に手を回す。これしかないな」


フォールが思いついた案はこうだ。要はあの無能が変異種を討伐したという事は認められないとギルドや騎士団から言わせさえすればいいのだ。

幸いにもこちらには地位も金も実力も、全てが揃っている。それらを使えばギルドや騎士団を裏で操る事など造作もない。現にウィズはこの町の領主と結託し、自分に有利になるよう立ち回っていたのだから。


「あのギルド長を名乗るジジイやヴァルトとかいう男は厄介だが、裏から手を回せばどうとでもなるだろう」


あの場にいた者たちにはさすがに賄賂などは通用しないだろうが、排除する手段などいくらでもある。それこそ彼らの部下の者たちに手を回し、何らかの問題を起こさせて責任を取らすという形で簡単に消し去れるのだから。


「我ながらいい考えだ。いっその事引き抜いたそいつらを使ってゴロツキどもにぶつけるのもありかもしれないな」


引き抜いた者たちを使い、こちらも人数差による攻撃を仕掛ければあのゴロツキどもも簡単に始末できるだろう。我ながら素晴らしい考えだと自分で自分を褒めたくなる。


「明日はスカウトを始めるとするか。そうと決まれば今日はじっくり休まないとな」


未来の事を考えながら、フォールは明日に備え休息を取る事にした。


とりあえずフォールとステラはここまでで一旦区切りです

明日からはウィズのお話やっていきます


フォールとステラの話がちょっと冗長になったなぁっていうのが正直な所……

ウィズとドヴォルの話はもう少しサクサク読める様に頑張りますね!

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― 新着の感想 ―
[気になる点] なんか話数と文字数かなり使ってるのにあんまり話が進んでいない感……? 自分に合わないってだけかもしれませんが
2021/12/28 09:10 退会済み
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