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堕ちていく翼 part2

おはようございます!

今週かなり寒くなるみたいですね

体調に気をつけていきましょう

フォールたち栄光の翼は今後の為に、どういった方針で行動すべきかを話し合うため、急遽打ち合わせをする事となった。


「やれやれ、どうやらこの私がいないと駄目みたいですね」


ウィズがかけていた眼鏡をクイっと上げる。


「ウィズあんた大丈夫なの?」

「私を誰だと思っているのですか? 天才の私にとってあの程度の怪我など大したことありません。」


オークエンペラーとの戦いの際に、大ダメージを負ったウィズだったが、転移石を使ってすぐさま退避した事、金を積んで優秀な回復魔法使いを雇って治療を受けた事によって歩けるくらいには回復をしていた。


「っていってもあんたつい昨日まで死にかけてたじゃない。本当に」

「そう心配すんじゃねぇよステラ。こう見えてウィズも俺たち栄光の翼の一員だぜ? 俺たちの中で使えねぇカスなのはあの無能くらいだろ」

「あの無能と比べられるのは心外ですが……。まぁドヴォルの言う通り何も問題はありませんよ」

「とにかく無事で何よりだ。病み上がりの所すまないが、少し面倒な事になった。ウィズ、お前の知恵を貸してほしい」


フォールが先ほどギルド内で行われた話し合いについての全貌を話す。結果として自分たちが謹慎処分を受けてしまった事も包み隠さず、全てをウィズに説明したのだ。


「なるほど……。私の知らぬ間にそのような事が……。少しは説明をしてほしかったですね」

「仕方ないじゃない! そもそもあんたがあんなボロボロになって帰ってくるなんて思ってもいなかったんだから!」

「一人で問題ないとかいってカッコつけてるからそうなるんだよ」


今回、魔の森へ変異種討伐に向かう事となったが、栄光の翼からはウィズ一人だけしか参加しなかった。本来なら全員で参加すべきだったのだが、フォールはワイバーンに怪我を負わされ万全の状態ではなく、ステラはその付き添いをする必要があった。

ドヴォルもワイバーンとの戦いで自分の武器を破損し、慣れない武器での戦闘となる事もあって、結果的にウィズが栄光の翼代表として討伐隊に参加する事となったのだ。

だが結果は最悪、大怪我を負わされ、戦線を離脱する事になってしまったのだ。


「あの化け物はただのオークではありませんでした……。あのような魔物が存在するとは……。最早こんな事をしていては命がいくつあっても足りません」

「おいおい、何ビビってやがる? 俺たちはあの栄光の翼なんだぜ? オークの一匹や二匹余裕で倒せるだろ?」


肩をブルブルと震わせているウィズを見たドヴォルがそれを鼻で笑う。確かにギルドで見たオークの亡骸は普通のオークとは違うものであった。とはいえ相手は所詮、ただのオーク。自分たちがそんなオーク相手に苦戦するなどありえない。ドヴォルはそう考えていた。


「ふん。あなたは対峙した事がないからそんな事が言えるんですよ! っと話が逸れましたね。私の意見としてはギルドの忠告通り謹慎を受け入れるべきだと思います」

「「「なっ!」」」


ウィズの発言に三人が驚愕する。まさか身内から素直に謹慎という処分を受け入れるという言葉が出てくるなど思ってもいなかったからだ。


「いいですか? ギルドに逆らえば私たちがこれまで築き上げてきた栄光がどうなるか分からないのですよ? しばらくおとなしくする。これだけで済むならそれに越した事はないじゃないですか?」

「てめぇ! 何言ってやがる!?」


弱気な態度を見せるウィズに腹を立てたのかドヴォルが怒りの声を上げる。


「俺たちは栄光の翼だぞ! そんな俺たちがあんなカス共の言う事を聞くなんてありえねぇだろ!」

「そう。既に私たちにはAランクパーティーの栄光の翼という肩書がある。これさえあれば何とでもなるんですよ? それで十分じゃないですか」

「ウィズ……お前、どうしたんだ? 何かおかしいぞ?」


ウィズの態度にフォールは違和感を覚えていた。自分たちが知っているウィズは自分の事を天才と呼び、これまで栄光の翼の頭脳として様々な活躍をしてきた人物だ。しかし今のウィズには貪欲さがまるで感じられない。むしろ現状維持を望んでいるように見える。


「はっきり言いましょう。もう私は冒険者として活動するつもりはありません。Aランクパーティーの肩書。これを使って生きていこうと思います」

「なっ!?」

「嘘!?」


冒険者を辞める。そんな言葉がウィズの口から出た事に対し、フォールたちは驚く事しかできなかった。


「あなたたちはあの化け物と戦った事がないからそんな事が言えるんです! Aランクとなればギルドからあのような化け物と何度も戦わされるでしょう! そんな苦労をしなくてもAランクパーティーの肩書と天才たる私の頭脳があれば十分やっていけますので」

「てめぇ! それでも栄光の翼の一員か!  あぁ!」

「やめないかドヴォル!」


ウィズの胸倉を掴みかかろうとしたドヴォルに、フォールが制止するよう注意の言葉をかける。


「ウィズ。問題はそれだけじゃない。お前が前に話していた町の領主と俺たちの繋がり。それもバレそうになっている。それに関してはどうするつもりだ?」

「ああ、あの件ですか。あれなら領主に全ての罪をなすりつけるつもりなので。何かあればすぐに切れるよう色々細工をしています。それくらいの準備、私がしていないわけがないじゃないですか」


ウィズ曰く。万が一領主と自分たちの繋がりが発覚した場合、全ての責任を領主に押し付けられるよう色々と細工をしていたらしい。しかも自分が領主の悪事を見つけたとして、表彰されるよう手を打っていたのだ。小汚い策ではあるが、どんな結果になっても自分が得するように立ち回っていた。


「とにかく私はほとぼりが冷めるまで休ませて頂きます。何かあるならあなたたち自身で何とかしてください」

「てめぇ! 待ちやがれ!」


ウィズは三人を残し、そのまま自分の部屋に閉じこもってしまった。


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