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【3章完結!】  ステータスダウンしかできない無能デバッファー。追放宣告を受けてしまったが実は最強デバッファーでした。  作者: 追放されるけど何だかんだでハッピーなのが好きな人
一章 無能と呼ばれる男
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無能 次の作戦を考える

土日で何とかストック貯めて毎日投稿できるように頑張ります!

皆様よろしくお願いします。

武器屋で素材の買取を終えた俺とミラーナは宿屋に戻り、夕食を取りながら話を整理する事にした。宿に戻ると女将さんが任せときなと腕をまくると、すぐさま調理に取り掛かり始めてくれた。


「まさかあれだけの金額になるなんてな。さすがに予想できなかった」


本来ギルドで買い取ってもらえるよりも高い値段で買い取ってもらえた事もあり、寂しかった懐は一転。そこそこの収入を得る事ができた。これだけあれば、しばらくの間は普通の生活を送れるだろう。少なくとも宿代を払えず外で野宿するという事にならずに済みそうだ。


「ギルドってそんなに稼げるのね。騎士団だと魔物を倒しても業者に回収してもらうだけで素材の売却とかはする事がないから」


ミラーナが所属している騎士団では素材の剥ぎ取りや売買といった行為は専門としている業者に依頼しているらしい。騎士団は国に所属しているとい事もあり、国から給与という形で毎月一定の金額が支給されるが、魔物を討伐したとしても、評価こそされるものの給与には反映されないようだ。


収入不安定だがうまくいけば一攫千金を狙える冒険者、安定収入を得られるが一攫千金は狙えない国所属の組織。どちらもそれぞれメリット、デメリットがあるのだ。


「問題はこれからどうするか……だよなぁ」


今日の収入はうれしいものではあったが本来の目的ではない。今日を含めて一週間のうちに自分の冤罪を晴らせる何かをしなければこのままだとギルドを永久追放となってしまう。それだけならともかく猶予を貰うためとはいえ目の前の幼馴染は自分の身を担保にしているのだ。超がつくほどの美人となった彼女を放っておく者は当然いない訳で、栄光の翼のドヴォルが男から見ても分かるくらい下賎な目で彼女の事を見ていた。


「その事なんだけど、ヒューゴに話があるの。まだあなたには私がギルドに派遣された理由を話してなかったと思うし」

「そういえば……。よく考えればわざわざ騎士団から人員を派遣するなんて普通じゃないしな」


何故騎士団所属のミラーナがギルドに派遣される事となったのか。俺は改めて彼女の口からその経緯を聞く事にした。


「表向きは騎士団とギルドの交流を深めるためとなっているの」

「交流をか……」


ギルドと騎士団は立場が違えば考え方も違う。ギルドでは依頼を引き受ける事と引き換えに報酬を得るというのが主であるが、一方で騎士団は報酬関係なく、国からの指示に従い任務をこなすという仕事を行っている。

当然いざこざが無いわけがなく、魔物の討伐依頼を受けたギルドメンバーがいざ退治しにいこうとしたら、騎士団が派遣されており先行で魔物の討伐を行っていた。騎士団が魔物を討伐したため、当然報酬は無し。依頼を受けたギルドメンバーがそれに納得いかず騎士団と揉めるという事例が発生した事もあった。

そこで騎士団はそういったわだかまりを無くし、お互いに協力しあっていこうという事で、騎士団所属の者にギルドの活動を視察させようという案が出た事で出向という形で自身が派遣される事となったらしい。


「なるほど。相手を知るために相手の仕事を見ようって所か。まぁ納得できなくはないな」


ギルド側からすれば、自分たちの活動を騎士団にアピールする事ができると考えたのだろう。だからこそギルドの受付嬢も行動視察の相手としてあの栄光の翼を選んだのだろう。


「ただ表向きはって事は何か裏があるんだな」

「ええ。交流を深めたいっていうのは嘘じゃないのだけれど。本当はある調査をするためなの」

「ある調査?」

「今日私たちが行った魔の森。そこで異常事態が発生してるって報告があったの。具体的には本来そこにはいないはずであろう魔物が現れるようになってきている。その原因を探りに来たの」


ミラーナ曰く、魔の森で本来森の奥深くに生息している魔物たちが、森の外側で見かけるという光景が頻発しているらしい。最近だとゴブリンやスライムといったFランク相当の魔物しかいないエリアにDランク相当の魔物が出現したという報告もあり、低ランクの魔物相手に討伐しに行っていた者たちが予想外の魔物に襲われ大けがを負ったという事件が発生したのだという。


「そういえばワイルドベアやキラータイガーも本当ならもう少し森の奥深くに住んでるはずなのに遭遇したな」


今日自分たちが狩りに出かけた時も本来ならCランク相当の魔物しか出ないであろう場所で探索を行っていた。ミラーナがあっさり討伐してくれたおかげで気にも留めなかったが、あのエリアでBランク相当の魔物と二体も出会った事に確かに疑問が残る。


「今日出会ったその魔物二体は討伐できたけど……。もしもその魔物たちがもっと森の外に出てきたら大きな問題になる。もしかしたらギルドならその原因を突き止めてるんじゃないかと騎士団は考えたみたいで。それでそれを探りに私が派遣されたってわけ」

「なるほど。要は偵察みたいなものか。目立ち過ぎて偵察どころじゃなくなってるけど」

「だ れ の せいだと思ってるのよ!」


笑みを浮かべながら怒るミラーナに俺はごめんなさいと頭を下げる。本来ならスムーズにギルドに入り込み、情報を収集するはずだったのだろう。それが俺を守るために彼女はギルドと敵対するという形をとってしまった。こうなってしまっては最早ギルドから情報を得る事は難しいだろう。


「こうなったら解決方法は一つ。私たちでこの問題を解決させるのよ!」

「俺たちで?」

「そう。そうすれば私の本来の任務を達成できるし、ヒューゴも原因特定に貢献したって功績を残せるでしょ? 騎士団お抱えの任務の解決に貢献したってなれば彼らも無視できないはずよ」


確かに。もし魔物たちが生息地を超えて活動を始めているというのが事実ならば大問題だ。もし若手のギルドメンバーがゴブリンを討伐しにいったのに、気がつけばワイルドベアに囲まれましたとなればギルド側も笑いごとではすまない。もし何かが原因でその事態が発生しており、それを解決できれば大きなアピールになる。


「分かった。他にも案はないしその作戦でいこう」

「決まりね。じゃあ明日からは情報収集しましょう」


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