ギルドと栄光の翼 part20
おお! 何かめっちゃpv増えてる!
デイリーでpv1万越え! ありがとうございます
多くの方に見て頂けているようなので今日はもう一話アップします!
皆様これからもよろしくお願いします
ご感想もいつでも受け付けておりますので何かあればコメント下さい
俺がアイテムボックスから取り出した一体の魔物。その姿を見て全員が呆気に取られる。
「これは……」
「何と……」
あのヴァルトやモストですら声を失っている。とはいえこのような魔物を見せられれば無理もないだろう。一言で言うなら俺が倒した魔物はオークだ。
しかしこのオークはただのオークでない。全身が黒色のゴツイ皮膚で覆われ、体の大きさも通常のオークよりも大きい、そして何より桁違いの強さに加え、人語を話すという芸当まで披露した魔物、オークエンペラーなのだから。
「今回討伐した魔物。オークエンペラーです」
「報告で聞いてはいたが……。ここまでとは……」
「むぅ……」
死してなお、圧倒的な存在感を放つそれは、この空間を完全に我がものとしていた。本当にとんでもない魔物だ。
「今回、オークの群れを統率していたのはこの魔物です。そしてこのオークエンペラーが倒れた以上、オークたちも足並みが揃わなくなるでしょう。とはいえ多少の警戒は必要だと思いますが」
「まさかオークエンペラーをこの目で見る事になるとは……。まさかお主が?」
「いえ、俺だけの力じゃ到底敵う相手ではありませんでした。騎士団のミラーナ……さんとそちらのレイシアの二人が助力してくれたからこそ、何とか倒す事ができたんです」
レイシアはともかく、見知った仲とはいえ騎士団所属のミラーナをここで呼び捨てにするのはマズイと思い、さん呼びしながらも俺は二人に視線を向ける。確かに止めを刺したのは俺だが、ミラーナが俺が駆け付けるまで必死で粘り、レイシアが俺が素早く駆けつけられるようにフォローしてくれたからこそ、倒せた相手だ。
二人がいなければおそらく展開は変わっていた。それこそ今この瞬間にもオークの群れが町を襲い掛かっているという最悪な状況もありえたかもしれないのだ。
「まさか本当にオークエンペラーがいたなんてな。正直俺も信じていませんでしたよ」
そう言いつつ、ヴァルトが頭をかく。おそらくミラーナが事前にオークの群れの件を報告していたのだろうが、さすがに信じてはいなかったようだ。そしてそれが事実であったという事に対し引け目を感じているのだろう。ミラーナもだから言ったのにと言いたそうな表情を浮かべ、ジロリとヴァルトに視線を向けている。
「オホン」
さすがに面と向かい合うのに抵抗があるのか、ヴァルトが咳払いをする。
「しかしお前さん、うちのミラーナと随分仲が良いみたいだな。普段は淡々としているんだがお前さんの事になると」
「ヴァルト隊長」
ミラーナに冷たい視線を向けられ、ヴァルトがダンマリになる。役職こそヴァルトの方が上だろうが、どうもミラーナに敵わない気がする。
(これだとどっちが上司か分からないな……)
俺と接している時と、他の人と接する時はどうも態度が違うように見える。俺とは別に彼女もどうやらかなりの苦労をしてそうだ。
「ふぉっふぉっふぉ。仲が良いのう。これも互いの信頼があってこそじゃろう」
その様子を見たモストが微笑んでいる。何だかんだで二人の関係は悪くないと判断したのだろう。
「それに比べて……のう?」
今度はモストがフォールたち栄光の翼や受付嬢に対して視線を向ける。一方で彼らは自分たちの利益ばかりを考え、挙句ある事ない事吹聴したり、領主と癒着したりとやりたい放題であった。ギルド長たる者からすれば頭を抱える問題だろう。
「さて、ここでオークエンペラーというとんでもない存在が登場したんじゃが……。お主たちはこれに対し何か言い分があるかのう」
まさか自分たちがあれだけ無能扱いしていた存在が、このような魔物を討伐できるなどとは思ってもいなかった。この言葉にフォールたちは黙り込んでしまう。
「あ……ありえない!」
「む?」
「ありえないと言ったんだ! そこの無能が、オーク一匹すら倒せない無能がこの魔物を退治した!? できる訳がないだろう」
だがそれでも何とか言葉をひねり出すフォール。何をされようと反論しなければマズイ。そう考えての発言だろう。
「その魔物も誰かから買い取ったんでしょ! そうに決まってるわ! 無能に倒せるわけないもの!」
「確かに普通のオークよりちぃとデカイが所詮はオーク! たまたまマグレで倒したんだけだろうが!」
ステラやドヴォルもそれに続いて反論する。何を言われようと、ここまで行動で示されても彼らは決して非を認めずにいた。
「えーさすがに見苦しいんじゃない?」
「いくらAランクパーティーとはいえこの所業! 恥ずかしいと思わないのですか!」
これにはレイシア、そしてローナルもおかしいと思ったのか声を出して非難する。というより誰がどう見てもここまで来れば、栄光の翼側を擁護できないだろう。現に俺たちと違い、彼らは自身の主張を証明できるものを何一つ出していないのだから。
「なぁフォール。もうここまでにしないか?」
茶番はここまででいい。その思いを胸に俺はフォールに話す事にした。