堕ちていく翼 part11
ごめんなさい
投稿したつもりだったのですが何故か更新されてなかった……
個人的にやっと書きたい話まで持ってこれたので、お楽しみ下さい
「いくぞ! ステラ!」
「任せて!」
いつもの通り、ステラの補助魔法の効果を受けたフォールが剣を相手に振るう。今日はドヴォルとウィズがいないが、それでも自分たちはあの栄光の翼の一員。
目の前にいるいかにも頭が悪そうなゴロツキ程度一瞬で消し飛ばせる。そう考えていた。
「おっと!」
「あめぇよ!」
しかしその攻撃を相手の男たちは難なくかわす。
「まだだ!」
続けざまに剣を振るって攻撃をしかける。しかしその攻撃も男たちに捌かれ、中々決定打を与えられずにいた。
「おいおい……こいつは……」
「どうだ? これが俺の力だ! 謝ってももう許さないがな!」
リーダーの男が驚きの表情を浮かべたのを見てフォールがニヤリと笑う。今回の戦いは二対四と本来なら自分たちが不利な状況だが、個人の力量だけで言えば自分たちの方が遥かに上。今になって自分の実力に怖気づいていたのだろうとフォールは考えていた。
「あまりに弱すぎて驚きだぜ!」
リーダーの男がお返しと言わんばかりにフォールに向かって攻撃を繰り出した。予想外の相手からの反撃。その攻撃を何とかフォールは剣で受け止めるが、その一撃を抑えきれず、剣を自分の手から落としてしまう。
「なにっ!?」
「おら!」
「隙だらけだぜ!」
当然相手はその隙を突いてくる。他の男たちが手に持っていたナイフでフォールを斬りつけてきたのだ。
「ぐっ!」
「フォール!」
当然剣を持っていない状態では防げるはずもなく、脇腹を切られてしまう。致命傷とまではいかないものの、体に傷を負ってしまう。
「おらおら!」
「ひっひ! 逃げねぇともっと痛くなるぜぇ?」
「雑魚どもが! 調子に乗るなよ!」
地面に落とした剣を再び握り、フォールが怒りの雄たけびを上げながら斬りかかる。怒りに身をまかせ、剣を振るい攻撃をしかけるがそのような攻撃では相手にダメージを与えるどころか、攻撃を当てる事さえできずにいた。
「ステラ! もっと俺に補助魔法をかけろ!」
「分かったわ!」
ステラがさらに魔力を込め、フォールのステータスを向上させる魔法を放ってサポートする。しかしそのサポートを受けても、体に傷を負った状態ではまともに動けない。動けば動くほど痛みが増し、動きのキレもどんどん悪くなり体力も消耗していく、
「おら!」
そして再び相手の攻撃を受け、剣を手放す事となった。
「おーおー、そんなに剣を落として。可哀そうじゃねぇか!」
その様子を見ていた男たちが嘲笑する。自分が雑魚だと侮っていた相手に馬鹿にされる。フォールのプライドを傷つけるには十分な行為であった。
「ボーっとしてていいのか? おらよ!」
だがいくらプライドを傷つけられようとも現実は変わらない。剣を手放し無防備になったフォールに対し、男の一人が腹を目掛けて殴りかかったのだ。
「ぐふっ!」
剣を手放した挙句、フォールは腹の痛みに耐えきれずその場に倒れこんでしまう。
「フォール!」
「おっと姉ちゃんはこっちだ!」
フォールを治療しようとすかさすステラが駆け出そうとするが、別の男に腕を掴まれ拘束されてしまう。
「この! 放しなさいよ!」
「おいおい、動いたら危ないぜぇ? 暴れたらどうなるか分かるだろう? おとなしくした方が良いぜ?」
手に持ったナイフをちらつかせながら男が下種な笑みを浮かべる。ステラは補助魔法や回復魔法を使えるものの、あくまで役割としては後衛のサポーターであるため、直接的な戦闘力は持っていない。そのため、男に拘束され、武器で脅しをかけられてしまってはどうしようもなかった。
「ぐっ! くそ!」
こうして戦況は完全に相手によって支配されてしまう事となった。