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堕ちていく翼 part13

ちょっと残酷な描写あります

ご注意ください

自分たちはAランクパーティーである。そう発言したフォールであったがありえないと一蹴されてしまう事となった。


「こんな雑魚がAランクゥ? 嘘つくならもっとましな嘘をつけや!」

「って事はAランクパーティーを倒した俺たちは」

「Aランク? いやSランクなんじゃねぇか? こりゃすげぇ!」


戦いを通してフォールの実力を知った男たちは笑っていた。もしも仮に自分たちが倒した男がAランクパーティーの一員なら、それこそ自分たちはAランクと同等、もしくはそれ以上の存在だという事になる。

それがあまりにもおかしくもあり、面白い事もあって笑わずにはいられなかったのだ。


「私たちはAランクパーティーの栄光の翼なの! あんたたち何か本気を出せば一瞬で始末できるんだから!」

「おー怖い怖い!」

「おうおう、なら楽しませてもらおうか! 無論、ベッドの上でだがな!」

「違いねぇ。ははは!」


ステラがフォールの言っている事は真実であると証言するが、当然相手には信じてもらえない。何を言ってもただ笑われてしまうだけであった。


「おい、お前らあんまり遊んでるんじゃねぇ。適当な出まかせを言って時間稼ぎしてるだけかもしれねぇからな」

「だってよリーダー」

「あまりにも可笑しすぎて」


リーダーの男が注意するが、それでも男たちは笑いを止められずにいた。それだけフォールたちの発言は彼らにとって面白いものとして受け取られたのだろう。


「まぁ保険はかけておくとするかな」


リーダーの男が地面に転がっているフォールに目線を合わせるために自身の体をかがませる。そしてフォールの頭を掴み、無理やりこちらに視線を向けさせる。


「ぐっ! 何を!」

「おい兄ちゃん。これでお前と俺たちの実力の差は分かったはずだ。今お前さんの命は俺たちが握っている。言わなくても分かるだろう?」


自分たちにとって取るに足らない相手。フォールはゴロツキの男たちをそのような相手と考えていたが、実際は数の利を活かされ、無様にも自身が敗北する事となった。男の言葉によって改めてそれを認識させられる。


「本来ならここでお前を始末してやりたいが、万が一お前らが行方不明になっただとかで騒がれたら困る。俺たちも目立ちたくないんでね。そこでだ。俺たちと取引しねぇか?」

「と……取引だと?」


突然の提案にフォールは驚きを覚える。確かに今でこそ自分たちにとって不利な状況だが、相手もギルド総出となって攻めてこられるのは困るといった所だろう。どうやら相手も自分たちにこんな目に合わせてただでは済まないと薄々感じ取っているのだとフォールは考えていた。


「お前がAランクがどうかは置いといてだ。もしお前がギルドの一員ならこう報告してくれや。魔物との戦いで敗走する羽目になった。その時に装備や金、お仲間の女が行方不明になっちまったってな」

「なっ!」

「そうすればお前は見逃してやるよ。その怪我も魔物との戦いで負ったと言えば相手も納得するだろうからな」


相手の提案の内容。要は自分の手持ち全てとステラを渡せば見逃してやるという内容であった。男たちからすれば目的の物が手に入りすれば、別にフォールの命がどうなろうがどうでもいい。それこそ嘘の発言をしてくれれば自分たちが追われる事も無くなると考えての提案だった。


「ふざけないでよ! そんな提案飲むわけないじゃない!」

「はーい、姉ちゃんは黙ってような」


取引の内容に納得できないステラは、体を動かして必死に抵抗する。何とか拘束から逃れようと暴れるが、男の一人に無理やり抑え込まれてしまっていた。


「さーて、どうするよ? 仲間を思って断ってくれてもいいが……。その時はどうなるか……分かるだろう?」


リーダーの男が元々フォールの物であった剣をちらつかせ、脅しの言葉をかけてくる。


(ぐっ! 糞が! この俺が! この俺に脅しだと!)


栄光の翼の一員である自分がこんな辱めを受けている。情けとも取れる相手の提案で自分のプライドを傷つけられ、フォールは内心苛立ちを覚える。


「俺は気が短いからよ。早くしねぇと大変な事になっちまうぜ?」


そう言いつつリーダーの男が空いているもう片方の手でフォールの指を握り、それを無理やり逸らして捻じ曲げた。


「ぐっあぁぁぁ!」

「ひーーおっかねぇ!」


指に激しい痛みが襲い掛かりフォールがたまらず悲鳴を上げる。それを見た男たちは満足そうに笑みを浮かべている。


「どうだ? 答えは決まったか?」

「はぁっ! はぁっ!」

「まだ決まらねぇか? まぁいい。指は足含めて全部でニ十本ある。十秒につき一本曲げてやるから制限時間は二百秒って所だな」


その言葉を聞き、フォールの背筋がゾッと凍る。あの痛みを指一本ごとに味わう。とてもじゃないが耐えられるものではない。ここにきてようやく自分が致命的な状況に置かれていると把握したのだ。


「さーて、それじゃあ二本目いきますか!」

「まっ! 待ってくれ! 分かった! 決めるからやめてくれ!」


こんな事されては本当に自分の体が持たない。フォールはついに相手の提案を受け入れるかどうか決心したのであった。


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