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堕ちていく翼 part16

ユニーク9万越えしてました!

ありがとうございます

馬車で移動し、フォールはようやく町にたどりつく事となった。


「いいか? この事は他言無用だぞ? 言ったら……分かっているな?」


御者の男に対して脅しをかけ、自分の事を一切口外しないよう無理やり約束させる。これで少なくとも自分が馬車を使って謹慎中であるにも関わらず、別の町に移動したという事はバレないだろう。男はフォールを馬車から降ろした後、怯えた様子でその場を去っていった。


「ぐっ!」


脇腹に痛みが襲い掛かる。先ほどゴロツキの男のうちの一人によってナイフで切り裂かれた箇所だ。


(早く治療しなければ)


ワイバーンの攻撃を受けた時ほどではないが、ゴロツキの男たちによってかなりの傷を負ってしまっている。一刻も早く傷を癒し、相手に相応の報いを受けさせなければ、この恨みは晴れない。

フォールは痛みに耐えながら、何とか足を動かし、宿に向かって歩き始めた。


「いらっしゃいま……」


宿に戻ると、受付嬢がいつものように声をかけてくる。しかしその言葉は途中で止まる。


「フォールさん! どうされたんですか!」

「早く回復薬を……回復薬を持ってきてくれ」

「わ……分かりました! すぐに持ってきます!」


フォールの言葉を聞いた受付嬢が、急いで倉庫の方に向かって走り始めた。この宿はこの町でトップクラスの大きさを誇る宿で、全ての部屋が完全個室、広さもあり、あらゆる設備が揃っているという場所であった。その分値段も相応にするのだが、栄光の翼からすればそれくらいの値段は安いものであった。


「回復薬です! お飲みください!」


受付嬢が持ってきた回復薬をひったくるようにして手に取り、それをすぐさま自分の口に入れ流し込む。


「まだだ! まだ足りない!」


一本では足りなかったため、再度持ってくるようにと催促するフォール。回復薬を何度も飲む事を繰り返し、数本飲んだ事でようやく痛みが和らいでくるのを直に感じる。


「くはぁ! 生き返ったぜ!」


痛みがマシになった事で、ようやくフォールは一息つけるようになった。


「あの……フォールさん……」

「君のおかげで助かったよ。ありがとう」


そう言いつつ、受付嬢の手をそっと握るフォール。


「君は俺の命の恩人だ。君がいなければ俺はどうなっていたか……」

「いえ……そんな……」


こんな性格だが、フォールはルックスの整ったイケメン。それもあの栄光の翼のリーダーなのだから当然モテる。そんな彼に甘い言葉を囁かれながら手を握られた事で、受付嬢の顔もほんのり赤くなってしまっていた。


「このお礼は必ずさせてもらう。もちろん回復薬の代金と一緒にね」

「はぅ……」

「ただ支払うのに少し時間がかかる。少しの間だけ待っててほしいんだ。いいかな?」


フォールの言葉に受付嬢はコクコクと頷く。それを見たフォールは心の中で単純だなと笑ってしまう。自分のこの顔と栄光の翼という肩書があればこうも簡単に女性を落とせるのだ。本当に簡単である。


「痛みは落ち着いてきたけど、まだ疲れが残っててね。休ませてもらってもいいかな?」

「っ! はい! どうぞ!」

「ありがとう」


ニコリと笑顔をサービスし、フォールは自分の部屋に向かって歩を進める。


「ん? 誰もいないのか?」


自分の部屋に戻る途中で、ウィズ、そしてドヴォルの部屋の前を通るが、人の気配が全くしない。ドヴォルは昨日から戻っていないのは予想できたが、ウィズまでいないのは予想外であった、


「あいつら……この忙しい時に……。本当にどうしようもない奴らだ」


ウィズもドヴォルも栄光の翼に所属するだけあってそれなりの強さを持っているが、二人ともクセが強い性格をしていた。最もそんな二人をコントロールできるのは、リーダーたる自分がしっかりしているからであるとフォールは考えていた。


「まぁいい。まずは作戦を練らなければ。あの二人もそのうち帰ってくるだろう」


文句を言いつつ、フォールは自室で作戦を練る事にした。


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