ギルドと栄光の翼 part21
昨日は多くの方に見て頂けました!
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まさか俺から話しかけられるとは思ってもいなかったのかフォールが驚きの表情を浮かべる。
「こっちはこれだけ証拠を出してる。けどお前らはさっきから言葉ばかりで何も証明できていない。はっきり言って時間の無駄だ。潔く全てを受け入れてくれないか?」
あれだけの事をされたとはいえ、これでも元同じパーティーの一員だ。そんな彼らの今の様子を見ていると恥じらいさえ覚えてしまうくらいだ。
「何だと!? 貴様! 無能の分際で俺に指図しようというのか!?」
俺の言葉に腹を立てたのか、フォールが怒りの感情をあらわにする。
「ちょっと! 無能のくせに何生意気な事いってるのよ!」
「何の役にも立たないゴミが! 誰に向かって口聞いてやがる!」
ステラとドヴォルもフォールと同じ反応をしてくる。これまで彼らは散々、俺の事を無能だのゴミだの言ってきた。そんな俺から諭すような言い方をされれば怒るのも無理はないだろう。
(とはいえこれじゃ、どうしようもないな……)
一方で俺はこうも思ってしまう。もう彼らは駄目だと。今はまだ彼らはAランクパーティーの栄光の翼として名が通っているが、このままいけばそのうちボロが出る。現にただのウッドモンキーやワイバーン相手に苦戦し、その相手を変異種認定してしまうという愚行をしている。
加えて、デタラメな噂を流したり、ギルドと一緒になって領主と裏で繋がっていたりとやりたい放題している。例えいくら実力があっても、信用あってのギルドでそのような行為をすればどうなるか。誰が見ても明らかだろう。
「これこれ落ち着かんか。まだ話し合いの途中じゃぞ」
モストから落ち着くよう言われ、三人がこちらを睨みつつもその口を閉じる。さすがにギルド長相手では彼らも強く出れないのだろう。
「話を戻すが、お主たちは彼らの言い分に反論できる材料はもっておるかのう?」
「材料?」
「そう材料じゃ。オークの群れの件についてはこのように変異種の亡骸があるし、騎士団からの証言もある。一方でお主たちからは言葉ばかりで何も材料が出てこんのじゃが」
「材料? そんなもの決まっている! Aランクパーティーの俺たちの証言。それこそ材料そのものだ!」
「私たちは栄光の翼なのよ! その私たちが言っているんだからそれが事実なの!」
やれやれ。ここまで来てまだ出すものが栄光の翼という肩書だけとは……。その肩書もギルドあってこそなのだが、彼らは何も分かっていないようだ。さすがの俺でも哀れみすら覚えてしまう。
「なるほど。よく分かったわい」
「ようやく理解してもらえましたか。なら」
「お主たちがギルドの名を使い、好き勝手する輩じゃとな。」
モストから鋭い目つきを向けられた事で、フォールたちの顔が青ざめる。
「まさかこのような者たちがAランクパーティーまで上がろうとはな……」
はぁっと深くため息を吐くモスト。怒りよりも情けなさの方が自身の気持ちを上回っているようだ。
「ではワシから改めて、指示を出すとしようかのう」
ついにこの時が来た。ギルド長からの判決。これによって全てが決まる。
「オークの群れは実際にいたと判断。ギルドもそう判断したとして行動したものとする。この件に関して成果を出したものにはそれなりの報酬を約束しよう」
その言葉を聞きBランクパーティーの者たちの歓声が響き渡る。今回、彼らも予想外のオークたちの襲撃にキッチリ対応し、被害も大分抑え込んだと聞いてる。その行動が報われるとなればさぞうれしいだろう。
「一方でギルドの評判を下げるような真似をした者もいるという話もある。この件に関してはキッチリと調査するつもりじゃ。そして調査結果が出るまで、ギルドの活動は一旦停止。受付嬢たちも自宅待機とする」
その言葉に受付嬢も驚愕している、おそらく今日の担当の受付嬢以外にも、良い思いをしようと人を見て態度を変えるような真似をする者もいただろう。今回の調査が進めばそれが一気に発覚する事となるに違いない。
「そして栄光の翼の者たち。彼らには無期限の謹慎処分。その後の対応については後日通達とする」
この決定にはフォールたちもあぜんとしている。自分たちは快進撃を続けてきた最高のパーティー。あの栄光の翼の一員だ。そんな自分たちが謹慎処分を言い渡されたという事実を信じられないのだろう。
「他の細かい問題については別途対応するものとする。以上じゃ」
こうしてギルド長、モストによる判決が言い渡される事となった。